採録

朝日新聞スポーツシンポジウム 「高校野球と食事」

開催日時

2021年11月12日(金) 17時開演(16:00開場)

開催会場

ロームシアター京都
 京都市左京区岡崎最勝寺町13
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ご挨拶

公益財団法人 日本高等学校野球連盟 八田 英二 会長

夏の第103回全国高等学校野球選手権大会では、新型コロナウイルス感染症の影響で、選手の皆さんはもちろん、学校関係の皆様、保護者の皆様も、日々の体調管理やトレーニングで苦慮されたことと思います。
体づくりには日頃の「食事」が大切です。成長期にあたる3年間の高校時代は人生の中でも、最もエネルギーを使う時期です。日頃の生活で使うエネルギーに加え、ハードな練習で使うためのエネルギー、さらに体を強くするためのエネルギーを取るとなると、かなりの量を食べなくてはいけません。

では、ただ、たくさん食べれば良いのでしょうか。もちろん、「考えて食べる」ことが重要です。食べる量だけを意識して、バランスが取れていない食事では、頑張ってたくさん食べても、その努力は無駄になってしまいます。また、必要な栄養量は人それぞれで違ってきます。自分の基準を知り、体重、体調なども考慮しながら「何をどうやって、何のために食べるか」が特に大切になります。そして「楽しく食べること」も忘れてはいけません。

八田 英二

今日のシンポジウムは、全国農業協同組合連合会ご協力のもと、公益財団法人 日本高等学校野球連盟理事であり、『野球食』『アスリートのための食トレ』などの著書もある、立命館大学スポーツ健康科学部の海老久美子教授にご講演をいただきます。2017年度~2020年度3月まで実施した、「日本型食生活が高校球児の心身の成長におよぼす最新研究」についての報告もあります。

その後のディスカッションでも「高校野球と食事」に関する議論を深めたいと思いますので、その内容を「何をどうやって、何のために食べるか」について考えるヒントにしていただければと思います。

日本高野連では、来年の第104回大会に向け、球児の健康を維持・増進させる施策をさらに奨励・支援するとともに、スポーツ障害予防への取り組みを一層推進していきます。これからも高校野球が多くの人々に感動を与え、高校球児の姿に憧れて野球に取り組む子どもたちが増えるよう、様々な活動を考えてまいります。

今日のシンポジウムが、そのような意味でも高校野球の発展拡大に役立てばと思います。

全国農業協同組合連合会 安田 忠孝 代表理事専務

JA全農は消費者の皆さまと生産者の方々を結ぶ架け橋として、農家が作る農畜産物を消費者にお届けしたり、農業に使う様々な資材を農家にお届けしたりする事業を行っております。

今回のシンポジウムのタイトルは「高校野球と食事」ですが、野球も含めたスポーツ全般にとって、大会で最高のパフォーマンスを発揮するためには健康な体づくり、そのためのバランスの取れた食事は欠かせません。

特に成長期の子どもにとっては、正しい知識と食習慣を身につけることが大切です。ここで私どもと野球、この後、基調講演をされる海老教授との関係をお話しさせていただきます。JA全農は1993年から「野球の楽しさ」や「食の大切さ」を子どもたちに伝えるため、王貞治さんが開催する少年野球教室に特別協賛しています。その取り組みの中で、保護者向けの栄養学教室を開催しているのですが、海老教授にもその取り組みにご協力いただき、国産農畜産物を使った栄養価の高い、バランスの良いメニューの紹介や成長期の子どもたちにとって重要な栄養摂取などをアドバイスしていただいております。

安田 忠孝

また、2017年度より4年間、立命館大学とJA全農は「米飯と国内産食品を中心とした日本型食生活が、高校球児の心身の成長に及ぼす影響」について調査研究を行ってまいりました。このプロジェクトは、ご協力いただいた高校の野球部に対し、地元のJAのご協力を得て、JA全農より毎月お米を提供します。そして、海老研究室ご考案のお米を中心としたバランスの良い食事メニューをとっていただいた、高校球児の心身への影響を調査・分析するという内容です。また、各校の選手たちには、稲刈りや収穫、台風で倒壊したビニールハウスの撤去、地域の交流の場づくりのお手伝いなどの農業体験も行っていただき、生産者との交流の中で「農場から食卓まで」の地域に根差した「食と農」のインフラの大切さを、地域貢献活動を通して学んでいただきました。

私たちJA全農は、安全で安心な国産農畜産物を提供し続けるという、大きな役割を担っていきたいと思います。これからも「アスリートの活躍を『ニッポンの食』で支える」のスローガンのもと、日本の未来を担っていく皆さんのアスリートとしての夢や目標を応援します。また、食と農に対する学びを深めていただく活動・取り組みを通じて、地域社会の未来を育むことに貢献してまいります。

基調講演

高校野球とお米の関係 ~成長期選手への地域型食生活のすすめ

立命館大学スポーツ健康科学部・同研究科教授 公益財団法人 日本高等学校野球連盟理事
海老 久美子

えび・くみこ/高校球児を中心とするジュニアアスリートたちへの栄養サポートプロジェクトに取り組む。2010年、立命館大学教授に着任。管理栄養士・公認スポーツ栄養士・博士(栄養学)。著書に『野球食』『女子部活食』(ともにベースボール・マガジン社)など多数。

パネルディスカッション

パネリスト:海老久美子、上原浩治、藤川球児、小倉全由 / コーディネーター:朝日新聞 編集委員 安藤嘉浩

上原浩治
元プロ野球選手

上原浩治
うえはら・こうじ/1975年生まれ、大阪府出身。東海大仰星高校、大阪体育大学を経て98年にドラフト1位で巨人入団。初年度から沢村賞などのタイトルを獲得して存在感を示す。2009年にアメリカ大リーグのオリオールズに移籍。11年にレンジャーズ、13年にレッドソックスへ。レッドソックスではクローザーとして活躍し、ア・リーグ東地区優勝やリーグ優勝に貢献。18年に巨人復帰。同年には球界初となる日米通算100勝100セーブ100ホールドを達成した。19年シーズン途中に現役引退。

藤川球児
元プロ野球選手

藤川球児
ふじかわ・きゅうじ/1980年生まれ、高知県出身。高知商2年の夏に全国大会出場。98年ドラフト1位で阪神に入団する。2005年に勝利の方程式「JFK」の一角を担い、リーグ優勝に貢献。浮き上がるといわれる直球「火の玉ストレート」で多くの打者を圧倒した。07年は当時のプロ野球記録(現セ・リーグ記録)となる46セーブをマーク。12年オフにアメリカ大リーグのカブスに移籍。同リーグのレンジャーズや四国アイランドリーグplusを経て、15年オフに阪神に復帰。20年シーズンをもって現役引退。

小倉全由
日本大学第三高校
硬式野球部監督

小倉全由
おぐら・まさよし/1957年生まれ、千葉県出身。日本大学第三高校硬式野球部監督、社会科教諭。日大三高在学時は内野手としてプレー。日本大学に進学後、高校野球の指導者を志し、母校でコーチを務める。81年に関東第一高校野球部監督に就任。97年から日大三高野球部監督となり、2001年、11年の全国高等学校野球選手権大会で優勝。選手に寄り添う指導で知られ、近年は「ほめて伸ばす」指導も実践。著書に『「一生懸命」の教え方』(日本実業出版社)などがある。

安藤嘉浩
朝日新聞 編集委員
(コーディネーター)

安藤嘉浩

〈主催〉朝日新聞社
〈後援〉公益財団法人 日本高等学校野球連盟
〈協力〉全国農業協同組合連合会