世界最高峰の舞台で得た経験を糧に 2026年プロテスト合格へ挑む
山梨県のアスリート、女子ゴルフの長澤愛羅選手(日本ウェルネススポーツ大学1年)は、高校在学中からナショナルチームの一員として世界を舞台に戦ってきた有望選手。2025年は念願の全米女子オープンへの出場、26年は憧れのオーガスタナショナル女子アマチュアで予選通過を果たすなど、目覚ましい活躍を続けています。
プロの叔父に影響を受け、競技をスタート
ゴルフをはじめたのは、身近な叔父がプロゴルファーだったことがきっかけでした。小学校に入学したころに母親の弟である長澤稔プロの応援に行き、「自分でもゴルフをやってみたい」と興味を持ちました。
当時は習字やピアノといった習いごともしていました。クラブを握っても「最初はうまくできませんでした」と苦笑いしますが、どんどんゴルフにのめり込んでいったそうです。「最初からプロゴルファーになりたいと思っていました」と、幼いころからの夢はずっと変わりません。
小学2年から指導を受けるようになった重田栄作プロのもとで、平日は毎日練習に通う猛練習を重ね、小学6年時にははじめての全国大会で2位に。「練習をやってきて、やっと成績が出た」と当時の記憶を振り返る長澤選手は、「プロゴルファーになる」という夢へ向かって着実に前進してきました。
重田プロには今も指導を仰いでおり、明治安田「地元アスリート応援プログラム」への応募も促してくれたそうです。プログラムの詳細を聞き、大切な地元・山梨に貢献できるということで、少しでも恩返しをしたいという気持ちからエントリーを決めました。
25年4月の全米女子オープン予選では、3選手による激烈なプレーオフを制して本戦への切符を獲得。このときキャディーを務めた叔父の長澤奨プロによる的確なコースマネジメントも、長澤選手の背中を強く後押ししたそうです。
「上位5選手が全米オープンに出場できるこの試合で、2アンダーで3選手が並びプレーオフでの決着となりました。この日はショットの調子も良く、耐えるゴルフを続けられたなかプレーオフ1ホール目で勝つことができてとてもうれしかったです」
全米とオーガスタで体感した世界最高峰の壁
まさに25年は、世界最高峰の舞台を肌で体感する1年となりました。5月の全米女子オープンでは、直前にショットの調子を崩してしまい悔しい結果に終わりましたが、テレビで見ていたネリー・コルダ選手らの練習を間近で観察したことも大きな刺激になったと言います。
「特有の硬く速いグリーンを経験し、ショートゲームが世界では全く通用しないと痛感しました」と語るように、この経験がその後の猛練習への起爆剤となりました。
そして25年10月の「アニカ・インビテーショナル・アジア」では、3日間で14アンダーを叩き出して見事に優勝。「全米の後にショートゲームを徹底的に鍛え直した成果が出て、ショットもパターのフィーリングも劇的に良くなりました」と、成長を証明してみせました。
26年になっても快進撃は止まりません。世界中の女子アマチュアの憧れであるオーガスタナショナル女子アマチュアでは、屈指の難コースを攻略して見事に予選通過の目標を達成。大舞台での経験を着実に血肉へと変えていきました。
大歓声のなかで生まれた新たな課題
さらなる高みをめざすため、現在は本格的なウェートトレーニングを日課にしています。これにより、課題だった飛距離はさらに10ヤードも向上。「海外やシニアのうえのカテゴリーで戦うには、まだまだ飛距離をアップさせたい」と向上心は尽きません。
一方で、精神面での新たな課題も見つかりました。25年に受験したプロテストでは、惜しくも合格ならず。「メンタルには自信があったのですが、勝負どころの最終ホールなど、ギャラリーが多い場面で緊張して良いショットが打てないことがありました。25年のプロテストも、調子自体は悪くなかったものの、コースに出るとショットやパターが乱れてしまったのはメンタルが原因だったと感じています」と振り返る長澤選手。
現在は、周囲の先生やプロのアドバイスを受けながら、大歓声のなかでも普段通りのパフォーマンスをするための明確な修正作業に取り組んでいます。
遠征が増えたことで、改めて感じる地元の魅力
地元、富士山を望む山梨県身延町は、母の故郷であり、長澤選手が生まれ育った場所です。遠征から帰って自宅の周囲をジョギングしていると、「お疲れさま」「試合のこと、新聞で見たよ」といった声を近所の人たちがかけてくれるそうです。「みなさん、優しいなあって」。自分を温かく見守ってくれる地元に感謝する毎日だといいます。
山々からの豊かな水が育む、さくらんぼや桃、ぶどうを食べて育ってきました。湯葉も名物で、「よく食べます。わさびじょうゆでいただくのがおいしいです」
空気も澄んでいます。「身延町の好きなところは空気がきれいなところです。だから、普段から練習している近所のゴルフ場も大好きです」と、おすすめスポットを教えてくれました。大好きな地元だから、「試合でいい成績を残して身延町を有名にしたいです」と意気込みます。
遠征が増え、海外のさまざまな地域を訪れるようになったからこそ、生まれ育った山梨県身延町の魅力を再発見したという長澤選手。
「治安の悪い場所などを経験したことで、静かで安心して過ごせる地元の良さが身に染みました」
遠征後は、地元の温泉へ足を運びゆっくりとお湯につかるのが最高のリフレッシュタイムです。「ジムも併設されているので、トレーニング後に温泉でゆっくりする時間が好き」と笑顔で語ります。
声援に背中を押され、プロテスト合格をめざす
プログラムの縁もあり、25年には明治安田主催のゴルフ会に参加した長澤選手。雨のなかでのニアピン対決を行ない、参加者からの「すごく上手だね」「応援しているから絶対プロになってね」といった声が大きな力になっていると話します。
26年の目標は、もちろん秋に控えるプロテストへの合格です。
「26年はプロテストに合格することはもちろん、過度に集中しすぎず、どんなに難しいコースでも常にアンダーパーで回れる安定した選手になりたいです」と前を見据えます。
世界の経験を経てひと回りタフになった長澤選手。国内外のファンから深く愛され、世界で戦い続けるプロゴルファーをめざし、強い決意を秘めてグリーンへと向かいます。
(編集:4years.)