けがから復活し優勝! 日本記録をねらう女子短距離界のエース
大分県のアスリート、陸上(短距離)の兒玉芽生選手(ミズノ所属)は、100mで日本歴代2位の11秒24の記録を保持する、日本女子短距離界のエースです。2023年はけがから復活し、9月の全日本実業団対抗陸上競技選手権大会、10月開催の特別国民体育大会(国体)に出場し、いずれも100mで優勝を飾りました。実績を積み重ねる25歳は、自己ベスト更新と日本記録をねらいながら、世界を舞台に活躍を続けます。
小学生からはじめた陸上が生涯のスポーツに
兒玉選手は、小学1年の頃から姉の影響で陸上のクラブチームに通うようになり、小学3年のときから本格的に競技に取り組みました。「陸上と言えば100mがかっこいい!」というイメージがあり、この頃から短距離でした。小学5年で100mの全国大会で優勝すると、そこから毎年全国大会に出場。高校3年のときには100mでインターハイと国体少年Aの2冠を達成しました。
高校卒業後は福岡大学に進学し、陸上部に入部。大学2年時の19年には日本選手権200mで優勝、20年には日本学生陸上競技対校選手権(日本インカレ)で100m、200m、4×100mリレーの3冠、日本選手権100m優勝、200m準優勝と、日本女子陸上短距離界でトップレベルの実力をつけてきました。22年にはミズノ株式会社に入社。ミズノトラッククラブの一員として競技活動を続けています。
社会人1年目は、6月の日本選手権で100mが2位、200mは優勝し2連覇、3度目の優勝を達成しました。7月にアメリカ・オレゴンで開催された世界陸上競技選手権大会(世界陸上)は4×100mリレーの第3走者として出場し、予選で43秒33の日本記録を樹立しています。
その後、9月の全日本実業団対抗では、100m、200mの短距離2冠を成し遂げ、中でも100mは日本記録に0秒03差と迫る日本歴代2位の11秒24をマークしました。
日本選手権欠場、リハビリ中に体の使い方を見直す
23年シーズン前半は、足の痛みの影響で日本選手権を欠場することになり、多くの時間をリハビリに費やしました。
「大きなけがではなく、慢性的に痛みがとれない状態でした。(シーズン中の)5~8月試合に出場しないというのは、陸上をはじめて初の経験だったのでとても悔しかったですが、リハビリの中で学びも多かった1年でした」
リハビリ期間は体の使い方を見直すなど、普段意識しなかったことにも取り組みました。懸命なリハビリを続けて8月に復帰。9月の全日本実業団対抗100mで優勝を飾ると、10月の国体では大分代表として100mと4×100mリレーで頂点に立ちました。
「結果はもちろんうれしいですけど、8月まで思うような練習ができない中、秋のシーズンに11秒3台で走れた点にすごく安心しました。リハビリ中に体の使い方を見直し、継続した練習を行ななえたことでしっかりとレースに挑めたのだと思います」
世界で戦うために、より自分の強みを伸ばしていく
日本のエースとして、海外選手とも対峙していく兒玉選手。遠征先でメンタル面での課題も感じたといいます。
「技術やフィジカルの違いはもちろんあります。特に一歩の出力が違うことには衝撃を受けましたね。ただ、自分の場合は慣れていない環境でいかに冷静になって力を発揮できるかが一番の課題。海外の選手は自身のペースでアップをしているんですが、私はどうしても周りを気にしてしまう傾向があるんです。けっこう考え込んでしまうタイプなので、環境が変わる中でいかに素早く対応できるかが鍵だと思っています」
また、世界を舞台に戦う中で苦手の克服だけでなく、より自分の強みを伸ばしていく必要があると語ります。
「自分はスタートがすごく苦手なので、改善は必要なのですが、あまりそこにフォーカスしすぎると長所を伸ばしきれないなと思っています。リハビリを通して得た体の使い方など、まだ100%活かしきれていない部分もあるので、継続して練習していくとともに、持ち味であるスピードをもっと伸ばしていきたいです」
「かけっこ教室」で子どもたちと交流、地元に貢献
大分県の陸上関係者の方が教えてくれたことが応募のきっかけだった、明治安田「地元アスリート応援プログラム」への参加は24年で4年目になります。その反響については次のように振り返っています。
「これまで地元の方とのつながりというのをなかなか持てなかったんですけど、プログラムを通してつながりを感じられるようになりました。“地元に対する愛”っていうのは、元から持っていたのですが、より大きくなり、自分の走りで何か届けられたなという思いをすごく持つようになりました」
兒玉選手は地元について、「陸上をここまで続けられたのも、大分県だったからというぐらい特別な場所」と語ります。
大分県では年間を通して、国体に出場する可能性のある強化選手が集まって練習する機会が多くあります。兒玉選手も中学時代からその場に参加し、年上の選手や他の学校の指導者とも交流し、刺激を受けてきました。
地元への恩返しの気持ちが強い兒玉選手は、大分県内で開かれた明治安田の「かけっこ教室」に22年から毎年参加しており、子どもたちと交流しました。
「年々規模が大きくなって、23年は200名以上の小学生が参加してくれました。走る喜びを知ってもらうことで、少しでも地元に貢献できればと思っています。ハンドボールなど他競技の子どもたちの参加も増えて、陸上に興味を持ってくれていることがうれしいですね」と笑顔で振り返ります。イベントの際に、小学生の頃からお世話になっていた方々とも再会し応援の声をもらったことが、大きな励みとなったそうです。
東京の世界陸上に向け、自己ベスト更新を
今後の目標は、まず自己ベストを更新していくことだと話す兒玉選手。
「100m、200mともに自己ベストを更新するのが直近の目標。23年はけがの影響もあり更新できなかったので、年々自分の限界を超えられるように努力を重ねていきたいです。自分の記録を破り続けることで、日本記録も近づいてくると思うので」
25年は東京で世界陸上が開催されるなど、ビッグイベントが続きます。「今年のうちから結果を残し、25年の世界陸上にもつなげていきたい」と目を輝かせます。
日本女子短距離界のエースとして、より高みをめざす兒玉選手。25年の世界陸上で大きく羽ばたく姿を、地元・大分県だけでなく、日本中が楽しみにしています。
(取材・制作:4years.)
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