入賞作品紹介

入賞
保護者の部
岐阜県 古田 真由子 さん
応募方法:WEB

おむすびとフルーツ。 高校1年生のときの私のお弁当はこの中身と決まっていた。作ってくれていたのはお母さん。 当時病気をかかえていたお母さんは、薬の副作用や治療で体力が衰え家事も人並みにできない程だった。その姿を見て私は何度も 「お弁当は要らないよ」 と伝えていたが、 「お母さんにできることはこれくらいだから、お願いだからやらせて。」 と同じ返事が返ってきていた。 おむすびは、菜飯の混ぜ込みご飯が一つ、中身が毎日違う一つの2つ。 おむすび形のお弁当箱に入れて、フルーツも私の好きな柑橘系を何種類か入れてくれていた。 菜飯が大好きだったが、もう一つの中身が何か分からないのも食べてからのお楽しみでそれも毎日の楽しみだった。 おむすび弁当を食べれる日はお母さんが生きている証。 そう実感することができる嬉しさを美味しさ以上に幸せに感じてたな。 お母さんは私が高校2年生の春に亡くなった。 余命告知から半年以上も頑張って、全身全霊で私たち家族に生き抜く強さを見せてくれた。 その後のおむすび弁当は、お母さんの母親であるばあちゃんが引き継いでくれて、私に寂しい思いをさせないように大切に育ててくれた。 あれからもう18年。 私も3児の母親になった。 母親になって思うこと。私が当時のお母さんだったら、同じことをするかなと今では思う。 「どんなに治療は体がしんどくても、わが子に持たせるおむすびを握ってやりたい、お弁当作りを頑張ってやりたい。朝の少しの時間を頑張れば娘のお昼ご飯は寂しくならない、それ以上に自分が生きている証を私自身が感じられるし、毎日生き抜く気力の源になる。」 と。 まだ高校生の私を残して旅立つ覚悟を決めなければならなかったお母さんの気持ちを思うと本当に辛かっただろうなと思う。 1日24時間、高校生となると家で親子で過ごせる時間もわずか。 その中で、お昼ご飯におむすび弁当を通して親子で繋がっていられる幸せを感じられたのは本当に貴重で幸せな時間だったなと思う。 今でも菜飯のおむすびを食べるとお母さんのおむすびを思い出す。 どんなに綺麗に、どんなに美味しそうに握ってみても、やっぱりお母さんの味には敵わない。 もう一度お母さんの作ったおむすび食べたいな。 やっぱり、子どもにとってお母さんの味って、美味しいとか盛り付けが綺麗とかそんなのはどうでもよくて、幼い頃から食べてきたお母さんの味が一番落ち着いて安心できる、最強の味なんだと実感してます。 私もいつかわが子たちにそんなふうに思ってもらえるお母さんになれたらいいなと思います。

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