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朝日新聞社メディア事業本部

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少子化対策女性活躍職場を変える、家庭を変える、社会を変える

主催:昭和女子大学/
2023年5月24日 女性教養講座

昭和女子大学が2023年度女性教養講座
「少子化対策と女性活躍-職場を変える、家庭を変える、社会を変える」を開講しました。
同大学の坂東総長に加え、3人の有識者が登壇。在学生にとって学びの多い時間になりました。

変化を力に、理想を未来に-

急激に進む日本の少子化は、社会に深刻な影響を与えます。その原因は、そしてこの難しい問題の解決の糸口はどこにあるのでしょうか。未来をあきらめないためにどう変化することが必要なのか、3人のゲストを招き総長とディスカッションしました。

坂東 世界経済フォーラムが発表する「ジェンダーギャップ指数」において、日本は146カ国中の116位(2022年)と女性の活躍が低調です。「政治」の分野では女性の議員や首長、閣僚が少ないこと、「経済」分野では組織の意思決定権者に占める女性割合の低さや、男女の賃金格差が評価を下げています。一方で「教育」や「健康」の面を見ると、日本には世界的に見ても教育程度が高く健康な女性が多いことがわかります。

国もこの状況を放置してきたわけではありません。男女雇用機会均等法や育児・介護休業法、男女共同参画社会基本法などの法整備、待機児童ゼロ作戦などの取り組みは実際に効果も上げています。しかしこれまでのところ、少子化は改善されず、女性の活躍の場は広がっていない。これはなぜか、どうすれば変えていけるのかをみなさんと考えていきたいと思います。

新たな価値を生み出すその源泉は「多様性」

平野 過去30年の日本経済の停滞を招いたものは、ゼロからイチを生み出すような創造力と、現状を打破する改革力の不足だったと考えています。ならばこれから日本が新たな活力を生み出すために必要なものは多様性でしょう。つまりダイバーシティは社会的な理念というだけでなく、企業にとっては重要な成長戦略だということです。近ごろはそのことを理解する経営者も増えてきました。

大切なのは「意識」と「仕組み」の両面を変えていくことです。意識の面では、いわゆるアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)を企業全体で是正すること。そのうえで、変化を加速させるには非正規社員の正規化など、仕組み・制度面の改革も進める必要があります。働き方改革と雇用改革は、少子化問題においても重要な論点です。家事・育児を男女で偏りなく分担するには、柔軟な働き方をさらに認めるべきでしょう。政府、企業、働く人たち、社会全体で考えなければ日本の未来はないと思います。

男女共同参画の推進が少子化対策の鍵を握る

山田 昨年、日本の出生数は過去最少となりましたが、都道府県別の統計を見ていくと興味深いことがわかりました。実は東京で生まれた子どもの数はほとんど減っていません。23区内に限れば子どもはむしろ増えています。一方で、たとえば秋田県では、最近20年で子どもの数は約半数まで減少しています。

これが意味しているのは、地方の若い女性が上京し、そのまま結婚・出産しているということ。平野さんのお話にもあったように、東京の大企業では経営者の意識も変わり女性活躍の場が広がっていますが、地方はその点でまだ後れをとっているため、意欲と能力のある女性が東京に流出しているということです。

女性が自分らしく働きやすい場所や機会の多い東京では、先ほど見たように子どもの数も増えている。つまり、男女共同参画の取り組みを全国に広げていくことが、少子化対策の鍵を握っているのではないでしょうか。

変化のために不可欠なマインドセットと勇気

羽生 お二方のお話を聞いて、「このままではまずい」と不安そうな顔をした人が多いので(笑)、私は日本でもやればできるという話をしたいと思います。その突破口はマインドセットを変えること、つまり意識改革です。まずは男性と社会からマインドを変えていただきたい。共働き家庭は増えていますが、大切なのはその先の「共育て」です。職場の制度や周りの意識も、今のままではそれを応援することができません。

女性たち自身のマインドセットも変えていく必要があります。これまでは男性と同じように働き、同じような強さを持つことが組織で生き残る道でしたが、これからは男性と違う意見を言う勇気を持ってください。家庭においては夫にも家事・育児を任せる。あるいはアウトソースしてもいいんだと発想を変える。それにも勇気が必要かもしれません。社会を変えるなんて大きな話のように思えますが、まずは日々の生活を変えることが第一歩だと思います。

学生へのメッセージ

羽生 今みなさんが持っている意見を、男性に対しても堂々と言ってください。

山田 これからの社会では、60歳で学び70歳で新しい仕事に就くことが当たり前になるかもしれません。いろいろな場で役立つ幅広いスキルを磨いて欲しいと思います。

平野 日本企業は間違いなく変わりつつあり、チャンスは広がっています。ただしそれをモノにできるかはみなさん次第、これからの取り組みにかかっています。

坂東 変化の大きな時代のなかで勇気を持って自分の道を歩んでいくために、若いみなさんには、その裏付けとなる力を学生時代に身につけて欲しいと思います。日本では今、企業も家庭も社会も大きく変わりつつあります。あなただけが、変わらずに生きていくことはできません。

女性の活躍には、社会を動かす力がある。現に、女性の活躍度が高い国は、少子化対策に成功している傾向があります。では、どうすれば女性は社会で活躍できるのでしょうか。その鍵を握るのは、企業・家庭・自分自身の変化です。企業は、雇用形態や賃金格差の問題を乗り越えるため、ダイバーシティの視点から新しいビジネスモデルを生み出すことが求められています。また家庭では、豊かな暮らしのために共働き世帯が増加しています。円滑な共働き環境をつくるためには、家族内で男女のマインドセットの刷新が必要です。それと同時に、自分自身も「これならできる」と自信を持つことが重要です。

会場との質疑応答

Q

体の仕組みが違う以上、男女が同等に働くのは難しいのでは。

A

羽生 今、日本では第3次産業が約75%で、肉体労働は少ないです。そのため男女の体力差についての議論は、現実的ではないと思います。ただ女性は生理やPMS(月経前症候群)などがあるのは事実。この点は経営者も、科学的に分析した健康経営について配慮が必要です。

Q

男性が女性を下に見る風潮がまだまだ強いように感じます。

A

平野 男性一人ひとりが、マインドセットを変える必要があります。同時に、みなさんが自分の強みや力を発揮し、職場でリスペクトされる存在になることも大切。女性が力を発揮できるよう、アファーマティブアクション(積極的な格差是正措置)などを通じ、男女のギャップを埋めることが望まれます。

Q

「一般職」と「総合職」の区別が男女の賃金格差を生んでいるのでは。

A

山田 入社時点でコースを完全に決められてしまうシステムがそもそも問題。ある商社では「一般職」は女性が10割だと聞きましたし、フライトアテンダントや看護師などもほぼ女性ばかり。なぜか日本はある一定の職種は、女性だけになっています。どの職種にも男女が一定の割合いるのが健全だと思います。

プロフィール

  • 坂東 眞理子氏

    昭和女子大学総長

    坂東 眞理子氏ばんどう まりこ

    東京大学卒業後、総理府に入府。その後、初代内閣府男女共同参画局長などを歴任。2016年より昭和女子大学総長に。2人の子どもを育て上げた経験を持つ。著書「女性の品格」(PHP新書)は300万部を超えるベストセラーに。

  • 平野 信行氏

    女性活躍と経済成長の好循環実現に向けた検討会 座長

    平野 信行氏ひらの のぶゆき

    1974年に株式会社三菱銀行入行。ヨーロッパ、アメリカでの海外勤務などを経て、三菱東京UFJ銀行頭取、三菱UFJフィナンシャル・グループ社長などを歴任。2019年10月に三菱みらい育成財団を設立、理事長に就任した。

  • 山田 昌弘氏

    中央大学教授

    山田 昌弘氏やまだ まさひろ

    東京大学大学院社会学研究科修了。2008年より中央大学文学部の教授に。家族社会学、ジェンダー論が専門で、格差社会、婚活の名付け親でもある。「新型格差社会」(朝日新書)など著書多数。内閣府男女共同参画会議民間議員。

  • 羽生 祥子氏

    著作家・メディアプロデューサー

    羽生 祥子氏はぶ さちこ

    株式会社羽生プロ代表取締役社長。現職に、日経xwoman客員研究員、京都大学「令和版・ジェンダー論」ゲスト講師、昭和女子大TV編集長、人的資本経営ラボGROWIN' EGG編集長など。高校生・中学生2児の共働きママ。

昭和女子大学 SHOWA WOMEN’S UNIVERSITY
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