今回のテーマは「色のユニバーサルデザイン」です。
Q最近、耳にする「色のユニバーサルデザイン」って何ですか?


A誰にとっても見やすい色使いや伝わりやすい工夫をすることです。
真白先生、色にもユニバーサルデザインがあるんですね。知りませんでした。
林色の見え方は個人差があります。遺伝などで、ある特定の色の組みあわせが区別しづらい人、また加齢によっても区別しづらい色があります。こうした「色の見え方」の多様性(色覚特性)に配慮した色使いや工夫をしたデザインのことを、色のユニバーサルデザインといいます。
真白私はノートや教科書の大事なところに赤い線を引くことがありますよ。日常でも色で情報を伝えやすくしていることが多そうですね。
林真白さん、良いところに目を付けました。私たちが目立つように使う赤い色。実は、この赤い色を識別しにくい人がいます。
真白そうなんですか!
林たとえば真白さんは今朝、テレビで天気予報を見ましたか。
真白はい、朝は必ずチェックします。
林天気はもちろんですが、今のような夏は熱中症が気になりますね。今朝も熱中症の注意を呼びかけるために、どの地域が高温になりやすいか、日本列島を色分けして危険度を伝えていました。高温の地域に赤い色を使うことが多いですが、人によってはこの赤が暗い色に見えてしまい、下の図の色覚シミュレーションの日本列島のように、危険と示された地域がまったく目立たないのです。

真白えっ。これでは、どこの地域が危険な暑さなのかわかりにくい! 林先生、このような色の区別がつきにくい、色覚特性を持った人はどれくらいの割合でいるのでしょうか。
林遺伝などによる色の区別がつきにくい色覚特性を持つ人の割合は、日本人男性の5%、約20人に1人、女性の0.2%、約500人に1人、人口全体では300万人以上存在するといわれています。さらに全世界では、色の区別がつきにくい色覚特性を持つ人は約2億人いると推計されます。(出典:色彩検定協会UC級ホームページより)
真白そうなんですね。思っていた以上の割合でした。さらに加齢によっても、色が区別しにくくなるとしたら、日本は超高齢化社会ですし、多様性のある社会を考えれば、誰もがわかりやすい色を使うことは大事ですね。
林そうですね。色使いだけではなく、「赤」「青」など言葉によって色の区別を認識できるような工夫をすることも、色のユニバーサルデザインといえます。
Q色の区別がつきにくいと、日常ではどんなことに困りますか。


A街の掲示板や標識、色を使った情報伝達は多々あります。
真白先ほど赤い色が見えにくい人がいると教えてもらいましたが、ほかにも見えにくい色使いがあるのでしょうか。
林はい。濃い赤色が暗く見えるほか、赤色と緑色、橙色と黄緑色、さらにピンクと明るい灰色の区別がつきにくいなどがあります。また、高齢になると青系の色が暗く見えるようになってきます。
真白老眼や白内障などはよく聞きますが、年を取ると青系の色の識別まで低下するんですね。
林高齢になると目のレンズの役割をする水晶体が黄変することで、短波長側の光(青系)に対する透過率が大きく下がってしまうのが原因です。「年を取ってから青い色と黒い色が区別しづらくなった」と、思い当たる人は多いのではないでしょうか。なかには「コンロの青い炎が見えずにやけどをしてしまった」という事故もあるそうです。
真白色が区別しづらいと、いろいろ問題がありますね。多くの人がなるべくストレスなく暮らせるために、私たちもできる限り、色使いの工夫をしたいですね。
林はい。特に公共で使われている掲示板や、標識、トイレのマークなどのピクトグラムといった、注意を呼びかけたり、情報を伝えたりするものには、色の組み合わせやデザインの工夫が必要ですね。たとえば、皆さんがよく知っているものでは、人が走っている姿を模した非常時の避難をガイドする緑色のピクトグラム。灰色に見える人などがいたため、2018年に黄色に寄せた緑に変えました。ほかにも色を改定したピクトグラムやマークがありますよ(下図参照)。

真白少し色合いや組み合わせを考えるだけで、誰もが見やすいようにすることができるなら、もっと色のユニバーサルデザインを広めたいです。
林実際に、自治体や鉄道などの交通インフラを担う企業などでは、色のユニバーサルデザイン化を進めています。
真白あ、先ほど赤色と緑色の区別がつきにくい人がいると教えてもらいましたが、それなら緑色の黒板に赤いチョークは読みづらいかもしれないから、気をつけなきゃ。
林いいですね。そのちょっとした発想が、誰もが生きやすい多様な社会の第一歩です。
「色の見え方は人それぞれ違いがある」。色のユニバーサルデザインに、興味がわいてきました。


誰もが安心して、生きやすい社会のための工夫です。真白さんのそのやる気、ますます役立つと思います。
今日のまとめ
色のユニバーサルデザインを、
日常生活でもっと生かそう!
授業を終えた真白さんが、
今日の感想やもっと知りたいポイントを
自由につづります。
今回は、色のユニバーサルデザインは、多様性のある社会にとても必要な配慮だとわかりました。授業で林先生からピクトグラムへの活用を教えていただきましたが、街ではどのような場所で生かされているのか調べてみました。
こちらは、電車の券売機の電光掲示板。色覚特性で赤色が暗く見えてしまう「1型色覚」の人にとっては、黒色背景に赤文字の電光掲示板は見づらかったそうです。

今では、赤色をオレンジ色寄りにしたり、白色にしたりすることで、1型色覚の人にも見えやすい工夫をしているようです。
出典:色彩検定
もっと身近な家の中では、カレンダーの日曜日や祝日によく使われている赤色も、オレンジ色寄りに変更されているんだって!
いろいろなところで、色のユニバーサルデザインの活用が広がっているようです。








