球筋改造を経てつかんだ新境地 2026年のプロテスト一発合格へ
熊本県のアスリート、女子ゴルフの林田万輪選手(熊本国府高校3年)は小学生のときから九州地区の大会で優勝し、中学時代は全国大会でも上位に入る成績を残しています。ステップ・アップ・ツアーでアンダーパーを記録するなど確かな進化を遂げた1年を終え、2026年は7月から始まるプロテストの一発合格をめざします。
数々のプロを育てたコーチのもとで培った才能
ゴルフをはじめたのは小学1年のとき、国体の水泳選手だった父に連れられて近所のゴルフ練習場に行ったことがきっかけでした。「当たってボールが遠くに飛ぶのが面白かった」と振り返ります。練習場の経営者は、かつてTKU熊本ジュニアゴルフ塾(熊本坂田塾)のコーチで、古閑美保選手や上田桃子選手など多数のプロ選手を誕生させた伊東龍志さん。伊東さんにコーチを頼んで週2、3回、指導を受けるようになりました。
小学3年からは週末も含めて練習場に通うようになりました。学校から帰宅して夕食を食べて練習場に向かい、夜10時ごろまで。九州地区の大会で優勝して全国大会に出場すると、「勝つことでゴルフが楽しくなりました」。そのころ、練習場が移転したため、自宅も練習場の近くに引っ越し、練習している間は母親の玲奈さんも同じ練習場で働くようになりました。
中学入学後は、大会で思うような成績が残せない時期がありました。それでも、諦めないでこつこつと練習を続けた努力が実を結び、中学3年のときに九州ジュニア選手権で2位に入り、はじめて日本ジュニア選手権に出場します。結果は9位タイ。「コースが難しかったけど楽しい大会でした。周りの選手を見て、ショットの精度が違うなあと思いました」といいます。そして、「この選手たちに毎回会えるように頑張ろう。負けたくない」と強く思いました。進学を考えるとき、「プロになりたい」とゴルフ部がある高校を選び、週2日は高校のゴルフ部の練習と試合、ほかの日は近くの練習場に通います。
苦悩の球筋改造とステップ・アップ・ツアーでの自信
さらなる飛躍のために決断したのが、武器であった250ヤードのドライバーショットの球筋を、従来のドローからより安定性の高い「フェード系」へと改造することでした。しかし、理想の弾道が出ずにスイングが乱れる時期が続いたといいます。
苦悩のなか参加した、25年12月末の春季大会九州予選では予選通過したものの、ギリギリのスコアでした。「あまり良いプレーができませんでしたが、そこから気持ちを切り替えていこうと練習を増やしていきました」と、前向きにゴルフに打ち込みました。
打ち込みの量を劇的に増やして修正に没頭した結果、26年1月ごろから新しいスイングの感覚に手応えを感じるようになったという林田選手。26年3月に開催された春季大会では上位にランクイン、苦難の末にショットの安定性を劇的に向上させました。
その成果はすぐさま形となり、26年4月に出場したステップ・アップ・ツアー「フンドーキンレディース」の2日目には、プロの舞台で見事にアンダーパーをマーク。「プロの試合でアンダーを出せたことは、本当に大きな自信になりました」と声を弾ませます。
技術の向上とともに、精神面でも大きな成長を遂げています。26年4月の「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」の主催者推薦選考会では、連続バーディーの後に「いけるかもしれない」という気持ちの緩みから連続ボギーをたたいてしまい、本戦出場権を逃す痛烈な経験を味わいました。
しかし、母の玲奈さんは「以前に比べてゴルフへの向き合い方が本気になっていますが、早い段階でそういう経験をできて、良かったと思います。いろんな経験をするなかで、自分のゴルフに集中して気持ちをコントロールできるようになってきた」と、その確かな内面の変化を見守っています。
また、長年指導してきたコーチの伊東さんは「地道に黙々と練習を続けることができる努力家で、人の話を最後まできちんと聞ける素直な性格。まだまだ伸びしろがあり、古閑プロや上田プロを超える資質がある逸材」と評価しています。
25年には明治安田の熊本支社の集会に招待され、多くの社員の前で紹介を受ける機会に恵まれました。「大勢の方々から『頑張れ!』と直接花束をもらい、これほど多くの人に応援されているんだと深く実感しました。自分が力をもらった熊本の皆さんに、良い結果で恩返しをしたいという気持ちがより強くなりました」と振り返ります。日々激しい練習を行なった後は、熊本市内の菊南(きくなん)温泉へ足を運び、豊かなお湯につかって心身をリフレッシュさせることが最高の英気となっているのだそう。
26年、林田選手にとって最大の勝負どころとなるプロテストが7月からいよいよ幕を開けます。「はじめて受けるテストですが、一発で合格することが目標です」と強い口調で意気込みます。そのためにも、プロの先輩たちとの差を痛感したグリーン周りや、ショートゲームの精度をさらに引き上げ、ミスをした際にも確実にパーを拾えるようなスコアメイクの組み立て方をラウンドを通じて徹底的に磨いています。
世界大会での金メダル獲得を願って父がつけてくれた「万輪」という名のとおり、見据える先は日本のツアーだけにとどまりません。「将来は世界最高峰の舞台でメジャー優勝を果たし、4年に1度の大舞台でも金メダルを獲りたい。上田桃子選手や申ジエ選手(韓国)のように、周囲を笑顔にできる強くて明るい選手になります」と誓う林田選手。
自然豊かで活気あふれる合志市や熊本の温かい応援を背に受けながら、若き大砲はプロテスト突破へ向けて、迷いなく王道を突き進んでいきます。
(編集:4years.)
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貢献したい地元:熊本県合志市
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