入賞作品紹介

優秀賞
OB・OGの部
大阪府 大城戸 拓郎 さん
応募方法:WEB

私の思い出に残るおむすびは母親が握るおむすびです。私は中学、高校と野球をしていたのですが高校の時に握ってもらったおむすびの味は忘れられません。 私が通っていた高校は公立高校で特に全国レベルに強いという野球部ではありませんでしたが、練習を熱心にする部活でした。時代も時代なので上下関係も厳しく、先輩の言う事は絶対的、あいさつは廊下の遠くにいても先輩の影が見えたら先輩の方に走ってあいさつに行くような上下関係ができた野球部でした。 朝練が6時からあるので4時には起きて、一年生の時は5時30分にはグラウンドに出てグラウンドの整備をして二年生、三年生を待つ毎日。 私はもう中年になるのですが、今でもあの練習の日々、怖かった先輩に怒られている夢を見るくらい本当に辛い毎日でした。 そんな辛い毎日でしたが、朝練終わりのおむすびは本当に楽しみでした。 お昼のお弁当+朝練用に大きいおむすびを二つ、部活がある時は毎日握ってくれます。 お弁当はもちろんおいしいのですが、眠い目をこすり、朝からユニフォームを泥だらけにして、授業が始まる前に食べるおむすびが格別です。 おむすびはソフトボールぐらいの大きさで、ラップに包まれ、その上からアルミホイルで包まれていたので保温性が高く、ほんのり温かいおむすびでした。 おむすびに入っている具材はその当時では珍しいものでした。「卵焼き」、「ウインナー」「唐揚げ」「ミートボール」です。卵焼きはほんのりしょっぱく、ウインナーは少しマヨネーズがかかっており、唐揚げとミートボールは素材のままです。海苔はおむすびに巻いたままだとシナシナになるので別で持っていき、その海苔を巻いて、それらの具材が入ったおむすびを頬張ると口の中から全身に「ドバーッ」と幸せが駆け巡ります。 母親は私よりも早く起きて準備してくれていたため、毎日どんな具材が入っているのかがわかりません。それもあってなお楽しみでした。 私はこのおむすびを食べながら毎日のように練習をして「いつかレギュラーになってやる!」と思っていましたが、三年間一度もレギュラー獲得をできずに野球人生は終わってしまいました。レギュラーになれなくても毎日野球のことに関して何も言わず、母親が握ってくれるおむすびは「感謝」と「ごめん」でいっぱいのおむすびでした。

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