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提供:医薬品医療機器総合機構

「医薬品副作用被害救済制度」をご存知ですか。
あなたも、私も。
お薬を使うすべての人に知ってほしい制度です。

お薬は、正しく使っていても副作用が起きる可能性があります。万一、入院が必要なほど重い健康被害が起きた時に役立つ「医薬品副作用被害救済制度」を知っていますか。お薬を使うすべての人に知っておいてほしいこの公的制度について、日本チャイルドボディケア協会代表の蛯原英里さんが、制度を運用している独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)健康被害救済部の相良宙さんにお話を伺いました。

どんな薬にも「ベネフィット」と「リスク」がある

蛯原 「医薬品副作用被害救済制度」のことを初めて知りました。どういう制度なのでしょうか。

相良 病院や診療所で出された医薬品や、薬局やドラッグストアなどで買った医薬品を正しく使ったにも関わらず、重い副作用が生じて入院が必要になったり、障害が残ったり、あるいは不幸にして亡くなられた場合に、ご本人やご遺族に医療費や年金などが給付される公的制度です。私が所属している独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が請求を行う際の窓口になります。

蛯原 あまり耳にしたことがない制度のように思いますが……。

相良 残念ながら「医薬品副作用被害救済制度」を知っている方はまだまだ少ないのが実情です。特に若くて健康な方はそもそも医薬品を使用する機会が少ないため、この制度を知らない方が多いのではないかと思います。実際、この制度に請求される方も薬を服用する機会が増える50〜60代以降の方が多いですからね。ただし、医薬品の副作用による健康被害はいつ、誰が見舞われるかはわかりません。万が一に備えて、若いうちからぜひ知っておいていただきたい制度なのです。

蛯原 私は看護師だったので、お薬による副作用が起きる患者さんも中にはいらっしゃるということはもちろん知っていました。でも、国が承認をして市場に出回っているお薬は安心・安全だ、と最近は心のどこかで油断していたような気がします。そういう人は私の周りにも多いような気がします。

相良 日本の医薬品は、品質、有効性及び安全性が確認された上で製造販売が承認されています。でも、人間の体質は人それぞれで、服薬する時の体調もさまざまですし、医薬品というものの性質上、その副作用の発生をゼロにするというのは非常に困難です。どんな医薬品にも病気が治るという「ベネフィット」がある一方で副作用という「リスク」もある、ということを理解しておくことが肝心です。

薬害事件がきっかけで誕生した被害者救済制度

蛯原 「医薬品副作用被害救済制度」は、お医者さんに処方してもらう薬だけでなく、薬局やドラッグストアで購入した医薬品も対象になるのですね。

相良 はい。いわゆるOTCと呼ばれる一般用医薬品を含め、薬局等で購入できる医薬品は、全てこの制度の対象になります。例えば、僕は片頭痛があるのでドラッグストアでこの鎮痛剤を購入して使っていますが、その外箱にも「医薬品副作用被害救済制度」の案内が記載されていますよね。

蛯原 あ、ほんとだ! それ、よく見かける市販薬ですよね。外箱にまでこの制度のことが紹介されているなんて……気づいていませんでした。こんな身近なお薬にもこの制度の案内があるとは驚きました。これは、私たちもちゃんと知っておく必要がありそうですね。ところで、この制度はいつ頃できたものなのですか。

相良 今から約40年前、1980年5月1日にスタートした制度です。1960年頃から日本ではサリドマイドやスモンなどさまざまな薬害事件が大きな社会問題になっていました。深刻な健康被害を受けた方は製薬会社や国を相手に訴訟を起こしますが、和解するまでに長い歳月がかかってしまうため、「被害を受けた方を迅速に救済するべきだ」という社会的な要請を受け、1980年に「医薬品副作用被害救済制度」が創設されました。その後、血液製剤によるHIV感染(薬害エイズ)などをきっかけに、2004年には「生物由来製品感染等被害救済制度」も創設されています。

蛯原 「医薬品副作用被害救済制度」は、過去の薬害事件がきっかけで作られた制度だったのですね。私は看護師時代にNICUにいたので、睡眠導入剤として妊娠初期に服用すると胎児に影響が出るサリドマイドの薬害事件についてはよく知っています。私自身も市販の鎮痛剤を使った後で第一子の妊娠がわかり、とても不安になったことがありました。その時は知り合いの産婦人科に相談して大丈夫だとわかって安心したのですが……。あの時のことを思い出すと、決して他人事とは思えません。

制度の窓口は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)

相良 「医薬品副作用被害救済制度」の給付は、下記のように全部で7種類あります。給付額は種類ごとに決められていて、③と④を除いて、それぞれ請求期間があります。この7種類の給付によって、不幸にして副作用により重篤な健康被害に遭われてしまったご本人やご遺族の方を少しでもサポートしよう、という公的な救済制度が「医薬品副作用被害救済制度」です。

入院治療を必要とする程度の健康被害を受けた場合

①医療費 ②医療手当

日常生活が著しく制限される程度の障害を受けた場合

③障害年金 ④障害児養育年金

死亡した場合

⑤遺族年金 ⑥遺族一時金 ⑦葬祭料

蛯原 自分や家族が重篤な健康被害に遭った時にはかなりパニックになっていると思いますが、請求の手続きは簡単にできるのでしょうか。

相良 請求は自己申告制になっているので、健康被害を受けたご本人、またはそのご遺族が直接、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対して請求をしていただくことになります。
請求の際に必要なのは、健康被害を受けたご本人、またはそのご遺族が作成する請求書、医療機関で作成してもらう医師の診断書や投薬・使用証明書、受診証明書など。また、薬局やドラッグストアなどで購入した医薬品の場合は販売証明書が必要です。 提出していただいた書類をもとに、PMDAで必要な調査を行い、厚生労働省に設置されている薬事・食品衛生審議会での専門家による審議を経て、支給の可否が決定されます。

図表

蛯原 請求する場合は健康を害しているわけですから、それだけの必要書類を準備するのは大変そう。特にご高齢の方にとっては負担になるのではないでしょうか。

相良 請求の際に必要な書類は決して少なくありません。負担を感じる方もいらっしゃると思います。また、請求内容によって必要な書類も異なるため、判断に迷われた際には救済制度の相談窓口、フリーダイヤルに連絡して相談していただければと思います。担当者が制度の仕組みについて説明した上で、それぞれの方に必要な書類を案内し、郵送もさせていただいています。また、PMDAのホームページにも請求手続きについての案内や必要書類の絞り込みツール機能などを載せています。「医薬品副作用被害救済制度」は、医薬品による健康被害に遭われた方を助けるための制度です。被害に遭われた方には安心して利用していただきたいと思います。

誰もが安心して医薬品を使える社会のために

蛯原 「医薬品副作用被害救済制度」の対象外になってしまう場合もあるのでしょうか。

相良 医薬品の副作用による健康被害が入院治療を必要とするほど重篤でない場合や、日常生活が著しく制限される程度の障害ではない場合などは給付の対象にはなりません。もちろん、医師からの指示やお薬の説明書に基づかず自己判断で服用し、その結果副作用が生じた場合など、医薬品の使用目的や使用方法が適正ではなかった場合も対象外となる場合があります。抗がん剤や免疫抑制剤などのうち厚生労働大臣が定めた「対象除外医薬品」に指定されている医薬品を使用して副作用を生じた場合も、制度の対象外となります。また、新型コロナウイルスワクチンなど予防接種法にもとづく接種による健康被害は別の公的救済制度「予防接種健康被害救済制度」の対象になるため、こちらのPMDAの制度では対象外です。PMDAのホームページには、対象とならない医薬品等についての詳しい情報を掲載しているので参考にしていただければ。

蛯原 万が一の時に助けてもらえる公的制度があると思うと、お薬を使う私たちも安心です。ところで、この制度を運用しているPMDAとはどういう組織なのですか。

相良 PMDAには大きく分けて3つの部門があります。1つがこの救済制度を運用する部門です。お話してきたように、医薬品の副作用によって健康被害に遭われた方々への救済業務を担当しています。2つ目が、医薬品や医療機器等を審査する部門で、「この薬を日本で製造販売したい」という企業からの申請があった時に、厚生労働大臣が承認の可否を判断できるよう、原材料を含めた製造工程や製造設備の確認、治験データのチェックなどを行う承認審査業務を担当しています。3つ目が、世の中に送り出した後の医薬品や医療機器等を安全に使ってもらうための安全対策部門です。ここでは、医薬品が世の中に出た後、医療機関や製薬企業などから報告された副作用情報等を収集・分析し、厚生労働省とも連携しながら、医薬品の添付文書の改訂や、医薬品等の安全対策情報を発信していくことを通して、市販後のリスクの最小化を図っています。
3つの部門はいずれも皆さんに安心・安全に医薬品を使ってもらうための仕事をしており、私たちは“セーフティ・トライアングル”と呼んでいます。PMDAはこの3つの役割を一体として行う世界で唯一の公的機関。この制度を学びに来日されるアジアの国々の方たちもいらっしゃいます。

蛯原 普段の生活の中で何気なくお薬を使ってきましたが、知らないうちに“セーフティ・トライアングル”によって守られていたのかと思うと、なんだか温かい気持ちになります。私たちも「医薬品副作用被害救済制度」のことを知った上で、お薬を使わなければならないですね。

相良 そう思っていただけるとうれしいです。第一段階の審査部門で医薬品のリスクを最小限に抑え、第二段階の安全対策部門でさらにリスクを小さくするよう努めていても、それでもやっぱり副作用が出てしまうことがある。そのための最後の矢が「医薬品副作用被害救済制度」ですから。PMDAのホームページでは「くすりQ&A」や「患者向医薬品ガイド」「重篤副作用疾患別対応マニュアル」など、一般の方にも役立つ情報をたくさん掲載しているので、ぜひ参考にしてください。

蛯原 普段私たちがお薬を使うときには、どんなことに気をつければいいですか。

相良 とにかく、医薬品は用量・用法を守って正しく使うことです。薬の添付文書は定期的に更新されています。あとは、普段から薬局やドラッグストアの薬剤師さんとコミュニケーションを取っておくと、医薬品を購入する際だけでなく、副作用が疑われるような症状が出た場合でも相談しやすいと思いますよ。店内には「医薬品副作用被害救済制度」のポスターやチラシも必ず貼ってあると思いますから、蛯原さんも次回、探してみてください。

蛯原 はい、ぜひ探してみたいと思います。今日はお薬のことをいろいろ学べてよかったです。ありがとうございました。

蛯原英里さん

えびはら・えり●1979年、宮崎県生まれ。2001年に旭中央病院附属看護専門学校を卒業後、看護師として同病院の新生児特定集中治療室(NICU)に6年間勤務。その後、ベビーマッサージやママと赤ちゃんが一緒にできるベビーヨガレッチなどの資格を取得し、12年にena AMICE(エナ・アミーチェ)を開業。15年には日本チャイルドボディケア協会を設立する。現在は日本チャイルドボディケア協会代表として活動中。2児の母としての顔も。

相良宙さん

さがら・ひろし●独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 健康被害救済部 企画管理課 企画係長。主に、運営評議会救済業務委員会や救済制度の広報等の企画に関する業務を担当。

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