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林部智史さん
Oct.2024
Vol.229
深い悲しみも日々の小さな幸せも
全てが自分の楽曲と歌声になっていく
コンサートアーティスト林部智史さん

自らをコンサートアーティストだという林部智史さんのカバーアルバム第3弾『カタリベ〜愛のエクラン〜』は、1988年以前に発表された女性の繊細な恋心を歌った楽曲を集めている。林部さんが「歌い手に徹した」ことで届けられる楽曲のメッセージから、あの頃の恋、身を焦がした当時の愛を思い出す人も多いはずだ。

挫折を重ねなければ見えなかった本当の夢

小学校の低学年からバスケットボールに打ち込み、プロを目指していた。地元の強豪校に進学するも、全国の壁は高く、プロへの道は断念せざるを得なかった。プロバスケットボール選手になることは諦めたものの、これまでバスケだけに打ち込んできたため、他にやりたいこともわからない。そんな時、看護学校を勧められ、進学を決めた。

「今考えたら、短絡的だった気もしますが、当時何をしたらいいかもわからず、流れに身を任せていたような感じもありました。当時は男性の看護師は少なく、進学した学校も圧倒的に女性の世界でした。女性ばかりの中で孤独だったこと、そして看護の現場で人の生き死にを目の当たりにすることが本当につらくて、精神のバランスを崩しました。学校を中退した後、地元に帰るのは耐えられないと思い、逃げるように全国を放浪し、住み込みのバイトで生計を立てる日々を過ごしました」。音楽の道を志す前のことを、林部さんはそう振り返る。

沖縄から始めた「自分探し」の旅。ネットで住み込みのバイトを探しながら、新潟、北海道など日本全国を巡った。転機が訪れたのは、北海道・礼文島のホテルのレストランで働いていた時。音楽好きの同僚に、「その声を持ちながらなんで歌手を目指さないの?」と言われたことだった。

「当時のアルバイト先にギターを弾く同僚がいて、バイトの後などに一緒に歌ったりしていました。その人にある日、なんで歌手にならないのと言われて──。振り返れば小さい頃から音楽が好きで、中高の文化祭ではライブをやったりもしていました。ただ、それを仕事にするという発想はありませんでした。しかし、礼文島でそう言われた時はなぜか『やってみよう』と思い、その日に上京することを決めました」

心のよりどころになれる歌を届ける歌い手に

上京して新聞奨学生をしながらボーカル学校で学ぶ日々。学校を首席で卒業するもオーディションにはなかなか受からなかった。「100本以上チャレンジした」というオーディションで幾度となく言われたのは「歌声に個性がない」ということ。

「今は、個性がないこと=クセがないことと受け止められるのですが、当時は悩んで無理やり個性的な歌い方や声の出し方にも挑戦しました。ただ、その後デビューのチャンスにつながったカラオケ番組も、デビューさせていただいた『あいたい』という楽曲も、個性のない自分の歌声が生きたからこそつかめたものだと思っています」

10月23日(水)にリリースされる『カタリベ〜愛のエクラン〜』は、カバーアルバムとしては3枚目となる。林部さんが生まれた1988年以前に作られた「女性の繊細な恋心」を歌った楽曲ばかりで構成されている。

「今回収録している12曲は、全て女性の立場、女性の言葉で紡がれており、なおかつ自分が生まれる88年より以前に作られた楽曲です。だから、気持ちは込めますが、僕が主人公となって歌うべきではないと、曲の外側から歌い手となることに徹しました。当時の男女の在り方や恋愛事情は、今とは全く異なります。言葉の余白や美しさ、情緒を大切にしながら、聴いてくれる人が当時思いを寄せていた人やかなわなかった恋を思い出してくれたらうれしいです」

「人生において、無駄になる経験は一つもない。つらいことも、よろこびもその全てが自分の楽曲と歌声になっていく」。そう語る林部さん。険しい道を歩いてきたからこそ、挫折を知っているからこそ、その透き通るような歌声は、聴く人の心にまっすぐに届くのだろう。

林部智史 New Cover Album
『カタリベ~愛のエクラン~』

林部智史 New Cover Album『カタリベ~愛のエクラン~』

2024年をカバーイヤーと打ち出し、6月には林部智史が生まれた1988年以降にリリースされた楽曲を収録したカバーアルバム『カタリベ2』をリリース。今作『カタリベ~愛のエクラン~』は、林部が生まれた88年以前の楽曲をカバー。歌い手に徹することでその真価を遺憾無く発揮した一枚に仕上がっている。
〈品番〉AVCD‒63655
〈価格〉3,400円(税込み)
〈発売日〉10月23日(水)

「林部智史 CONCERT TOUR 2024・秋~遠き日の セレナーデ~」全国ツアー中

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Profile

林部智史さん

1988年生まれ、山形県出身。2016年、シングル「あいたい」でデビュー。“今、もっとも泣ける歌”として口コミで広がり、有線全国ランキング1位を獲得。その後もロングセールスを続け15万枚突破。16年末には「第58回日本レコード大賞」新人賞、「第49回日本有線大賞」新人賞を受賞。17年2月、2ndシングルとしてテレビ朝日系ドラマ「就活家族」の主題歌「晴れた日に、空を見上げて」をリリース。18年に1stアルバム『Ⅰ(ファースト)』をリリース。同年10月、初のカバーアルバム『カタリベ1』をリリース。カバーアルバム「カタリベ」シリーズの第3弾として、24年10月23日(水)に『カタリベ〜愛のエクラン〜』をリリース。

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