朝日新聞社
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「知らなかった」が
「力になれるかも」に変わる
NPOピッチで企業と地域をつなぐ

2026.02.26

「地域活動のボランティア」というと、地域のシニア層や大学生が活躍しているようなイメージがあります。しかし、神戸で地域貢献に取り組むNPO等の活動団体が、市内の企業や企業社員に向けて活動をPRするイベントがあると聞き、神戸学院大学の坂根大希(さかね・だいき)と山中瑛大(やまなか・えいた)が取材しました。

ピッチを通して知る、地域課題

人口減少や少子高齢化が進む中、地域貢献活動はますます重要になっていますが、多くの団体で活動資金や人手が不足しているという現状があります。こうした課題を受け、2025年12月、「地域貢献活動の『イマ』を知る!学び&共創チャレンジ入門in神戸」というイベントが開催されました。

今回が初開催となった本イベントでは、市内で活動する8団体が参加しました。スタートアップが資金集めで行う、短い時間(5~10分程度)で活動内容などの要点を紹介する「ピッチ」と呼ばれる手法を取り入れ、それぞれの団体の現状や課題について発表し、プロジェクトに共感したり支援してくれたりする民間企業や専門スキルを持つ人材とマッチングするきっかけを得る新しいチャレンジです。主催した神戸市の担当者は、「これまで地域活動を支えてきた人材だけでは担いきれない課題も増えており、企業や現役世代など、普段なかなかリーチできない層との新たなつながりづくりのため、新たな試みとして開催した」と話します。

イベントは参加者のターゲット層に合わせて、平日夜に阪急神戸三宮駅すぐの会場で開催され、当日は地域貢献活動に関心を持つ企業関係者や個人事業主など約50人が集まりました。

難病患者と家族を支援・サポート

代表理事の河野由季さん

参加団体のひとつ、認定NPO法人てんびんは、パーキンソン病の当事者と介助者の両方が住み良い社会になることを目指しています。団体名の「てんびん」とは、ケアする人とされる人という区別を越えて、そのどちらもがつり合うようにという願いが込められています。主な活動は、パーキンソン病である当事者同士の相談会や、身体と心をほぐすPDヨガ(パーキンソン病患者のために設計されたヨガプログラム)など、当事者が社会とつながり続けられるような直接的支援事業です。

代表理事の河野由季さんは「難病支援団体は、その特性からどうしてもクローズドになりがちですが、いろいろな方に団体の存在を知ってもらいたい。特に患者の就労問題は深刻で、就労年齢層でパーキンソン病を発症した場合、診断から5年で約46%が離職を余儀なくされるという調査結果があります。この現実について多くの企業の方に知ってもらい、支援への関心につながってほしい」と呼びかけました。

中学生の放送部の活動を応援

代表の能崎まゆみさん

「放送ブロードキャスティングクラブ」は、話す力・伝える力を通して子どもたちを支えています。代表の能崎まゆみさんは、約38年間、フリーアナウンサーとして活躍してきました。

本活動のきっかけは、母校の先生から「月に一度でいいので放送部を指導してほしい」と声をかけられたことだそうです。指導を続ける中で評判が広がり、複数の学校で指導しています。

能崎さんはピッチで、「今後、『コベカツ』*で活動を広げるため、さらなる資金調達や体験会を行っていきたいと思っています。多くの子どもたちに『伝える力』を学んでもらうためにも、企業の皆さんにも体験会のボランティア参加や、クラウドファンディングの支援をお願いしたい」と話しました。

*26年9月に公立中学校の部活動から移行する、地域の文化・スポーツ活動団体との活動

企業と地域がつながるきっかけに

8団体の発表のあとは、テーブルに分かれて個別相談会が行われました。参加者は興味のある団体のテーブルへ行き、直接話を聞くことができます。

認定NPO法人てんびんのテーブルでは、「企業として、どういった面からサポートしていけるか」「患者さんと関わる上で、どんなことを大切にしたらいいのか」などといった質問が挙がり、積極的に意見が交わされていました。

認定NPO法人てんびんのテーブル
認定NPO法人てんびんのテーブル2

本イベントには、地域との新たなつながりを見つけるために、さまざまな方が参加していました。参加者のひとり、シスメックス株式会社の飯塚彩乃さんは「会社として、地域と関わりあって何か貢献できないかなという思いがあり、今日は参加しました。さまざまなジャンルの団体の話を一度に聞くことができて、自分の世界観が広がりました。今後の活動の参考にしたいです」と話していました。

シスメックス株式会社の飯塚彩乃さん

今回のイベントは、活動団体が、企業や企業で働く人に向けて連携を呼びかけるものです。普段の自分の生活とは直接的に関係のないことに関しても視野を広げることができる、非常に大切な機会だと感じました。これをきっかけに、地域との新たな関わりが生まれると素晴らしいなと思います。

神戸市では、今回の参加企業が活動団体の活動にスムーズに参画できるよう、活動体験プログラムの実施など、引き続きフォローアップの取り組みを行っていくそうです。また、今回のイベントは企業向けでしたが、個人と活動団体をつなぐためのマッチングイベントも開催されています。これらの取り組みは来年度も継続して実施される予定とのことなので、関心のある方はぜひ参加してみてください。

坂根 大希

坂根 大希

イベントに参加してみて、地域貢献活動に尽力されている団体の多様さと、その活動に全力で取り組んでいる姿がとても印象的でした。私自身もできる支援やボランティア活動など、今の私にできる役割を見つけていきたいと強く感じています。

山中 瑛大

山中 瑛大

活動紹介ピッチなどを通して、団体の成果だけでなく、これまでの試行錯誤や継続への思いを知ることができました。話を直接聞くことが、地域活動を自分事として捉える第一歩になると感じ、大学生として関わり方を考えるきっかけになりました。