キーノートスピーチ
早期の正しい診断によって患者の負担軽減を

慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学センター
小崎健次郎教授

海外では、希少疾患のうち7割程度は遺伝子の異常によるものだと考えられています。現在、3千〜5千種の単一遺伝子疾患があると言われ、そのうち10%は治療が可能になってきています。以前は治療法が確立されていない疾患に対する遺伝子解析による診断は、非倫理的との意見もありました。でも現在では、治療の可能性があるのに診断しないことのほうが問題だと、考えが変わってきています。

希少疾患の診断は、合併症を避けるうえでも重要です。病気の原因が分からず、複数の医療機関を長年訪ね続ける「終わりなき旅」を終わらせ、患者さんやご家族の心理的な負担を軽減できる可能性があります。治療法の研究を進めるきっかけにもなりえます。

臨床的な所見がありながら、原因不明で医学的に病気と認定されていないもの、通常の医療では診断がつかないものを未診断疾患と言います。そんな未診断疾患に関する情報共有や診断、病態解明を目指して国は5年前に、「未診断疾患イニシアチブ」というプロジェクトを始めました。

現在、ゲノム医療の進歩や国内外のネットワークの整備により、多くの希少疾患・未診断疾患の診断がつけられるようになっています。新たに病気と認定された疾患のなかには、治療の手がかりが見つかったものもあります。希少疾患の研究は、より頻度の高い疾患の治療や研究にも役立ちます。

希少疾患の診断や研究を進めるうえではモデル生物研究者、基礎研究者との共同研究、国際連携、製薬企業と手を携えていくことが大切です。

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