実力派ゴルファーが大学へ進学 “耐えるゴルフ”に磨きをかける
愛知県のアスリート、女子ゴルフの松田雫選手(中京大学1年)は、国民スポーツ大会で個人19位タイ、三重県勢で初の入賞となる団体6位に入った実力派。春から中京大学に進学し、よりいっそうゴルフに打ち込む日々を送っています。「最終的には芯の強いプロゴルファーになりたい」。そんな目標を掲げ、26年はまず日本女子学生ゴルフ選手権での優勝をめざします。
プロテストでの悔しさをばねに、国スポで活躍
松田選手は2022年8月、愛知県中学校ゴルフ選手権で優勝。23年10月には三重県高校ゴルフ選手権新人大会でも勝利を飾り、着実に実績を残しています。24年に入ってからも、1月の「ヨネックスジュニアカップ東海・北陸地区高校ゴルフ対抗戦」の個人の部、5月には三重県女子オープンの一般の部でいずれも優勝と、要所要所で力を発揮しています。
好調を保っている要因として、24年4月から三重県に拠点を構える石井正家コーチに指導を受けていることがあります。これによって、体力面やスイングが向上し、結果につながりはじめたといいます。
25年はプロテストを初受験。実は受験の1ヵ月前まではチャレンジするかどうかで迷っていたと言いますが、父親・光司さんの「受かるかどうかは関係ない。経験のひとつになる」という言葉に背中を押され、チャレンジすることに。結果は1次試験で3打足りずに不合格となりましたが、「課題も明確になったので、今思えば参加してよかった」と、振り返ってくれました。
プロテストの無念を晴らしたのが国民スポーツ大会でした。高校生活の集大成となったこの大会で松田選手は個人19位タイという成績を残すと、団体では三重県勢はこれまで8位以内に入ったことがありませんでしたが、松田選手の活躍もあり、6位に食い込みました。
「実は団体に出場したのは24年と同じメンバー。このメンバーで一緒にできるのはこれが最後でしたし、私もチームに貢献できるような成績を残せてよかった」と満足そうに語ってくれました。
中2でホールインワン あっという間に才能が開花
ゴルフとの出合いは3歳のころでした。父のすすめで、家の庭に張ったネットに向かってボールを打ちはじめます。小学校にあがると大会に出るようになりました。「地元の上級生の上手なプレーや真剣な姿を目の当たりにして、自分も見習って、ゴルフに打ち込むようになりました」と話します。
成長の過程で、父の存在がひときわ大きく思える時期がありました。中学のころ、トレーニングの一環として格闘技のジムに行き、ミット打ちで右手首から肩にかけての筋を痛めてしまったことがあります。3ヵ月ほどクラブを握ることもできず、ランニングなど、できることに励みましたが、父はいつも一緒に走ってくれました。
「できるかできないかではなく、やるかやらないかだ」。そう語る父の、有言実行な姿勢に教えられたといいます。
地元への思いは強く、中学2年のとき、全国大会でホールインワンを達成し、ホールインワンコンペを開催したことがあります。コロナ禍の平日なのに、自宅のある愛知県蟹江町だけでなく、周辺の津島市や愛西市などから、80人ほどが集まって祝福してくれました。
「小さい貢献かもしれませんが、ゴルフというスポーツを通じて、地元のみなさんにパワーを感じていただけるような選手になりたいです」
ひとり暮らしで自炊も「トレーニングのひとつ」
両親はイタリア料理店を経営しています。土日などは特に忙しいのですが、時間をやりくりして試合の送迎などをしてくれる姿に、松田選手は感謝の念を忘れません。「両親や支えてくれる方々の気持ちに応えたくて、明治安田『地元アスリート応援プログラム』に応募しました。ゴルフの力で大好きな地元を元気づけ、自分の可能性もいっそう高める機会だと思ったんです」
大学生となり、人生初のひとり暮らしをはじめた今は自炊に精を出しています。「それまであまり料理をしてこなかったので大変なところもありますが、バランスや栄養を意識しながら考えて作り、トレーニングのひとつとして考えています」と前向きに話してくれました。
そんな松田選手ですが、実家に帰省すると、お母さんや祖母のごはんがうれしいといい、中でも揚げ物、唐揚げなどがお気に入りだそうです。
“耐えるゴルフ”で憧れの宮里藍のような選手に
憧れは宮里藍さん。23年9月、「宮里藍インビテーショナル」に出場したのが忘れられない経験になったそうです。宮里さんは出場したジュニアの選手たちを気にかけ、名前を覚えてくれました。
「雫ちゃん、ナイスプレー」と声をかけられたときは、胸が高鳴りました。プロとして世界ランキング1位にもなった、輝かしい経歴の持ち主。人柄も温かいことが「本当にかっこいい」と感じたといいます。
ただ、宮里さんを仰ぎみつつも、自分は自分、と地に足の着いた姿勢も忘れません。「最初から、あまり高い目標は立てないことにしています」と謙虚に話しており、そのこころを聞くと、「目標を意識しすぎると、空回りしてしまいますし、オーバーワークになることもありましたから」と真面目な選手ならではの言葉で語ります。
時間があれば、テレビやYouTubeでプロの試合を見る。そんなゴルフ漬けの毎日です。「生活のなかでやらなければいけないことを欠かさずこなしていくこと」。そんな積み重ねが、目標達成につながる、と信じています。「あまりビッグスコアを出すタイプじゃないので、難しいコンディションでも耐えて耐えていく。そして得意なアプローチを寄せて、しっかりと確実にパーは取りたいです」
まず26年は大学ゴルフ界最大のタイトルである日本女子学生ゴルフ選手権に出場し、優勝することを目標としています。「勝つためのカギはやはり飛距離とメンタル。スコアが思ったように伸びなかったとしても『なにくそ、負けないぞ!』くらいの気持ちで臨みたい」と意気込んでいます。
得意のアプローチ、パターを駆使した“耐えるゴルフ”で難関を突破し、地元の声援を背に、松田選手はひたむきに今日もまた練習に励んでいきます。
(編集:4years.)