父のアドバイスも素直に受け入れる 成長過程の新高校生ゴルファー
福岡県のアスリート、女子ゴルフの矢谷彩華選手(第一薬科大学付属高等学校1年)は、高校に進学し、新たな環境のなか、新たな意識を持ってゴルフに取り組んでいます。中学最後となった2025年7月の九州ジュニア選手権での雪辱を果たすべく、高校生として参加する同大会に向け練習に打ち込むとともに、意識も一歩大人に成長しました。
自宅に練習場を設置し親子でプロをめざす
矢谷選手がボールを打ったのは小学3年のとき、父・慎浩さんと練習場へ行ったのが最初でした。5年生のころから大会にも出場するようになり、6年生最後となった23年3月の、主に九州北部の選手が参加する大会で、はじめての栄冠を手にしました。
そして、中学はゴルフが強い沖学園学校に入学。慎浩さんは、矢谷選手の入学後すぐに自宅に本格的な屋内練習場を設置します。そこでは、ショットで立つ位置の前後に1台ずつ設置したカメラで撮影し、プロジェクターでショットの様子を映し出すことが、球の飛距離のシミュレーションもできるそうです。
矢谷選手がこのころに目標にしたのが、同じ福岡県出身で当時プロ4年目の天本ハルカ選手でした。「トレーニングはストイックにやっていたけど楽しそうで、彼女のように笑顔がすてきな選手になりたい」と憧れの気持ちを語っていました。
そんな天本プロと何度か会っている矢谷選手ですが、26年2月にラウンドする機会があり、そこではバンカーの打ち方やメンタルの話などを伺い、細かい部分までアドバイスをいただいたそうです。
「うれしい気持ちもあったんですけど、せっかくプロと回れるチャンスだったから、しっかり勉強しようと思ってました」
進化を続けた中学時代
中学生になり、矢谷選手のゴルフは進化を続けます。24年7月の九州ジュニアゴルフ選手権競技では、初日は一時6オーバーでしたが、2日目は気を取り直してトータルは4オーバーの3位タイに。「耐えることができました。バーディーを取れなくても、集中していれば、良いスコアを出せると分かりました」と自信を深めます。
その8ヵ月後、25年3月にあった全国中学校ゴルフ選手権春季大会は2日目前半までショット、パットとも不調で出遅れますが、「もう、攻めるしかない」と奮起。矢谷選手がはじめて抱いた心境でした。
2日目終了時点のトータルで上位40位までが3日目に進めるルールでしたが、矢谷選手は1打差の41位タイという結果に終わりました。このときのことを「それまでで一番悔しかった」と振り返ります。この試合以降、ゴルフに対する向き合い方に変化がありました。「バーディーを取る。守るところは守り、攻めるところは攻めて、流れを持っていきたい」と。
その成果が、6月に行なわれた九州沖縄中学校ゴルフ選手権大会で6位タイの好成績に現れました。しかし、7月の九州ジュニアゴルフ選手権競技では成績が振るわず初日でカット、目標の一つとしていた中学最後の日本ジュニアゴルフ選手権競技出場はかないませんでした。
「24年に比べて成績はあまり良くない。24年に比べて、練習はいっぱいしていたんですけど、結構苦しい1年になりました」
新たな環境のなか新たな意識に
中学を卒業し、進んだのは第一薬科大学附属高等学校の通信課程でした。
「通信の方がいっぱい練習できる。通学時はあまり練習時間が取れなかったり、朝練とかあると、その日、眠たくてあまり練習に集中できなかったりしたので、通信を選びました」と矢谷選手。
中学生の大会では一番上の年齢だった矢谷選手。高校生となり、「高校2年、3年にうまい先輩がいるので、そこに追いつかないといけないし、勝てるのかな?って不安はあるんですけど、勝ちたいです」と決意を語ります。
今後の目標として、まずは7月の九州ジュニアゴルフ選手権競技で上位に入ること。25年、中学最後のこの大会で果たせなかった日本ジュニアゴルフ選手権競技への出場をめざします。
さらにその先は、「九州女子アマを優勝したいと思っています。その先は、日本アマチュアゴルフ選手権に出て、成績10位以内くらいに入りたい。将来はプロゴルファーになって、日本一になりたいなって思ってます」と未来像を描いています。
父は最も身近な辛口コーチ
練習場のスタッフをはじめ、「いろんな方にお世話になってきました」と言う矢谷選手が、「自分のまわりの人たちにいつか恩返しができたら」という思いで応募したのが明治安田「地元アスリート応援プログラム」です。
各地の大会で明治安田のワッペンをつけている選手を見て、プログラムのことを知った矢谷選手。実際に自身が付けると「すごく気合が入って、頑張らないとなって思います」。25年は明治安田久留米支社主催のゴルフ大会にも参加。「絶対いいスコアを出してやると思ったんですけど、とりあえず楽しく大人の方と回れていい経験でした。成績はあまり良くなかったですけど」と笑顔で振り返ってくれました。
矢谷選手のゴルフを、最も身近で見ているのが父・慎浩さんです。SNSでは、同じく大会に出場している妹の紗菜さんの評価も書き込んでいます。
「第三者というか、父ですけど、はたから見て、こうなってたよとか、見返せるように記録として残しています。年ごろなので、それを言ったらけんかになったりする可能性もあるので、記録的に残して、冷静なところで見て、客観的に本人が判断してもらえればって思って書いてます」と慎浩さん。
矢谷選手は「それは違うよというのはないです。全部本当のことだから。朝から見返すときが結構あるんですけど、こんな風に書いてもらって良かったと思っています」と笑顔。お父さんは最も身近なコーチでもあるようです。
今後、意識していきたいことについて矢谷選手は「ゴルフの結果はもちろんですけど、人間性も磨いていきたいと思います。パパに何かいろいろ言われて反抗しちゃったりするんですけど。そういうところも磨いていこうと思います」と答えると、慎浩さんは「ゴルフ場とか関係者、大会関係者とか、そういった方にしっかり感謝の気持ちを持って、真摯にゴルフに取り組んでほしいと思ってます」
高校生になった矢谷選手を、「中学のときよりも、自分を変えなきゃという意識は伝わってます」という慎浩さん。地元への恩返しを胸に、次なる世代でも真摯にゴルフに打ち込む矢谷選手の、少し大人になったゴルフにも注目です。
(編集:4years.)