自らもバンドを組み、楽器を弾いてライブ活動もする自他ともに認める音楽好きの佐野史郎さん。そのルーツや触れてきた音楽、衝撃を受けたというはっぴいえんどとの出会い、9月26日(土)に開催される「TOKYO POP Chronicle 〜The Music Continues 都市型ポップスの革新者たち〜」というコンサートでSPECIAL TALKに出演する意気込みについて聞いた。
八百万(やおよろず)の神の息遣いをすぐそばに感じながら
島根県出身の佐野さんは、故郷ゆかりの古代神話や小泉八雲を愛し、その世界観を様々な形で発信している。2025年秋のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」での島根県知事役を記憶している人も多いだろう。ずっと縁のなかった朝ドラへの出演は、このドラマへの出演のために声がかからなかったのだろうと思うほど「不思議な縁を感じた」と振り返る。07年からライフワークとして「小泉八雲 朗読のしらべ」と題し、八雲の怪談や世界観を伝え続けている佐野さん。活動を始めたきっかけやその楽しさについてこう話す。
「03年に八雲の百回忌法要がありました。その際に松江市の隣の安来市にある清水寺で『耳なし芳一』『守られた約束』『破られた約束』『鏡の乙女』の4作品を奉納朗読しました。それをきっかけに松江市からご依頼をいただき、07年からはギタリストの山本恭司と一緒に続けています。もともと八雲の作品は好きでしたが、ただそのまま朗読するだけではなく、いくつかの作品を組曲のように脚本として構成し、音楽は恭司に任せながらも二人で構築していくんです。朗読というよりプログレバンドですね」
八雲だけではなく、古事記をはじめとする出雲神話などにも「強く惹(ひ)かれる」という。
「幻想的・怪奇的なものに惹かれるんですよ。神々の集まる出雲地方出身ということも少なからず影響しているかもしれませんが、日本の八百万の神々やアニミズムのまなざしにとても救われます。古代より伝わってきた神話が、今のことのように思える。時代を超えて伝わる物語にはとてつもない力を感じます」
伝説のイベントで出会ったはっぴいえんど
70年代初頭、はっぴいえんどを起点にその周辺で誕生した多彩な都市型ポップス。その系譜をライブとトークでひもとく「TOKYO POP Chronicle 〜The Music Continues 都市型ポップスの革新者たち〜」というコンサートでSPECIAL TALKに出演する。
「子どもの頃から音楽が大好きでした。意識的にロックやフォークを聴くようになったのはビートルズから。小学6年の時にザ・スパイダースのコンサートに行き、『バンドってかっこいい!』とますます音楽にのめり込みました。ラジオの深夜放送にかじりつき、音楽雑誌を読んで音楽の知識を吸収しまくっていました」
そんな音楽好きであり、自らもミュージシャンとしてライブ活動を行う佐野さんを「これはただ事ではない」と驚かせたのが、はっぴいえんどだ。
「岐阜県中津川市の椛(はな)の湖畔で、1969〜71年にかけて開催された全日本フォークジャンボリーというイベントがありました。その70年の音源をレコードにした実況録音盤を手に入れました。そこにはっぴいえんどの『12月の雨の日』が1曲だけ入っていたんです。演奏と日本語の詩の世界観に引き込まれ、文字通り擦り切れるほど聴きました。それで翌年にはいてもたってもいられず、生のはっぴいえんどを聴くため中津川まで出かけました。16歳でした」
10代ではっぴいえんどと衝撃的な出会いをした佐野さんは、はっぴいえんどを取り巻くミュージシャンやその世界観を愛する人々が集まる9月26日(土)のコンサートで何を語ってくれるのか。
「何を話すのかは決めていませんが、はっぴいえんどファンの一人として、参加される方々に純粋に自分の興味をぶつけたいと思っています。あの頃の音楽にあまりなじみのない方にも、魅力を届けられるような一日にしたいですね」
TOKYO POP Chronicle
〜The Music Continues 都市型ポップスの革新者たち〜
はっぴいえんどを起点に、東京で誕生した日本の都市型ポップスの系譜を豪華出演者によるライブやトークでたどる。伊藤銀次、尾崎亜美、杉真里、ブレッド&バターらによるライブには林立夫と小原礼がゲスト出演。ハウスバンドには高野寛や高田漣らが参加する。
〈日時〉9月26日(土)16:00開演(15:00開場)
〈会場〉SGCホール有明
〈料金〉14,000円、U-22 7,000円(全席指定、税込み)
※U-22チケットは22歳以下の方が対象です(公演当日に年齢確認があります)。
■お問い合わせ サンライズプロモーション TEL.0570-00-3337(平日12:00〜15:00)
Profile
佐野史郎さん
1955年生まれ、島根県出身。75年、劇団シェイクスピアシアターの創設メンバーとして参加。80年、唐十郎の状況劇場に入団し84年まで在籍した。86年に林海象監督『夢みるように眠りたい』で映画主演デビュー。92年、TBSドラマ「ずっとあなたが好きだった」で桂田冬彦(冬彦さん)を演じ、社会現象となる。2025年にはNHK連続テレビ小説「ばけばけ」に島根県知事役で出演した。07年からライフワークとして「小泉八雲 朗読のしらべ」をギタリストの山本恭司さんとともに続けている。

