3度目のプロテスト 大学を卒業して背水の陣で挑戦
大阪府のアスリート、女子アマゴルフの貞永葵生選手(フリー)は関西では中学時代から知られた存在で、滝川第二高校時代に団体で全国優勝、大手前大学時代も主力選手として関西リーグや全国女子大学対抗戦で活躍しました。卒業後のいま、3度目の受験となるプロテストに背水の陣で臨みます。
中学2年生で全国大会でも成績残す
貞永選手がゴルフをはじめたのは10歳のとき。父の卓美さんが通っていたゴルフ練習場に、双子の姉・茉白さんと一緒についていったことがきっかけです。そのころ、ピアノやクラシックバレエを姉妹で習っていましたが、一緒にゴルフのレッスンにも通いました。習いごとのなかでゴルフが面白くなり、続けることにしました。
最初は姉の方が成績は良かったのですが、中学2年生のころから葵生選手も成績が上がり、2016年の関西ジュニアゴルフ選手権競技で2位になりました。「全国大会に行ったら好きなアイドルのヘッドカバーを買ってあげると母に言われ、頑張りました」と笑います。全国中学校ゴルフ選手権春季大会18位など全国大会でも成績を残します。
高校はゴルフの強い神戸市の滝川第二高校に進みました。1年生で「緑の甲子園」と呼ばれる全国高校ゴルフ選手権のメンバーに選ばれ、団体の部の優勝に貢献しました。個人でも2年生の日本ジュニアゴルフ選手権競技で16位タイとなります。3年生になった20年は新型コロナウイルスの影響で大会中止が相次ぐ中、冬にあった全国高校ゴルフ選手権特別大会で団体3位に入りました。
高校卒業後に女子プロゴルファーになろうと思っていた貞永選手ですが、思わぬことが起きます。新型コロナウイルスの影響で20年度のJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)のプロテストが延期になってしまったのです。このため、ゴルフ部が強豪として知られる大手前大学(兵庫県西宮市)に進むことにしました。1年生からレギュラーになり、2年生の全国女子大学ゴルフ対抗戦では、メンバーとして団体3位に貢献しました。個人でも日本女子学生ゴルフ選手権競技で11位タイになっています。
強気に攻めるゴルフでバーディーをねらう
身長148センチでドライバーの平均飛距離が230ヤードと、飛ばすタイプではない貞永選手ですが、「バーディーをたくさん取るゴルフ」が身上です。持ち味は「強気で攻める」ことです。
大学3年生では、初心に返ってプロテストに挑戦しました。8月終わりの1次予選(3日間競技)は通算5アンダーで無事通過したものの、10月半ばの2次予選(4日間競技)で通算14オーバーと崩れて最終テストに進めませんでした。「コースは難しくなかった。バーディーチャンスにつけないと、と思いすぎて気持ちがコントロールできませんでした。球が行ってはいけないところに行ってしまって……」
もうゴルフはやめようかと頭をよぎりましたが、「大学にいるうちは」と思い直し、次の年にもう一度プロテストに挑戦しようと決めました。しかし、ここから、プレーが狂いはじめます。ドライバーの球筋を修正しようと取り組んだところ、右方向に行くミスが頻発するように。悩みを抱えたまま臨んだ4年生のときのプロテストは1次予選で通算13オーバー。通過ラインに遠く及びませんでした。
「大学の他の人は就職活動をしている時期だったので、自分もゴルフをやめて就職活動をした方がいいかなと思いました」。実際、1ヵ月ほど就職活動をしました。でも、就職活動中に考えた「一番したいこと」がやっぱりゴルフでした。就職先を考えることもできませんでした。
そんなとき姉の茉白さんが言葉をかけてくれました。「ゴルフをやめるなんてもったいない。来年、もう一度プロテストを受けたらいいよ」。両親も続けることを応援してくれました。家族の後押しを受けて心機一転、もう一度、プロテストに挑戦することにしました。
元気の源は母の柚胡椒入りの豚汁
練習環境も変えました。新しいコーチの指導を受け、住まいも西宮市内から大阪府松原市の実家に戻りました。大学を卒業しフリーになって、ゴルフの練習場もいろいろな所に通うようになりました。25年はアマチュアとして女子プロツアーに出るための主催者推薦選考会などへの出場を重ねるつもりです。
貢献したい地元は松原市です。「生まれ育ち、はじめてゴルフスクールに通ったのも松原市です」。自分が活躍することで松原市を盛り上げたいと思っています。明治安田「地元アスリート応援プログラム」で、こどもたちにゴルフを教えたい、ゴルフを広めたいという思いもあります。
貞永選手の元気の源は、母の恵美さんが作る豚汁です。「具はたぶん普通ですけれど、母の豚汁には柚胡椒が入っているんです」。冬に限らず年中、食卓に上るという豚汁を食べて頑張っています。
1年以上、悩んだドライバーはテイクバックを工夫することで、良くなりました。「父母やいろいろな人に関わってもらってここまでゴルフをしてきているので、プロテスト合格で恩返しをしたい」。25年がラストチャンスとの思いで3度目のプロテストに臨みます。
(編集:4years.)