米国と日本で活躍する現在を「私の第二の音楽人生」と語る八神純子さん。その音楽人生の柱の一つであるオーケストラコンサートは、スタートから10年の節目を迎えた。音楽に関しては20代の頃よりも今の方がずっと自由でエネルギッシュだと実感しているという八神さんの歌への愛とパワーに迫った。
オーケストラとともに歌うことこそが原点
16歳でポピュラーソングコンテストと世界歌謡祭に出場した八神純子さんは、そのステージでオーケストラとともに歌った時の感動を忘れられず「いつかまたオーケストラとともに歌いたい」とずっと思い続けていたという。1978年、デビューシングル「思い出は美しすぎて」、同年に発売された「みずいろの雨」がヒットし、その後も次々とヒット曲を生み出してきたが、オーケストラとともに歌う機会には、なかなか巡り合うことができなかった。
「デビューした頃からの第一の音楽人生では、私の周りにいる人たちは、私よりもずっと大人でした。だから私は、周囲の大人たちの言うことを素直に聞きながら活動していたと思います。ただ、オーケストラと一緒に歌うというビジョンは、ずっと忘れずに持ち続けていました。私の声はオーケストラに合うという確信があったんです。10代で体感したあの鮮烈な感動こそが、私の音楽人生の原点なのだと感じています」
10年ほど活動した後、米国・ロサンゼルスに移住。「英語を身につけることは、音楽の間口を広げ、自分の歌唱にも役立つ」と考えた。
「同じ『あ』という音でも、英語の場合は、のどの奥を広げるように発音します。歌を歌っていると、追求したいことは限りなく奥深く、自分の声の使い方一つを取っても学ぶべきことがたくさんあるんです。自分のピークや限界は決めず、その時出せる声に合わせて曲作りにしても、歌い方にしても自分の新たな可能性を切り開き続けたいですね」
第二の音楽人生は自由に楽しく私らしく
10年ほど休止していた日本での音楽活動を再開した矢先に、様々な縁がつながり初のオーケストラコンサート「八神純子 プレミアム・シンフォニック・コンサート」が実現した。
「10代の頃からいつかまたオーケストラと共演できたらと思い続けてきたので、本当に夢のようでした。何重もの弦と管の音に包まれながら、その振動も感じながら歌を届ける感動を再び味わえたことで、私の音楽に対する思いはさらに貪欲(どんよく)になったかもしれません。私がステージ上で聴いている弦楽器の音の美しさをどうやったらお客様にも届けられるだろう、この感動をどんなふうに分かち合おうと試行錯誤しながら続けてきました」
2015年の初演から10周年となる5月の東京公演は、新たな選曲をもとに構成した新しいオーケストラ公演として開催される。共演するのは、日米で活躍する岩城直也さん率いるNaoya Iwaki Pops Orchestra(NIPO)。そして多彩なフィールドで活躍するピアニスト塩谷哲さんの特別出演が決定している。
「岩城さんは若く才能あふれる音楽家です。彼がアレンジしてくれた『みずいろの雨』と『パープルタウン』には、本当に感動しました。20代から歌い続け、様々なアレンジもしてきましたが、まだこんなに心震えるバージョンに出会えるなんて──。この感動は、ぜひコンサートに足を運んでくださる方々とも分かち合いたいと思っています。さらに塩谷さんと岩城さんが同じステージに上がることも、私としてはとても楽しみ。2人の才能が混ざり合って、どんな化学反応が起きるのか、どんなグルーブが生まれるのか、その中で私がどんなふうに歌うのか、本当にワクワクしています。私たち3人だからこそ生み出せる音楽、その一番いい音をお届けしたいと考えているので、足を運んでくださる方はぜひご期待ください」
どんなステージでも全身で音楽を楽しみ、聴く人に喜びを届けてきた八神さん。今回のステージで実現するコラボレーションから、また新たな魅力が生み出されるのだろう。
八神純子 オーケストラコンサート
Season of Songs and Strings 〜常緑〜
米国と日本で活躍する八神純子のオーケストラコンサート10周年記念公演。その最終公演となる東京文化会館でのコンサートには、多彩なフィールドで活躍中の塩谷哲が特別出演。八神の歌声と塩谷、岩城直也主宰のNIPOによるスペシャルなコラボレーションが実現する。
〈日時〉5月3日(土・祝)16:00開演(15:00開場)〈会場〉東京文化会館 大ホール〈料金〉9,800円、ペアチケット18,000円(10周年記念特製プログラム付き、全席指定、税込み)※来場者全員に八神純子特製クリアファイル・チケットホルダーを謹呈。
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Profile

八神純子さん
1958年生まれ、愛知県出身。78年、シングル「思い出は美しすぎて」でデビュー。同年に発売した「みずいろの雨」が大ヒットとなる。その後、「ポーラー・スター」「パープルタウン ~You Oughta Know by Now~」など数々のヒット曲を生み出す。87年米国へ移住。以降、ロサンゼルスを拠点に活動。2000年から約10年日本での活動を休止していたが、11年より再開。15年に初のオーケストラコンサートを実施し、今年は10周年となる。22年米国で『女性ソングライター殿堂賞』を受賞し、日本人初の殿堂入りを果たした。

