研修生でゴルフに専念 プロテストにかける
宮城県のアスリート、女子アマゴルフの櫻井梨央選手(仙台クラシックゴルフ倶楽部所属)は明秀学園日立高校を卒業後、日本大学に進学、日本女子学生ゴルフ王座決定戦で優勝するなど活躍しました。3年生の途中からは地元に戻ってゴルフクラブの研修生になり、仕事をしながらプロゴルファーめざして修業の道を歩んでいます。
中学3年で東北ジュニア優勝
櫻井選手がゴルフをはじめたのは小学4年生のころ、ゴルフ好きの父や祖父母のラウンドに加わるような形でした。はじめて出場した宮城県の大会では120打前後の成績でした。「優勝した子は80打くらいで回っていて衝撃を受けました。こんなにうまい子がいるんだと」
それからは猛練習です。週1回のレッスンにとどまらず、毎日300球ほど打ちこみます。6年生のときに宮城県ジュニアゴルフ選手権で優勝。中学に入っても部活動の代わりに、学校から帰るとゴルフ練習場に行くような毎日でした。3年生では東北ジュニアゴルフ選手権で優勝しました。
高校はゴルフの強い茨城県の明秀学園日立高校に進みます。寮生活を送り「自分の人生の中で一番大事な3年間だった」といいます。女子の同期6人のうち、2人がすでにJLPGA(日本女子プロゴルフ協会)のプロゴルファーになっています。1人は3年生でプロテストに合格し、2024年の「スタンレーレディスホンダゴルフトーナメント」でプロ初優勝を挙げた佐藤心結選手。もう1人は日本大学進学後に日本女子学生ゴルフ選手権競技で優勝、最終プロテストで合格した小暮千広選手です。櫻井選手も高校3年生のときにプロテストを受け2次予選まで進みましたが、1打差で最終テストに進めませんでした。
櫻井選手はゴルフの名門の日本大学に入学します。「次の年のプロテストを受けることも考えましたが、自分の中に不安があって、大学のコーチと話して進学することにしました」。同時期に進学した小暮選手と一緒に団体戦を経験したり、間近で小暮選手のプロテスト合格を見たりして刺激を受けました。
日本女子学生ゴルフ王座決定戦で優勝
1年生のときの櫻井選手は飛距離を伸ばそうと無理なスイングになり、持ち味のショットの正確性をいかせず悩んでいました。そんなとき、小暮選手から「人と比べるのではなく、梨央らしく自分のプレースタイルを貫けばいいんだよ」と言葉をもらいました。「飛ばなくてもいいから、ショットの精度を上げて自分のゴルフにつなげよう」と思い直します。
2年生の8月の日本女子学生ゴルフ選手権は12位タイ、11月からの日本女子学生ゴルフ王座決定戦ではマッチプレーのトーナメントで優勝できました。「メンタルも重要なマッチプレーで優勝できてすごく自信になった」と話します。
3年生の日本女子学生ゴルフ選手権は絶対に優勝するつもりで臨みました。優勝者は1次、2次予選を経ずに最終プロテストに出場できる権利を得られます。バーディーをたくさん取れた一方でボギーも多く、結局、4位タイに終わりました。「自分の弱い部分が明確に見えた。ボギーを減らすにはグリーン周りのミスを減らすしかない。簡単にボギーを打たない。1打の重みを感じた」と話します。
それから、ほどなくして大きな決断をします。大学をやめて、ゴルフに専念するため地元に戻り仙台クラシックゴルフ倶楽部の研修生になります。「大学の授業は大事だけど、その時間も練習にあてたい気持ちがわき上がってきました。退路を断って自分を奮い立たせました」。土、日曜日はキャディーの手伝いで働きます。平日はショットやパターの練習をして、お客さんの最終組がスタートした後にコースでラウンド練習をさせてもらっています。
明治安田「地元アスリート応援プログラム」に応募したのは、その仙台クラシックゴルフ倶楽部で25年7月に女子プロレギュラーツアーの「明治安田レディスゴルフトーナメント」が開かれることになり、関係者からプログラムの存在を教えられたからです。地元の宮城県は11年の東日本大震災で被害を受け、櫻井選手の母・千夏さんの多賀城市の実家も全壊しました。震災からの復興に貢献できることがあるのではと思い、「自分がプロになって活躍することで宮城を、東北を盛り上げていきたい」といいます。
櫻井選手を元気づけてくれるのが仙台名物の牛タンです。「小さいときから大好き」といい、仙台市にある「一隆」の牛タンを店でも、持ち帰りでも食べているそうです。「牛タンでご飯3杯くらい食べちゃいます。赤身でもすごく柔らかくて」とべたぼれです。
仙台でゴルフに専念して、ドライバーの平均飛距離は230ヤードから240ヤードに伸びました。ときには250ヤード飛びます。研修生になって試合出場は減りましたが、例年以上に練習しているので自信はあります。先にプロになった同期2人への思いもあります。「最初はプレーを見るのもつらかった。でも今は感謝しています。自分に対して弱い気持ちが出てきたときに同級生の活躍が刺激になります」。「まずはプロテストに合格すること。プロになってからは小さい頃からの夢の賞金女王になりたい」という櫻井選手。勝負の一年です。
(編集:4years.)