ギャラリーをわくわくさせたい 「攻めのゴルフ」で世界の舞台をめざす
茨城県のアスリート、女子ゴルフの宇津木さやか選手(開智望中等教育学校3年)の持ち味は「攻めのゴルフ」。高い身体能力を活かして、小学校高学年から全国大会で数々のタイトルを獲得し、海外の大会でも輝かしい成績を収めています。両親の支えを力に変え、世界の舞台を見すえて練習に励んでいる若手の注目選手です。
「楽しい」から「負けたくない!」へ 基礎づくりに力注ぐ
ゴルフとの出合いは小学2年。会社のゴルフコンペに参加するため練習場へ向かう父について行って、こども用のクラブをはじめて握りました。「最初はクラブに当たらなかったのが当たるようになり、少しずつ前に飛ぶようになるのが楽しかった」。週末、練習場のスクールに通いはじめ、ティーチングプロに教えてもらうようになりました。
その夏、渋野日向子選手が全英女子オープンで日本人選手として42年ぶりの海外メジャー制覇。帰国後の大会が長野県・軽井沢で開催され、家族で見に行きました。試合後、多数のギャラリーが集まるなか、宇津木選手を含むジュニア選手たちにサインをくれました。「うまいし、優しく、格好良かった」。このとき、「私も世界で活躍するプロゴルファーになりたい!」という思いが強く芽生えました。
競技ゴルフの対策や大会の準備をはじめ、小学3年の秋に地区予選で3位に。「楽しかったし、表彰状をもらってうれしかった」。冬には地区大会で優勝し、翌年も優勝します。周囲から「教えたことがすぐにできる」と感心されました。ゴルフをはじめる前にボルダリング競技を教わっていた指導者から、週1回、走る・跳ぶ・投げるなど体の使い方や力の伝え方を教わり続けました。もともと足が速く握力も強かったのですが、さらにアスリートとしての基礎をつくることに力を注ぎました。
環境求めて家族で移住 国内外で好成績
当時、住んでいたのは埼玉県八潮市。練習するゴルフ場まで遠く、より良い練習環境を求めて家族で移り住むことを考えました。ですが、決断は容易ではありません。父の直樹さんは「会社の同僚や多くの友人から『本気か?』『やめとけ』とずいぶん言われました」と笑い、「親がやらせるようなことはしたくなかった。娘の人生ですから」「娘が本気なら、親は決断するだけです」と振り返ります。
家族で話し合った結果、「プロをめざすなら、相当の覚悟が必要」(宇津木選手)と、小学5年のときに一大決心をします。
当時住んでいた家を引き払い茨城県つくば市への移住を決断。自宅から約15分以内に複数の練習ができるゴルフ場があります。新しい家の広い部屋に機材をそろえて屋内練習場にして、庭にパターの練習場もつくりました。平日は帰宅後1時間~1時間半ほど練習、週末は近くのゴルフ場へ行ったり大会に出場したりした。
新たな練習環境を活かして確実に力をつけていきます。日本ゴルフ協会主催の全国小学生ゴルフ大会で全国5位に入り、日本ジュニアゴルフ協会が主催する年4回の全国大会のうち、2回優勝し、2位が2回と抜群の成績を挙げました。
海外の大会でも躍動します。中学1年で米国・カリフォルニアで開催されたFCGキャロウェイワールドチャンピオンシップへ出場を果たして、猛暑のなか、世界のトップ選手に交じって3位に食い込みました。シード権を得た翌年は見事2位に。でも、「(2度目の大会は)3日間の日程で2日目までは1位だったので悔しかった」と言います。
自然豊かなつくばが好き 「筑波山が見えるとホッとする」
つくば市は至るところから美しい筑波山が見えます。「遠征からの帰りに筑波山が見えてくると安心します」。地元産の野菜や果物が好きで、トマトやキュウリ、特にイチゴが大好きです。地元にある「CATLOAF CAFE」の季節の果物が入ったクレームブリュレがお気に入りで、「ごほうびで食べに行きます」。お店のオーナーも応援してくれています。国際大会の結果報告でつくば市長を表敬訪問して激励の言葉をもらいました。ゴルフを通じて地元の人たちとの交流も多くなり、応援してくれる人も増えています。
当面の目標は、悔しい2位だった国際大会で優勝することと、日本ジュニアゴルフ選手権の全国優勝。いま、飛距離は240~250ヤードまで伸びています。岩井明愛選手の飛距離、山下美夢有選手の正確なショット、小祝さくら選手の強いメンタルを身につけたいと言います。そして、「難しいコースでも、守りに入らず果敢にピンをねらっていく『攻めのゴルフ』をして、ギャラリーをわくわくさせたい」と話します。
母は食事に気を使って動物性と植物性のたんぱく質を中心にバランス良くそろえ、手づくりの糀(こうじ)調味料を使って献立を組み立てています。「家族やギャラリーに見てもらうことで、より良いプレーができるんです」と、力強く世界を見すえています。
(編集:4years.)