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トヨタとスペシャルオリンピックス
共生社会に向けて
ともに歩んできた道と、
めざす未来

© Special Olympics Nippon

知的障害のある人たちの国際的なスポーツ組織「スペシャルオリンピックス(略称SO/エスオー)」。このSOの理念と価値観に共鳴し、支援しているのがトヨタ自動車です。トヨタがSOと共に歩んできた道と、これから共にめざす社会を、SOの概要や、公益財団法人スペシャルオリンピックス日本(略称SON/エスオーエヌ)の平岡拓晃理事長との対談から紐解きます。

スペシャルオリンピックスとは?

© Special Olympics Nippon

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スペシャルオリンピックスは知的障害のある人たちにスポーツの機会と成果発表の場である競技会を提供する国際的なスポーツ組織。 アメリカ発祥で1968年に第1回スペシャルオリンピックス国際大会開催、日本では1994年にSONが誕生した。 以来、知的障害のある人たちに向けたスポーツプログラムの実施や競技会の場を設けてきた。 2020年からは「Be with all®」をスローガンに、知的障害のある人とない人がともにスポーツを楽しむ「ユニファイドスポーツ®」、 そしてパートナー企業、競技団体、教育機関と協働し、知的障害の有無に関係なく、それぞれの違いを理解し、 社会のつながりを創造、実行していくさまざまなユニファイド活動※1に取り組んでいる。 世界大会は4年に一度、夏季(24競技※2)、冬季(8競技※3)で開催され、 2025年3月8日~15日には冬季世界大会(イタリア・トリノ)が開催される。
※1 ユニファイドは「一体となる」などの意味をもつ言葉
※2 2023年スペシャルオリンピックス夏季世界大会・ベルリン実施競技数
※3 2025年スペシャルオリンピックス冬季世界大会・トリノ実施競技数

スペシャルオリンピックスと
トヨタの歩み

“誰も取り残さない社会”
をめざして。
共鳴から始まった
パートナーシップ

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トヨタは、2016年にスペシャルオリンピックス日本(SON)とナショナルパートナー契約を結び、翌2017年にSO国際本部とグローバルパートナー契約を締結した。2015年SO夏季世界大会(ロサンゼルス)を視察したことがきっかけとなり、日本国内への普及に向けて締結を決定。SOの「すべての人に開かれた垣根のない社会を作りたい」という思いと、トヨタの「誰も取り残さない、すべての人々が参加できる社会の実現をめざす」という思いの共鳴により支援を続ける。これまでに、トヨタ社員の3000人以上がSOアスリートとともに活動する関連イベントに参加し、またSO全国大会のボランティアにも多くの社員が参加し、ユニファイド活動に積極的に取り組んでいる。トヨタは、誰もが共に成長できるスポーツの力を信じ、全ての人が平等に参加できる社会を作るために取り組みを続けていきたいと考えている。

〈スペシャルオリンピックス特別対談〉
平岡拓晃
(公益財団法人スペシャルオリンピックス日本 理事長)
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今井崇夫
(トヨタ自動車株式会社 社会貢献部)

平岡拓晃氏(左)と今井崇夫氏

平岡拓晃(ひらおか・ひろあき)
6歳から柔道を始め、2012年のロンドン五輪柔道男子60キロ級で銀メダルを獲得。現役引退後の2016年からSOのさまざまな広報活動に携わるドリームサポーターとして活動を支援し、2023年にSON理事長に就任。

今井崇夫(いまい・たかお)
社会貢献部 文化貢献室 SO・メセナグループ主幹。1995年にトヨタ自動車入社。スポーツ分野では、硬式野球部の強化業務やGM兼部長も経験。2016年よりSO活動に関わる。

他人と比較しない。
勝ち負けでもない。
SOアスリートに学ぶ価値観

今井 2016年の1月、当社がSONのナショナルパートナーになった同時期にスペシャルオリンピックスの担当になりました。同年2月には冬季ナショナルゲーム(全国大会)が新潟で開催されたのですが、現地に足を運び、実際に大会を観て「なんて素敵な場なんだろう」「もっと多くの人に知ってほしい」と、思いが沸き上がっていく感覚がありました。

平岡 私はその頃、ドリームサポーターという立場でしたが、今井さんをはじめトヨタの皆様を知れば知るほど、その熱い思いにどんどん刺激されていきました。

今井 正直に言いますと、最初は、知的障害のある方に「こちらから積極的に話しかけていいものか」など戸惑いもありました。でも思い切って話しかけに行くと、私の名前を覚えて手を振ってくれたり、ハイタッチしてくれたりと途端に打ち解けてくれます。相手の肩書や役割を気にすることなく、ただ目の前の人をどう思うか、どうしたいか、という気持ちで、そのまっすぐさに、私ははっとさせられました。

平岡 競技中の姿を見ていると、ますますそう思いますよね。

今井 そうなんです。陸上競技で転んだ選手を、一緒に走っていた別の選手が手を差し伸べて起き上がるのを手伝っていました。私は野球のマネジメントに関わっていたときは競争相手や勝敗に目が向き、スポーツをやる上で大切な本質が見えなくなっていた時期もありました。ところがSOアスリートはいつでも「なりたい自分」に「正直」で、「相手を思いやる」気持ちが根底にある。これがSOのアスリートの姿勢ですね。「好きだから」「うまくなりたいから」「楽しいから」、それに「みんなと楽しみたいから」という純粋な気持ちで、スペシャルオリンピックスのアスリートはスポーツに向き合っていることに気づかされました。

平岡 私自身も柔道の国際大会で頂点を目指して競技人生を送っていたときは、人を思いやる気持ちよりも、極限状態の中にいましたしライバルに勝ちたい、と心から思っていました。柔道の人間教育は「相手を思いやりましょう」と言いますが、試合では自分の中で勝敗にこだわる違う感情が存在しています。そこに苦しさを感じていたときに出会ったのが、スペシャルオリンピックスでした。スポーツは勝つか負けるかしかないと極端な捉え方をしてきた私たちを、本来の「スポーツが好きだった自分に戻してくれるものだ」と感じましたね。

名古屋ミッドランドスクエア内のトヨタ自動車ショールーム「SO展示コーナー」を訪れる平岡理事長

今井 当社は社業においても「チャレンジ」や「あきらめない」、「チームワーク」「リスペクト」を重要な価値観として掲げていますが、スペシャルオリンピックスの理念は、まさに私たちが大事にしてきた価値観と通じるところがあると感じています。それは企業スポーツにおいても全く同じ事が言え、会長の豊田からは『運動部の使命はスポーツを通じてそれらを体現し続ける事』と試合会場で声を掛けられます。

平岡 私たちもトヨタさんと同じだと思うところが、スペシャルオリンピックスはスポーツを通じて人を育てる、トヨタさんも車を作ることで人を育てる。この価値観が同じだから、ともに居心地の良い関係性が築けているのかと思います。

トヨタの
「知る・参加する・交流する」
で広がる輪

2018年「SON夏季ナショナルゲーム・愛知」では、工場でもPRイベントを開催

平岡 スペシャルオリンピックスは、まだまだ国内の認知度が低い現状があります。トヨタさんでは社員の方をはじめ社内外で知ってもらうためにいろいろな活動をしてくださっていますよね。

今井 当社では「知る・参加する・交流する」の取り組みを行っています。例えば、全社的に従業員の名刺にSOロゴを入れることで、社員がスペシャルオリンピックスについて「知る」きっかけを作っています。ロゴ入りの名刺を渡す以上は、スペシャルオリンピックスについて聞かれたときに自分なりに答えられるようにしておかないといけませんし、そう思う社員が一人でも増えれば、自主的に学び、自分の言葉で伝えられるようになるのではないかと考えました。また、当社には30を超える運動部がありますが、メディア露出の多い強化運動部のユニフォームにもロゴを入れています。

トヨタ自動車硬式野球部の左胸にはSONロゴが入っている

平岡 「このロゴは、なんだろう?」と興味をもってくれることはありがたいですし、知ることの入り口になりますね。

今井 もう一歩進んだ「参加する」のアクションにつながったのは、2018年に愛知で開催された夏季ナショナルゲームがきっかけでした。当社からボランティアスタッフ400人が参加して、会場もトヨタスポーツセンターを使用していただきました。その結果、ボランティア参加の社員だけでなく、観戦や応援する社員が会場に多く集まりました。その後にはスペシャルオリンピックスの研修を受けてコーチになった社員や、ボウリング競技のパートナーになった社員もいますし、ボランティア活動を継続している社員も多くいます。それはトヨタ社員としてはもちろん、社会で生きていく上での「人間力」につながっていると思います。

2023年「SO夏季世界大会・ベルリン」でボウリング競技にパートナーとして出場したトヨタ社員(右)
© Special Olympics Nippon

2024年「SON冬季ナショナルゲーム・長野」のボランティアでアスリートに寄りそうトヨタ社員(左)

共生社会のための
「ユニファイドスポーツ®
が拓く未来

平岡 トヨタさんの「参加する」をきっかけに交流が生まれ、ユニファイドスポーツ®の取り組みが進んでいることが、とてもうれしいです。知的障害のあるアスリートと知的障害のないパートナーがチームになる、というユニファイドスポーツ®には敷居の高さを感じる方もいるかもしれません。でも、誰でも、生きていくためには人と協力し合って、助け合っていく必要があります。相手の気持ちに寄り添うと、相手からもサポートが返ってくる。支援の交換が生まれるのが、ユニファイドスポーツ®がもたらす価値だと思っています。

今井 先日、豊田市の小学校で開催された、ユニファイドスポーツ®体験と授業を行う「ユニファイドスクール」に参加しまして、体験後の子どもたちの感想に「障害のある友達は“できない”んじゃない。ちょっと時間がかかるだけ」と書いた子がいました。大人たちよりも、よっぽどわかっているんですよね。

平岡 そうなんですよね。それぞれ得意不得意があるのですから、一緒に考えて動いていけばいいんですよね。このように人と人とが向き合っていく活動がスペシャルオリンピックスで、勝負を競うスポーツの競技会とは違う方向性を見せてくれます。スポーツに対して勝ち負けをつけすぎて、また、まわりからのいろいろな声のプレッシャーが広がっている今こそ、スペシャルオリンピックスの価値が、よりあると思っています。SONではまだ事業としてはおこなっておりませんがたとえば移動が難しいアスリートや体が動かせないアスリートでも、指先でeスポーツもできるかもしれません。そういったさまざまな新しい取り組みにも挑戦し、アスリートとしての活動であるというスポーツの幅広さと楽しさを、スペシャルオリンピックスから発信していきたいです。

今井 私たちは、障害のある人もない人も共に生き、支え合う社会が当たり前の世界になってほしいと願っています。そのために、スペシャルオリンピックスを身近に感じられる社会を作り、ユニファイドの考え方を広めていくことが重要だと考えています。

会長の豊田は、「どちらがどちらを支援するのではなく、どちらからも学び合い、支え合う。そんな世界で、これからの未来をつくっていきたい」という想いがあり、私たち一人ひとりも、そのビジョンを大切に、障害の有無に関わらず人が共に生き、支え合う未来をめざして歩んでいきたいと考えています。

© Special Olympics Nippon

トヨタはスペシャルオリンピックスと共に、これからも「誰もが共に生きる社会」の実現をめざしていく。

他者と比較するのではなく、自分自身に向き合うことの大切さ。それを教えてくれるのがスペシャルオリンピックスのアスリートたち。

トヨタのものづくりと、スペシャルオリンピックスに共通するユニファイドの価値観を、社会全体へ広げ、障害の有無を超えて誰もが活躍できる未来を創る。

それが、トヨタが支え続け、共に歩むスペシャルオリンピックスが切り拓く、「新たな社会のカタチ」です。