次なる目標は日本記録更新!世界をねらう女子円盤投げ期待のホープ
山形県のアスリート、陸上(円盤投)の齋藤真希選手(太平電業所属)は、大学在籍時にインカレ4連覇を達成するなど学生陸上界で華やかな功績を残した、国内のトップを走るアスリート。2025年からは舞台を変え、社会人アスリートとして一歩を踏み出した彼女。日本記録更新を目標に、世界で戦う土台を着々と築いています。
学生個人4連覇、学生陸上界で有終の美を飾る
齋藤選手が円盤投げに出合ったのは小学6年のとき。6歳年上の姉が投てき競技をやっていたのを見て、興味を持ったといいます。体験として短距離や跳躍もやってみたそうですが、「投てきが自分に合っている」と中学に入ってから本格的に取り組むようになりました。元高校教諭で自らも円盤投げの選手だった菅原稔先生の指導を受け、めきめきと力をつけ、中学3年のときには44m57を投げて中学記録を更新しました。
鶴岡工業高校(山形)に入ってからも、自己ベストとともに高校記録を更新。高校2年、3年の全国高校総体(インターハイ)ではこの種目で34年ぶりとなる2連覇を果たしました。特に3年のときには年上の選手たちをおさえて、日本選手権でも優勝。「第一人者」として順調に駆け上がり、東京女子体育大学2年、3年のときも日本選手権を制しました。東海大学大学院に進み、24年6月の日本学生個人選手権では自身の大会記録を塗り替え見事4連覇を達成するなど、圧倒的な成績で学生生活を終了。25年からは太平電業に入社し、舞台を新たに競技に取り組んでいます。
「大学では、世界陸上やアジア大会などにも派遣していただき非常に良い経験をさせていただきました。コロナなどの影響もあり、思うように競技に取り組めなかった時期もありましたが、今はやり切ったなという思いが強いですね。唯一心残りなのは、目標にしていた学生記録の更新ができなかったことですが、今は気持ちも新たに次の目標に向かって練習に励んでいます」と、学生競技生活を総括してくれました。
自然豊かな地元が大好き!自身の活躍でもっと活気づけたい
明治安田「地元アスリート応援プログラム」への参加は、山形県鶴岡市で選手の強化を担当している先生から教えてもらい、地元に貢献できるというプログラムの趣旨に賛同して応募を決めました。
中学の頃から鶴岡市の競技場で練習を積んできた齋藤選手。東京女子体育大学に入って上京しましたが、長い休みで帰省したときに競技場で練習していると、「頑張ってね」と地元の人が声をかけてくれます。地元の好きな料理をたずねると、「お母さんのご飯が一番おいしい」と齋藤選手。特にハンバーグが好きだと笑顔で話してくれました。
地元で好きな場所については、「練習ばかりしていたので、あまり遊びに行くということもなかったんです」。ずっと鶴岡市の競技場で練習をしていたので、競技場が親しみを感じる場所になっているといいます。「自分が一番安心して練習に打ち込める場所です。競技場からは山々が見えて美しいですし、自然豊かなところもお気に入りのポイントです」
「実家が温泉旅館を営んでいるので、そこに来ていただいているお客さまや知り合いの方々からも応援の声をたくさんいただいていると母を通じて聞いています。自分がもっと活躍することで、より地元を活気づけていければなと思っていますね」
24年は、地元鶴岡市で開催された明治安田主催の「子ども夢スポーツフェスティバル in鶴岡」にゲストとして参加。地域の子どもたちと触れ合いました。
「これから育っていくであろう、未来のアスリートがたくさんいてすごく期待が持てましたし、自分自身もリフレッシュできて良い経験でした。親御さんたちからは、多くの応援の声をいただき、より競技を頑張ろうという気持ちになりました」
日本人が世界で戦うために、技術力で体格をカバーする
齋藤選手はこれまで大きなけがもなく、常に自分を超えよう、年代ごとの日本記録を塗り替えようとモチベーションを高く持って、競技を続けてきました。しかし第一人者であるがゆえ、特に国内では「勝って当然」という「勝ち続けること」へのプレッシャー、つらさを感じて悩むことがあったといいます。そんな重圧もはねのけ24年6月に開催された日本学生個人選手権では57m50の記録で優勝。自身が持っていた大会記録を塗り替えて、見事4連覇を果たしました。
国内ではトップレベルの齋藤選手が次に見据えるのは、もちろん世界。23年8月には自身初となる世界陸上に参加しました。しかし、結果は36位と振るわず。この経験が非常に大きかったといいます。
「世界で戦う上で、今の自分ではまだまだ足りない部分が多いです。世界の選手と比べれば圧倒的に身長や体格が足りないなかで、日本人の私がどのように戦うかを考えたとき、フィジカルを磨くことはもちろん技術も重要だなと感じています」と齋藤選手。24年はこれまで培った技術面をより磨くとともに、足回り、腰回りを重点的にフィジカルアップしてきたのだそう。
そんななか、24年6月に韓国で開催されたアジア投擲選手権では3位に入賞したものの新たな課題も見つかったといいます。「コンディションが良くなかったというのもありましたが、サークルに対応できなかったというのが一番の敗因です。世界で戦っていくために、どのようなサークルでもしっかり対応していかなければと改めて実感しました」と話してくれました。
世界陸上で好成績&日本記録の更新をめざす
社会人になった齋藤選手。練習環境や拠点は変わりませんが、自身の中では大きな心境の変化があったそうです。
「社会人になって、お金をもらって競技をするという形になります。だからこそ、会社を背負っているんだというくらいの自覚をもって競技に臨んでいます」
次の目標は、25年に東京で開催される世界陸上で好成績を残すこと、さらには日本記録の更新です。
「前回は出場することで精一杯だった世界陸上。次は記録にも拘らなくてはいけないと思っていますので、まずは決勝に残ることを目標にしたいです。そして世界で戦う上では、日本記録は更新しなくてはいけないと思いますので、達成したいですね」と力強く語ってくれました。
日本では円盤投げを含む投てき競技は、まだまだ競技人口が少ない状態。「自分が憧れられるようなアスリートになっていきたいです。まずは自分が活躍して、発信していけるといいなと。そして自分の持っている技術を次の世代の人に伝えていきたいと考えています。そうすることで競技人口も増えるし、山形県全体の投てきも盛り上がっていくのかなと思っています」
日本女子円盤投げの第一人者として、齋藤選手はこれからも成長し続けます。
(編集:4years.)
プロフィール画像©太平電業