父娘二人三脚 インドア練習場からめざす世界の舞台
山口県のアスリート、女子アマゴルフの小田祐夕(ゆうゆ)選手(長門市立深川中学校3年)は、小学校3年で中国地区の大会で優勝し、プロ選手に憧れました。コーチ役の父と二人三脚で練習を続け、中国ジュニアゴルフ選手権など地区の大会で優勝を重ねています。「日本代表として金メダルを取りたい」と世界を見据えています。
父にすすめられたゴルフ 厳しい指導に涙も
小田選手がゴルフをはじめたのは3歳でした。自営業の父はそのころ、ゴルフに夢中で、店の隣にインドア練習場をつくっていました。当時はシミュレーション機器を備えたインドア練習場がまだ少なく、わざわざ米国から機器を取り寄せて完成させていました。
小田選手には16歳上の兄と15歳上の姉がいますが、兄や姉が子どものころには父はまだゴルフをはじめていませんでした。それだけに、父は小田選手が生まれるころから「ゴルフ選手にしたい」と強く思っていたそうです。
はじめのうちは、おもちゃのクラブとボールで遊んでいるだけの小田選手でしたが、小学校に入学するころからはインドア練習場にあるシミュレーション機器のモニター画面を見ながら、パターやスイングの練習を繰りかえすようになります。
練習のときはいつも父がそばにいて、指導が厳しくて泣き出したこともありました。それでも練習を重ねて、小学校3年のとき、中国地区の大会で優勝します。「将来、ゴルフ選手になりたいなぁ。ずっとゴルフを続けていきたい」とプロ選手に憧れました。
中学生となったいまも、練習時間は小学生のときから、ほぼ変わっていません。平日は放課後の午後4時~7時、週末は午前9時~正午と午後2時~7時。元日も続けています。父はいまも練習を見守り続けていますが、「最近はもうあまり口出ししませんね」と小田選手は笑います。
水泳で体幹鍛え、強豪の先輩選手に競り勝つ
ゴルフ場でレッスンプロの指導を受けるには、自宅から車で片道1時間以上かかります。そこで、週1回、店の隣のインドア練習場でプロ選手による一般向けの指導会を開いて、その機会にプロ選手のアドバイスを受けるよう工夫もしています。
小田選手は身長153センチ、45キロ。全国大会に行くと、周囲の選手の体格とパワーに驚くと言います。「大きくてびっくりします。ドライバーで20~30ヤード置いていかれます」。それでも、トレーナーと相談して、将来けがをしない体づくりを目標としているため筋力トレーニングにはあえて取り組まず、地道に体幹中心のトレーニングを続けています。週2日、練習の後に水泳を続けてきました。
今後は2027年のプロテスト合格をめざし、筋力、体力アップのトレーニングメニューを増やして、「体力差を縮めていきたい」と話します。たまの息抜きは、ネット配信でアニメを見ること。でも、「遊ぶのはプロになってからでもできる。いまは遊んだり、スマホをいじったりする暇があれば練習に充てたいです」と言います。
これまでの努力が着実に実っています。24年の地元の大会では、日本ジュニアゴルフ選手権で優勝経験がある先輩選手に競り勝って「ベストアマチュア」になり、「全体的にプレーが安定していて、パターが入りました」と振り返ります。また、10月に佐賀県で開催される国民スポーツ大会に、山口県代表として出場することも決まりました。
地元名産「長州どり」の焼き鳥やフグが大好き
小学生のころから懸命に練習して、大会で好成績を上げる小田選手には地元の注目が集まります。大人たちが声をかけ、励ましてくれます。「祐夕ちゃんに食べさせて」と魚を持ってきてくれたり、優勝のごほうびとして長州どりの焼き鳥を差し入れてくれたりします。明治安田「地元アスリート応援プログラム」も、父の仕事のお客さんが応募をすすめてくれました。応援してくれる地元の方たちに貢献できるというプログラム主旨が、まさに私の考えと一致して応募を決めました。と語ります。
長門は海と山の自然が豊かで、海岸線は景観の美しさから北長門海岸国定公園に指定されています。「自然がいっぱいあるし、応援してくれるおじいちゃんやおばあちゃんがたくさんいます。地元のフグと焼き鳥が好きです」
長門市の人口は約3万人。高齢化と人口減少が進みますが、「プロになって活躍すれば、小さい街からでも努力すれば夢がかなうことを小さい子どもたちに伝えられ、地元のみなさんも笑顔になる」と力強く話します。そして、海外でプレーすることをにらんで「英語の勉強などもしていきたいです」とつけ加え、長門を背負って世界に羽ばたく日をめざして鍛錬をつづけています。
(取材・制作:4years.)