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PR : 学校法人KTC学園 屋久島おおぞら高等学校・おおぞら高等学院

―― 屋久島おおぞら高等学校の校長に就任してどのようなことを感じられましたか?
私が校長に就任して生徒たちや職員と話し合うことが増え、「なりたい大人になるための学び」という、この学校のミッションが明確に見えてきました。
一人ひとりの個性を大切にすることは、日本だけではなく世界全体で求められており、私自身も脳科学をやっている立場から日々痛感しています。それを学校という場でどのように実践すればいいのかという、具体的な方法論や哲学がはっきりしてきたと感じています。
特に大事なのが、生徒と職員の関係です。教科を教えることはもちろん大切なのですが、職員一人ひとりが生徒の個性と向き合うことで、なりたい大人になるための道筋を一緒に考えていく。そのような、屋久島おおぞら高校の非常にユニークな可能性が見えてきたと思います。
――社会や子どもたちに対して屋久島おおぞら高等学校が持つ役割について、あらためてどう考えていますか?
生徒はそれぞれが、悩んだり模索したりしています。いろいろ悩んでそれを乗り越えた人ほど、自分自身の個性を見つけることができ、なりたい大人に近づいていると思うのです。
当校のような通信制の高校には、小中学校に毎日通っていた生徒もいれば、学校との関係でいろいろ苦労した生徒もいます。そういう生徒が屋久島おおぞら高校に入学して、「学校の雰囲気が好き」「先生のことを信用できる大人として尊敬している」と言っていました。
苦労したり迷ったりしたからこそ、当校での経験を通して自分の個性が分かり、学ぶことの意味が見つかったという生徒がたくさんいます。たとえ中学校にはあまり行けなかったという生徒でも、自分で考えて歩む姿勢ができているのを見ると、今の時代に当校の持つ意味や可能性は非常に大きいと感じます。
――生徒の方々と直接ふれ合い、どのような印象をお持ちですか?
大人っぽいというか、私とも対等に話せる子が多いですね。自分の頭で考えて自分の足で立つという、これからの世界において求められていることに対して、一歩踏み出すことができている子がたくさんいる気がします。当校を選ぶ際に、自分自身や家族との間でいろいろ模索して考えてきたことの積み重ねが、未来に向かって進路を選ぶための礎になっているからだと思います。

――校長として目指すこれからの教育の方向は。
世の中は多様化していて、いろんなことにチャレンジできる時代です。ユーチューバー、インターネット上の絵師、eスポーツ選手など、いろんな表現の可能性があり、いろんな学びがあります。1,000人いれば1,000人が違うことに興味があり、それを応援していきたいと思います。
その一方で、屋久島おおぞら高校は、あくまでも学校教育法第1条の「一条校」として、正規の高校の卒業資格が得られる学校です。高校生として身につける学力や、ものの考え方などを、カリキュラムに従って学ぶところでもあるのです。
一人ひとりが自由に学ぶという意味と、みんなが身につけておくべき基礎的なものを学び、卒業できるという誇り。その両方を大事にする高校にしたいと思っています。
――屋久島おおぞら高等学校で学んだ生徒には、どんな活躍をしてほしいですか?
卒業生の中には、義足というハンディキャップを乗り越えてモデルとして活躍している方もいます。
そのような存在は、在校生や私たち関係者にとって励みとなります。でも、「なりたい大人」というのは、必ずしも有名になるということではなく、一人ひとりが自分のやりたいことをやることにこそ、一番価値があるのです。
ヘアメイク、ネイリスト、看護師、保育士……。先生になりたい子もいれば、音楽をやりたい子もいます。それら全ては同じように価値があり、素敵な進路なのだと私は生徒たちにも言っています。一人ひとりが自分らしく生きた結果、社会的にはそれほど評価されなかったとしても、それぞれの現場で一生懸命にやっているということが素晴らしいのだと思います。
――茂木校長の考える「なりたい大人」とは?
子どもの頃から大事にしてきたのは、自由と発見、好奇心、それから創造性。「三つ子の魂百まで」と言いますが、好奇心に基づいて何かを考えていくという意味では、科学者というのは自分に一番合っていたのかなと。
脳から心や意識がどう生まれるかを解明しようというのが私のライフワーク。それをやりながら、今では校長などのいろんな仕事もさせていただいています。でも、好奇心や学びが大事だという点では、それらの仕事に対しても私自身の考え方は変わりません。
ですから、作文コンクールの審査で子どもたちの作品を読んでいると、「三つ子の魂百まで」ということをあらためて感じさせられます。その人が大事にしていることが、200字の中でどのように表現されているのか、読むのを楽しみにしています。
――子どもの頃に大切にしていたことは、今も変わらず茂木校長を支えているのですね。
人生というのはだんだん複雑になっていくように見えますが、意外にシンプルな気もしていて。中学生ぐらいの頃に大事にしていたことに立ち戻ると、自分自身も元気になります。サプライズで友達を喜ばせるのがうれしくてクリエーターになった人がいたり、自分や家族が病気になった時にお医者さんに助けてもらって自分も医学の道を志す人がいたり、それぞれに子どもの頃の原体験があるのでしょうね。
中学生は、子どもの脳が前頭葉を中心に大人の脳に切り替わる時期です。チョウが幼虫からさなぎを経て成虫になるのと同じように、子どもが社会性を身につけ、他人と向き合っていくという大切な時期。その時に、なりたい大人を考える作文コンクールを通して、自分と社会の関係を振り返ることは、ものすごく意味があることだと思います。
――中学生が自分自身のことを文章で表現する意義は?
過去受賞した生徒もそうでしたが、自分だけの言葉を持っていることは素晴らしいことです。ボキャブラリーが多いだとか、知識が多いだとかいうことではなく、自分が考えていることや自分らしさをいかに言葉で表現できるかを、私はこのコンクールで求めたいと思っています。
自分だけの言葉で表現できる技術があれば、それをうまく使って表現したり、コミュニケーションしたり、仕事に生かしたりすることができます。公の場でみんなに読んでもらう作文を書くことは、かけがえのない経験です。そこで自分だけの表現ができるようになったら、コンクールで入賞すること以上の価値があります。
――昨年までの審査で作文を読んだ印象はいかがですか?
彼らはデジタルネイティブな世代で、ネットで世界中の人とつながるのも普通なのでしょうし、人工知能の存在も普通なのでしょう。そういう新しい時代の息吹と言いますか、今までにない新しい感覚に接して、ドキッとすることもあります。
一方で、時代が変わっても、人間として求めることや夢見ること、大事に思うことは変わらないと思います。新しい時代の感覚と、変わらず受け継がれていくもの。その両方を作文から感じますし、書いた人の個性や人柄が伝わってくるのが不思議ですよね。作文を通してさまざまな声が聞こえてくるというのは、審査する側としてはうれしいことです。
――「なりたい大人」の作文を書くことで、中学生にどのような成長を期待されていますか?
200字の作文を書くことは、自分を映す鏡をそこに作ることです。脳科学の言葉で「ミラーニューロン」という、自分と他人を映し合う神経細胞が前頭葉にあります。この作文が、社会や大人、いろんなものと自分自身を結ぶ鏡になってくれるだろうと思います。
限られた文字数でも、言葉は無限の宇宙を表現することができます。200字でいかに多くのことが表現できるかを考えてみたら、ものすごくチャレンジする意味があるのではないでしょうか。
アインシュタインは「想像することは知識より重要である」、ニュートンは「私が遠くを見ることができたとしたら、それは巨人の肩に乗っていたからである」という名言を残しています。パスカルの「人間は考える葦(あし)である」、デカルトの「我思う、ゆえに我あり」のような、未来に残る言葉も、200字の中で作ることができると思います。
――全国の中学生や、指導される先生方にメッセージをお願いします。
中学生の皆さんは、作文を書くことで、自分がどういう大人になりたいのかが、だんだん見えてくると思います。自分にどういう夢があるのか、どういう大人を目指すかを200字の中で考えることによって、今の自分を見つめ直す機会にしていただきたいと思います。
先生方には、生徒さんが自分を見つめ直すことで、大人になって活躍するための基礎ができるという、作文の意義を伝えていただければ。先生方の人生観や今までの人生経験も踏まえて、生徒の方々にアドバイスをお願いします。
私たちも、皆さんからご応募いただいた作文を読むのを毎年楽しみにしています。この作文コンクールが、これからの世の中を担う大切な子どもたちの将来を切りひらくきっかけになったらいいなと思います。


「自分で将来どんな大人になりたいのか、そういうことを書くことによって、自分という人間がどういう人なのかということが分かっていきます。作文を書くということは、実は自分の在り方を映す鏡なのです。200字で書くというのはなかなか難しいかもしれませんが、その難しいことに挑戦することで脳が成長します。皆さんからの作品を読ませていただくのを楽しみに待っています」
●プロフィール/茂木健一郎(もぎ・けんいちろう)
1962年東京生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学理学部、法学部を卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程を修了、理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。「クオリア(意識のなかで立ち上がる、数量化できない微妙な質感)」をキーワードとして、脳と心の関係を探求し続けている。2021年4月、学校法人KTC学園 屋久島おおぞら高等学校校長に就任。