U17からU20へ 新たなステージで世界の強豪に挑む
埼玉県のアスリート、フェンシング(エペ)の大高姫菜選手(浦和実業学園高校2年)は、2023年3月のアジアジュニア・カデ選手権大会で団体銀メダル、4月の世界ジュニア・カデ選手権大会では個人23位と国際舞台でも実績を重ね、国内では11月の全国カデ・エペ選手権大会個人戦で優勝を飾った高校生フェンサー。今後は世界の舞台でも勝てる選手をめざしています。
クラブの年上からポイントが取れて大好きに
小学4年のとき、埼玉県の「彩の国プラチナキッズ育成プログラム」に参加した大高選手は、ここでさまざまな競技を経験しました。特に適性があると判断されたのが、スピードスケートと近代5種。すべて未経験でしたが「はじめて挑戦するのが楽しかった」と言い、どの競技もそつなくこなしていました。しかし唯一、「はじめは嫌だった」と言うのが近代5種に含まれるフェンシングだったのです。
「防具が入っているところはまだいいけれど、すねを(剣で)突かれると痛くて。あざができるのが嫌でした。しかも最初は勝てなかったので、自分から『やりたい』と思う競技ではありませんでした」
嫌いだったフェンシングが、なぜ今では大好きになったのでしょう。理由はシンプルでした。
「フェンシングの練習をするクラブの中で、私が一番年下でした。いきなり勝つのは無理だから、最初は練習中に一人ひとりから1本を取ることを目標にしたんです。もともと負けず嫌いで、学校の授業でも課題が出されたら最初に提出したいタイプなので(笑)。実際に強い人たちから1ポイント取れるようになったらうれしくて。フェンシングが大好きになって、フェンシング一筋でやっていきたい、と思うようになりました」
国際舞台で突きつけられた新たな課題
負けず嫌いを自認するとおり、相手が強ければ強いほど燃えるのが大高選手。中学生の全国大会やカデ(U17)の大会で次々と結果を残し、22年には全国カデ・エペ選手権大会個人で3位になるなど、飛躍的な成長を遂げました。
体のどこを突いても得点になるエペは、相手の出方をうかがう選手も多いのですが、大高選手は「守るよりも攻撃を意識する」ところが長所です。素早い動きの基本となるフットワークを武器としてきましたが、U17のアジア選手権や世界選手権といった国際舞台では、新たな課題を突きつけられました。
「同じ年齢でも身長が180㎝の選手や、フットワークが異次元な選手もいる。自分の長所や武器としてきたものもまだまだ通用しないと思ったし、もっと上のカテゴリーの大会にも出場して、経験を重ねていかないといけないと実感しました」
国際大会に行きたすぎて勝ちとった優勝
23年の国際舞台でフットワークの改善が必要だと感じた大高選手。練習の中でもフットワークを多く取り入れるようになり、プレーにも自信が持てるようになってきました。しかし、そんな中で左足をけがしてしまいます。思うように練習ができない時期もありましたが、11月の全国カデ・エペ選手権大会で見事優勝を果たします。
「全国カデ・エペ選手権大会でランキング上位に入らないと、(U17の)アジア選手権と世界選手権に行けないという話をコーチとしていました。けががまだ完治していなかったのですが、あの空気感をもう一度味わいたい、国内でやってきた自分の技がどれだけ通用するか知りたいという、私の行きたすぎる気持ちで優勝することができました」
そして挑んだ24年2月のアジアジュニア・カデ選手権大会、4月の世界ジュニア・カデ選手権大会でしたが、23年の成績を上回ることはできませんでした。
「23年は初出場だったので、緊張やプレッシャーがない状態で参加できました。しかし、今回は2回目だったのでいい成績を残さないといけないとか、メンタル面で、あまり良い状態で参加はできなくて、ちょっと落ちてしまった」と振り返りました。
草加せんべいがつないだ海外選手との縁
日本代表として経験を積んでいる大高選手。海外試合は新たな縁を育む機会にもなりました。その縁をつないだのは、地元の埼玉県草加市が誇る名産・草加せんべいです。
「アジア選手権に草加せんべいを持って行って、韓国、中国、サウジアラビア代表の選手に『日本で一番おいしい食べ物だから食べて』と渡したんです。英語が得意ではないので翻訳機を使いながらでしたが、草加せんべいを話のタネにしてコミュニケーションを取りました。海外にはしょっぱいお菓子がポテトチップスぐらいしかないので、草加せんべいは珍しいし、『新感覚ですごくおいしかった』と言ってくれて、うれしかったです」
24年の国際大会でもキャリーバッグに草加せんべいを詰め込んで挑んだそうです。
23年度から明治安田「地元アスリート応援プログラム」に支援アスリートとして活動している大高選手。応募を決めた理由の一つも、競技で頑張ることが地元のPRになると考えたからです。
「一緒に練習する方々だけでなく、はじめて会った方からも『フェンシングで頑張っているね』と声をかけていただけるとうれしいし、小さい頃からお世話になっている草加市の方々にも恩返しがしたい。前は『応援してもらっている分、結果を残さなきゃ』と緊張して、自分の力が出せないことも多かったのですが、最近はプレッシャーに感じることなく、世界でも勝てる選手になって、地元の方々、みんなに応援される選手になりたいと思えるようになりました」
U20でもアジア選手権や世界選手権の日本代表に
24年度から大高選手は、U17からU20にカテゴリーが変わります。これまでと違う上のレベルでの挑戦がはじまります。
「U20やシニア、それぞれのカテゴリーで日本代表になってアジア選手権や世界選手権に出場して勝てる選手になることが目標です」
U20の選手にとっては、U17で国内トップの実績を持つ選手が上がってくることは脅威となるでしょう。負けず嫌いで、相手が強ければ強いほど燃える大高選手は、「自分が結果を残せるのかすごく不安ですけど、その中で自分のやりたいことを試すいい機会だと思う」と不安よりも楽しみの方が勝っているようです。
国際舞台での活躍がますます期待される大高選手。地元草加市の方々からの応援にパワーをもらいながら、さらに上をめざします。
(取材・制作:4years.)
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