ショッピングモールの店頭に、ひときわ目立つ鮮やかなイエローの建設機械。小さな子どもが楽しそうにまたがっているのを見ると、遊具かと勘違いしてしまいそう。実はこれ、本物の電動マイクロショベル「PC01E-1」。コマツが今年3月、市場に投入した新製品だ。
でも、なぜ家族連れの多いショッピングモールで建設機械をPRするのだろうか? 電動マイクロショベルだからこそ実現した企画、そこに秘められていた新たな戦略について、コマツの担当者に話を聞いてみた。
軽トラックに積める極小サイズで、子どもに大人気
埼玉県越谷市のイオンレイクタウンにある体験型ストア「b8ta(ベータ)」で、「PC01E-1」は9月30日まで展示されている。直に触れてみたり、乗ってみたり、写真を撮ってみたりするのも自由。同様の出展は、9月下旬に福岡、10月には名古屋でも決定している。
PC01E-1のすぐ近くまで近づいて、じっと見つめる男の子。乗ってもいいことを教えてもらい、座席にまたがると、母親に写真を撮られる表情もうれしそうだ。やはり働くクルマは子どもたちに大人気で、気づけば他の家族も周りに集まっていた。
大人と一緒に並ぶと、「PC01E-1」の小ささはいっそう目を引く。車幅は580mm、全長は2370mmと大型バイク程度で、重量は340kg。「軽トラックの最大積載量(350kg)よりも軽いため、手軽に運ぶことができ、一般の方もさまざまな使い方が考えられます」と、商品企画を担当したコマツの高木厚司さんは説明する。
高木厚司(たかぎ・あつし)さん
家庭用コンセントからバッテリーに充電が可能
「PC01E-1」のもう一つのポイントは、従来のPC01-1がガソリンを使ってエンジンを動かすのに対して、PC01E-1はバッテリーで駆動するということ。排出ガスがないため、地球温暖化対策の観点から見ても優れている。
高木さんは「これまでのエンジン車を使われているお客さまは、燃料を補給することや、エンジンのメンテナンス作業が必要でした。バッテリーで動くようになり、家庭用の100Vのコンセントから充電できて、普通の電化製品のような感覚で動かすことができます」と語る。
バッテリーは交換式でホンダの「Honda Mobile Power Pack e:」を機体の後部に2個搭載。充電の残りが少なくなったバッテリーを交換することで、新たに充電する時間を待つ必要はなく、連続して稼働できる。バッテリーの残量も、操作レバーの手前にあるコントロールパネルに大きく表示されてわかりやすい。
「小さくても建設機械ですから運転の資格は必要ですが、2日間で計13時間の講習を受ければ、どなたでも運転できます」と高木さん。全国に展開しているコマツの教習所でも資格取得をサポートしている。
誰もが「ショベライダー」になれる新しい機械
人が搭乗するショベルとしては超コンパクトなサイズと、電動になったことによって向上した利便性。2つの大きな特長を持つ「PC01E-1」は、建設機械というイメージにとらわれることなく、私たちにより身近な存在になった機械だと言える。
それだけに高木さんたちの期待も大きく、さまざまな層に向けたアピールを始めている。「いろんな方に使っていただける機械だと考えておりますので、幅広い層、幅広い年代の方々に見ていただきたい。そう思って、ショッピングモールで展示しました。実物を生で見て、小ささを体感していただくことができると思います」と、今回の出展の意図を語った。
ポスターや特設サイトで使われているフレーズが、「週末はショベライダー」。バイクのようにまたがって乗るスタイルを指しているのと同時に、職業や立場とは関係なく、多様な人々が日常的に電動マイクロショベルを使いこなすライフスタイルを表現している。
建設業界を中心にBtoB(法人向け)のビジネスを得意としてきたコマツにとって、ショッピングモールに出展することは大きなチャレンジだ。「PC01E-1」を法人だけではなく、BtoC(一般消費者向け)の使用も意識してPRするのはなぜか。
入社以来30年にわたり、「PC01E-1」と同型の建設機械を手掛けてきた高木さんは、このサイズのマイクロショベルが、一般向けに近い使われ方をしていることに気づいていた。展示会に出すと、かなりの割合で「かわいい!」と声があがるほど、デザインの評判も高かったという。それが電動化されたことで手軽に扱えるようになり、さらにBtoCのアプローチへの期待が高まった。
実際にここ数年、同サイズのエンジン式マイクロショベルの販売台数は伸びているという。その背景には、自分自身の時間を大切にしたいという意識の高まりにコロナ禍が拍車を掛け、仕事ではなく自分の趣味などに建設機械を利用する人々が増えてきたのではないかと、高木さんは分析している。
「それこそ、スコップ替わりに使っていただく感覚ですね。高齢になって手作業が大変になったという方が、畑仕事や庭の手入れをするのにちょっと動かすというのもアリだと思います」
ガーデニングや農作業、DIYなどにも活躍
「PC01E-1」は現在、コマツの販売代理店からのレンタルで使用することができる(1日間からレンタル可能)。「いつ販売するのですか?」という問い合わせは多いが、「まずは多くの人にレンタルで使っていただき、いろんなご意見や評価をいただいて次のステップに進んでいきたい」と高木さんは長期的な展望を語る。
そこで、普及に向けてのカギとなるのが多様な利用シーンだ。コマツでは、ガーデニング、庭仕事、
果樹園や家庭菜園などでの利用を、写真付きで提案している。従来では考えにくかったケースとして、キャンプなどのアウトドアレジャー、屋内外での造形活動も想定しているという。
もちろん法人も重要な顧客であることは変わらない。これまでの導入事例としては、坑道やビニールハウスのような閉塞的な空間で、排ガスを出さないという電動のメリットが発揮されている。狭い通路を行き来できるのも、現場によっては非常に重宝される特長だ。
高木さんは「こんなことが『PC01E-1』でできるというのを、お客さまからぜひ教えていただきたいと思っています。利便性が高まったことで、アイデアの幅も広がるのではないでしょうか。我々はどうしても職業柄、建設工事などのイメージに偏ってしまうのですが、個々の趣味に合わせて自由にイメージしていただければうれしいです」と、期待を寄せる。
使い方はユーザーとアイデア次第
基本的な動作は従来のエンジン車と変わらないが、電動化したPC01E-1の性能と利用シーンや目的を掛け合わせることで、思いもよらないアイデアが生まれるだろう。使い方はユーザー次第。その人数が増えるほど、可能性はさらに広がる。
たとえば、都会では「一家に一台」は難しいかもしれないが、地域や集合住宅ごとにシェアして、市民農園などで使うというのも、利用方法の一つだ。
実際にマイクロショベルに触れると、童心に帰って喜んだりはしゃいだりする人が多いという。その乗り心地を、大人の方も展示イベントで体感してみるのはいかがだろうか。子どもの頃に戻ったかのように、豊かな想像力があふれ出すかもしれない。
【埼玉】8/10 (水)~9/30 (金) b8ta Koshigaya Laketown(イオンレイクタウンkaze)
【福岡】9/16 (金)~9/25 (日) ソラリアプラザ1階 b8ta Pop-up Fukuoka
【名古屋】10/12 (水)~10/16 (日) JRゲートタワー1階 b8ta Pop-up Nagoya
・会場でアンケートにご回答いただいた方に、豪華プレゼントを予定しています。
・展示中は事故等防止のため、作動しないようになっております。
・新型コロナウイルス感染拡大の状況等により、イベント内容に変更がある場合もございます。