数学の自由を無矛盾性で確保するヒルベルト・プログラム

ダーヴィット・ヒルベルト【 1862 - 1943 】
ドイツの数学者。「現代数学の父」とも呼ばれる。1900年のパリで、リーマン予想を含む当時未解決だった「23の問題」を発表し、数学の発展に大きく寄与した。生涯にわたり完全で無矛盾な数学の構築を追求した。
19世紀の終わり、非ユークリッド幾何学や 集合論【集合論】集合を対象とした数学理論。現代数学のほとんどはその理論の上で展開できる。 など新しい数学が創設されるとともにパラドックスや互いに相反する結果もつぎつぎと発見されて、数学を際限なく拡張することが問題になりだした。ヒルベルトは「何人(なんぴと)も カントル【カントル】19世紀ドイツの数学者。現代集合論の基礎を築いた。 が創造してくれた楽園から我々を追い出すことはできない」と、数学の自由を守るために立ち上がった。まず公理化を推進し、命題【命題】数理論理において真か偽かの値をとる文を命題という。 や証明を記号の組合せと見て分析し、無矛盾【無矛盾】ある命題とその否定が同時に導出されることを矛盾といい、矛盾が導かれないことを無矛盾という。矛盾する体系からは任意の命題が証明でき、証明できない命題がある体系は無矛盾である。また、「体系Tで命題Aが証明できる」と、「T+¬Aが矛盾する」とは同値である。 や完全性を担保すれば、数学が救済できると彼は考えた。この試みは「ヒルベルト・プログラム」と呼ばれるようになる。

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決定問題が解ければ、
無矛盾性だって示せるよ。 -
体系に矛盾がないことを
証明するんだ。