世界の壁を越えW杯表彰台へ 2026年は新技を武器に再始動
愛知県のアスリート、スキー(フリースタイル/スロープスタイル・ビッグエア)の菅原希昴(きほ)選手(中京大学1年/AP山形)は2025-26シーズン、世界最高峰の舞台への出場をかけた激しい選考レースのなか、ワールドカップ(以下W杯)7戦に出場する過酷な挑戦を続けました。26年はフリースタイルスキーの普及を願い、W杯での決勝進出と表彰台獲得へ向けて再出発を切ります。
6歳で魅了された華麗な空中戦の世界
5歳でスキーをはじめた菅原選手がフリースタイルスキーと出合ったのは6歳のとき。ジャンプ台で跳んでいる人を見て「楽しそう、私も跳んでみたい」と思ったのがきっかけです。
それからすっかり夢中になった菅原選手は、小学生のころから国際スキー・スノーボード連盟(FIS)公認の大会に出場。中学生になると2、3年時に全日本スキー選手権大会スロープスタイルで連覇を達成しました。現在ではフリースタイルのホープとして期待されている存在です。
25年1月からは念願のW杯への参戦がはじまり、ビッグエア種目で10位入賞を果たすなど鮮烈な世界デビューを飾りました。さらに同年4月のヨーロッパカップ(スイス)では、新技「スイッチ1080」を完璧に成功させてビッグエアで優勝、スロープスタイルでも2位に輝くなど、一躍その名を世界に轟かせました。
海外での活躍が続く菅原選手ですが、海外遠征には多額の費用がかかります。そんなとき、知人から明治安田「地元アスリート応援プログラム」の話を聞き、応募を決めました。地元のアスリートを応援するという制度の趣旨にも共感し「新しい地元として愛着をもっている愛知県での生活を後押ししてくれるだけではなく、両親の金銭的な負担もサポートできればと思いました」
移住した刈谷市は「第二の故郷のような存在」
活動拠点を山形県から愛知県に移して、26年で6年目。海が好きな菅原選手は、「海を眺めながら心を落ち着かせています。山形に住んでいたときも、海が家から近くてよく見にいっていました。刈谷は第二の故郷のような存在です」と顔をほころばせます。
25年6月には明治安田刈谷支社の「お客さまのつどい」に招待され、新たなマネジメント会社との出会いや、地元の人たちからの温かい激励の声に大きな勇気をもらいました。
「自分を支援してくれる第二の故郷・刈谷市を、自分の活躍によって盛り上げたいです」と恩返しを誓います。
激動の選考レースとW杯での確かな収穫
25-26シーズンは、世界最高峰の舞台への切符をめざすきわめて重要な1年でした。例年より早い11月からW杯が幕を開け、世界各地を転戦する過酷なスケジュールに直面。「試合に合わせた調整が中心となり、新しい技をじっくり練習する時間を確保するのが難しかったです。大舞台への焦りから、前半戦は自分の滑りを見失うこともありました」と、世界のトップを争うプレッシャーの厳しさを痛感しました。
しかし、激闘を経た後半戦、26年3月に開催されたフランスでのW杯スロープスタイルで大きな収穫を得ました。もともとは苦手意識のあった同種目において、周囲の滑りや大会のジャッジ傾向を冷静に見極め、自身の難易度を適正にコントロールしたランを完璧に完遂して13位をマーク。「自分の通したいランをしっかりと通せたことは、精神面での大きな成長を感じられました」と語るように、苦境のなかでも自らの進化を証明してみせました。
世界の女子選手のレベルは年々激化しており、現在は数年前の男子トップ選手と同等難度のトリックが求められる時代へと突入しています。菅原選手は、空中縦2回転・横3回転を繰り出す大技「ダブルコーク1080」を雪上で成功させているものの、25-26シーズンは大会直前のミスやけがのリスクを考慮してコーチからストップがかかり、本戦での披露は叶いませんでした。
「大会中に新しい技に挑むのは精神的にも一杯一杯になってしまうので、26年は夏場に南半球やヨーロッパへの練習遠征を組み、実戦に近い雪上環境でじっくりと大技を磨き上げたいです」と前を見据えます。
また、標高の高い海外特有のタフなコースでけがをしない体づくりのため、これまで以上にウエイトトレーニングの強度を上げたという菅原選手。世界のスピードに初日から気後れせずアジャストできる強靱(きょうじん)なフィジカルとメンタルの強化を徹底的に行なっています。
26-27シーズンの明確な目標は、次なる世界選手権やW杯での決勝進出、そして表彰台に登ること。また、それと同時に菅原選手が強く願うのは、競技のさらなる普及です。
「スノーボードのように、フリースタイルスキーもキッズ選手がたくさん増えるような注目競技にしたい。自分が世界の最前線で活躍することで、ジュニア世代の子供たちから憧れられる存在になります」と語るその瞳は、挫折を乗り越えてよりいっそう強く、世界の頂点を見据えています。
(編集:4years.)