笑顔で元気を届けるため プロテストに「ようやく合格します!」
石川県のアスリート、女子ゴルフの勝見莉衣(れい)選手(朝日大学2年)は、2021年の中部中学校ゴルフ選手権優勝を皮切りに、全国の舞台でその実力を示し続けています。トッププロという大きな夢を追いかける彼女の胸には、自身が大会で結果を出し、能登半島地震で被災した石川県に笑顔で元気を届けたいという強い思いがあります。
ベストスコア66の優勝に本人もびっくり
勝見選手は家族がゴルフをしていた影響もあり、2歳のころからおもちゃのクラブで遊びはじめました。4歳でゴルフ練習場の打ちっ放しを本格的に体験し、小学1年からジュニアの大会へ出場するようになります。負けるのが嫌いで、「もっと練習しよう」と自宅にパターマットを敷き、毎日クラブに触れているうちに、ゴルフにひかれるようになっていきました。
21年には、中部中学校ゴルフ選手権でベストスコアの66をマークし、見事優勝を果たしました。「うれしかったのと同時に、それまでなかなか成績があがらない状態が続いていたので自分でもびっくりしました」
高校は、ゴルフ部がある金沢学院大学付属高校に進学。中学時代と比べるとトレーニングの量や実戦的に練習できる機会、試合への参加が増え、さらにパーソナルトレーニングや自宅でのパター練習に取り組むなど、ひたむきな努力でプロをめざすための基礎を固めていきました。
プロへの思いをよりいっそう強くしたのは、24年の元日に発生した能登半島地震でした。自宅のなかで怖い思いをしただけでなく、被災した知人も少なくありません。石川県内では津波などによる被害があり、落ちついた暮らしを取り戻すまでにまだ時間がかかりそうです。「自分が良い成績を残すことで、被災した方々に少しでも元気を与えることができたら」と思い、明治安田「地元アスリート応援プログラム」に応募しました。
プレーに集中できなかった初のプロテスト
24年はプロテストに照準を合わせ、試合数を絞りながら体のメンテナンスやトレーニングに注力。「予選落ちした試合であと1打足りなかったというのが多く、1打の重みをすごく感じた1年になりました」
初挑戦のプロテストは2次予選敗退に終わり、「パターで決めきらないといけないところを決めきれませんでした」と悔しさをにじませます。「これを外したら…とか色々余計なことを考えてしまい、プレーにちゃんと集中できていなかったのかな、という感じでした」
25年4月から岐阜県の朝日大学に通っている勝見選手。「環境がすごくいいのと、先輩方もナショナルチームに入っていた方やプロの方もいるし、トップアマチュアの先輩が多かったので、自分自身が成長できるかなと思って選びました」と進学先の決め手を語ります。
新たな環境で気付いたのは、「楽しむ」ことの大切さです。「ガチガチに緊張しすぎても自分のプレーができないと思うので、楽しむことが大事なんじゃないかなと最近思いはじめました」
本当に今年は 「ようやく合格します」
地元を離れてひとり暮らしをはじめた勝見選手。免許も取り、自分で車を運転して練習や試合に行くようになりましたが、そこで気付いたのが、「今まで両親がついてきてくれたのを全部ひとりでやっている」こと。練習に行って帰ってきて、ご飯作って。「ひとりだけの生活でもしんどいのに、私の世話までして仕事まで行ってたのかすごいな」と、親の偉大さが分かり、頭が上がらない思いを日々感じています。
そんななかで挑んだ2度目のプロテスト。ステップ・アップ・ツアー出場や、5月の石川県女子ゴルフ選手権優勝など、調子は良かったものの、6月にはじめて出場した日本女子アマチュアゴルフ選手権の最終日にショットが悪くなり、右に行くミスが止まらなくなりました。プロテストでも悪いまま迎え、1次予選で敗退。
「プロテスト後、いろんなことを試してみたんですけど、やっぱり治らない。その原因もいまいちよく分かっていないから治しようもないし。いろんな人の意見を取り入れて、いろんなことを中途半端にやって、悪循環みたいになっちゃって」と振り返る勝見選手。
9月には明治安田の懇話会に参加した勝見選手。「2回目の参加だったんですけど、やはり人前で話すのは緊張しました。24年は頭が真っ白になったけど、25年は『プロテストは実力不足で』みたいなこともちょっと言えたので。そこは成長できた」。懇話会が終わった後、個別に「応援しているよ」といった応援の言葉をいただき、力になったそうです。
現在は7月に行なわれるプロテストに専念し、その後の試合の予定も入れていない勝見選手。
「大げさかもしれないですけど、人生が決まっちゃう。プロテストって、就職活動みたいなもの。緊張するのもみんな同じだと思うし、その場所でいかに自分のプレーをできるかだと思う。緊張して考えすぎちゃうとか、そういうのは良くないと思っています。平常心でプレーできるか」と冷静に分析します。そして、「3回目なんですけど、ようやく合格します。本当に今年は」と決意も語ってくれました。
憧れられる存在になりたい
勝見選手が目標とする選手が、吉田優利プロです。「常にニコニコしているところも尊敬しています。スポーツ選手なんですけど、人前に出る仕事でもあるので、笑顔は大切にしていきたいと思っています」
「ひとり暮らしといっても、月に1回くらいは明治安田さんイベントや、レッスンで見てもらうのに帰っています」という勝見選手。そのとき、家族と行くのが焼肉屋の「時しらず」さん。帰るときは店長さんが出てきて「頑張ってください」と声をかけてくれるそうです。
「完璧に復旧するには、これから何十年とかかると思うんですけど、私が活躍することによって少しでも元気を与えられたり、地元のために貢献できたらいいなと思っています。私も、吉田優利さんみたいに憧れられるような存在になって、笑顔で元気を与えられる存在になりたい」
持ち前の明るさと元気で、周りの人を明るくする勝見選手。プロとなってテレビに映る笑顔は、地元の人に元気を与えてくれるはずです。「ようやく合格します」の決意、地元で応援する人も同じ気持ちでプロテストを見守っているでしょう。
(編集:4years.)