愛着ある地元の高校に進学 山形からプロへと決心
山形県のアスリート、女子アマゴルフの柴﨑香凛選手(東北文教大学山形城北高校3年)は、2021年の世界ジュニアゴルフ選手権東日本決勝大会13~14歳女子の部を制した有力選手です。県外の強豪校に進学する選手が多いなかで、地元の高校に通いながらスキルを磨いています。目標は山形の高校出身のプロゴルファーです。
サクランボに蔵王連峰 こんこんと湧く地元愛
柴﨑選手がゴルフをはじめたのは、小学5年生のときでした。仲の良いクラスメートと同じ地元のゴルフスクールに通うようになりました。「まっすぐ、遠くまで飛ばせると本当に気分がよくて」。ゴルフの魅力に引き込まれました。
山形大学付属中学に進学し、練習に力を入れます。中学2年の世界ジュニアゴルフ選手権東日本決勝大会13~14歳女子の部で優勝に輝き、中学3年のときは地元山形県の代表として国民体育大会(現・国民スポーツ大会)に初出場。初日に崩れたものの、2日目に全国個人の部でベストスコアとなる67打で回り、個人総合19位タイに入りました。
成長著しい柴﨑選手。進学先は、ゴルフの練習環境が整い、有力選手どうしで切磋琢磨できる県外の高校という選択肢もありました。山形県は、冬は雪のために閉鎖されるゴルフ場が大半で、全国大会や大きな大会は関東や関西での開催が中心です。それでも、あえて地元の高校を選びました。
「山形の高校出身の著名なプロゴルファーは聞いたことがありません。でも、山形にいてもプロになれるということを示せればと思っています」
地元名産のサクランボやラ・フランス、名物の芋煮が大好きだという柴﨑選手。地元の山形市では蔵王連峰の景色をあおぐことができ、何と言っても温泉の魅力があります。あがった後も、ポカポカとしたぬくもりが残ります。生まれ育った山形市への愛着に勝るものはないといいます。
けがに苦しみ お寺で図った精神統一
高校1年の春、世界ジュニアゴルフ選手権東日本決勝大会15~18歳女子の部で準優勝します。東北ゴルフ連盟の強化指定選手に選ばれるなどして、練習に打ち込んでいましたが、高校2年の春、思わぬアクシデントに遭遇してしまいます。
校舎で教室のドアに右手の人さし指を挟んでしまいました。痛みが残り、ショットのたびに気になります。次第にスイングも崩れ、思うような球が打てません。メンタルも崩し、苦しい時期が続きました。「ゴルフはショットもアプローチもパターもさまざまな面をバランスよくこなせないと、成績が出せません。それにはメンタル面の強さが欠かせません。けがで本調子でないときは厳しかったです」
苦境で支えてくれたのが、周囲の人たちでした。柴﨑選手の父智敬さんは、お寺の住職です。父に言われたわけではありませんが、お寺の本堂で座禅を組み、瞑想に取り組みます。静かな気持ちを少しずつ取り戻していきます。月1、2回、本堂に顔を見せるようになった姿を、智敬さんは静かに見守ったそうです。
「これをきっかけに一からやり直そう」。気持ちを切り替えようと努め、毎月、東京のコーチのもとに通いました。ジムでの筋力トレーニングにも力を入れます。高校2年の冬、痛みがなくなったころ、感じたそうです。「支えてくれた父母、見守ってくれるコーチ、応援してくれる地元の方々のおかげです。心技体が成長してきたと自分で分かるぐらいになりました」
山形で女子ツアー開催が夢
身体も心も一回り大きくなった柴﨑選手は、力強いスイングが持ち味です。高校3年になった今、70台半ばだった平均スコアが、70台前半になりました。
明治安田「地元アスリート応援プログラム」に応募したのは、周囲の人たちに恩返しをしたいという気持ちからです。「地元で自分を鍛えあげて、プロになり、地元のみなさんが喜ぶような活躍をみせたい」。ゴルフ関連イベントなどの機会に地元の多くの人と交流し、郷土への思いを深めたいと感じています。
柴﨑選手の目標は、プロになって賞金女王になることです。プロテストは25年から受験するつもりです。「プロテスト対策に励み、3回目以内での合格をめざします。高校を卒業した2回目以降のテストは地元のゴルフ場で練習生をしながら、そして3回目以降になればティーチングプロの資格を取りながら、とにかく突破をめざします」
憧れのプロゴルファーは河本結選手。「勉強家で、ひたむきな姿勢がすごい方だと思います」。ほんわかとした性格の柴﨑選手も、試合中は燃えるような気持ちでプレーし、集中しているときは色白の顔が紅潮します。
智敬さんは柴﨑選手を静かに見守っています。「仏教用語では『身心脱落』。今までの迷いや欲などを捨て去り、ただひたすらゴルフの道を一歩一歩学び進んでいくと覚悟していってほしいですね」
ゴルフも地元も愛してやまない柴﨑選手。「選手を引退したら、地元で後輩を育てていきたい。山形で女子プロゴルフの大会を開催することも目標です」。大きな視野をもって、大きな夢に向かって精進を続けています。
(編集:4years.)