4月に発売されたばかりの「サントリー生ビール」が好調だ。 過去20年のサントリーのビール新商品(缶商品)の中で、最速の発売9日で販売数量100万ケース*²を突破。テレビCMでの熱量も印象的だ。ビール市場の王道であり、最大の激戦区でもあるスタンダードビール。満を持して送り出した新商品に込められた思い、開発の経緯、そして気になる味わいについて、ブランドマネージャーの竹内彩恵子さんに伺った。
*¹ ビール(缶)新商品におけるサントリー出荷実績比較
*² 大瓶(633ml)20本換算
スタートから好調! 定番を目指す
「サントリー生ビール」
その名も「サントリー生ビール」。わかりやすい直球勝負のネーミングが示すのは、社運をかけるレベルでの本気度と、「生ビール」のおいしさへの強いこだわりだ。
ビールではプレミアムカテゴリーの「ザ・プレミアム・モルツ」のイメージが強く、最近では炭酸水で割って楽しむ「ビアボール」などで需要を掘り起こしてきたサントリー。最大のマーケットでもあるスタンダードビールで新たなチャレンジを起こし、ビール市場全体のトレンドを変えていきたいというねらいがあった。
それだけに、初動の好調ぶりは自信へとつながる。「お客様の毎日に寄り添う相棒のような存在として、一日の終わりをねぎらい、明日への活力になれるビールを目指しています。100万ケースという販売量の先には、そうした一人ひとりの飲用シーンがあるわけですから、本当に喜ばしいことです」と竹内さんは語る。
「店頭でお客様から『この間は小さい方(350ml缶)を飲んだんだけど、飲みやすかったので、大きい方(500ml缶)を買うよ』という声を直接聞けたのは、率直にうれしかったですね。お客様一人ひとりの日常に寄り添うビールでありたいという気持ちが一番強いので」
発売前から流通先の好感触を得られていた。竹内さんは「味に対する評価はもちろん、ビールを通じて少しでも世の中を明るく元気づけたいという私たちの思いに対して、共感していただけたのではないかと思います。今後も定番商品として、お客様や取引先の皆様と一緒に育てていきたいです」と話す。
飲み始めから飲み終わりまでおいしい、これからの時代の生ビール
目指したのは、この先長く愛されるような、これからの時代に向けた新しいスタンダードビールだ。ビールに求められるど真ん中のおいしさと正面から向き合い、「カラダ全体に心地よく沁(し)みわたるうまさで元気づけてくれる生ビール」というコンセプトにたどりついた。
開発を大きく方向づけたのが、ビールの飲用実態の調査。同社によると、ビール1缶(350ml)を飲み干すのにかかる時間は、2018年には平均で12分だったのが、2022年には18分と約1.5倍に増えたという。
「新型コロナウイルスの影響や、働き方が変わり家族と食卓を囲んでビールを飲むシーンが増えた結果もあって、飲用の時間は約6分も伸びました。それだけビールを飲む時間が長くなったとしても、最初の一口目のおいしさがずっと続くようなビールこそが、これからの時代のビールではないかというところに行き着きました」と竹内さん。
飲み始めから飲み終わりまでおいしいビールを追求して、実現したのは「グッとくる飲みごたえと、かつてない飲みやすさ(自社内において)」の両立。厳選された麦芽とアロマホップに加え、コーングリッツを使用して、後味の爽快感がずっと続く。
素材それぞれのうまみと特長を丁寧にひきだしているのが、仕込釜で麦汁を煮出す「デコクション」と呼ばれる工程。これを3回繰り返す「トリプルデコクション製法」を採用した。缶の正面に書かれた「トリプル生」は、そのこだわりを表現している。
それでは、なぜ商品名はシンプルに「生ビール」を強調しているのだろうか? この種の商品ではパッケージもつくり手の細かなこだわりを説明しがちだが、「トリプル生」のフレーズ以外は、必要最低限の情報にとどまっている。
「今回の商品は、お店で飲む生ビールのように、口当たりがスッとして飲みごたえがあり、それでいて後に重たく残らずに、ずっと爽快で飲みやすいビール。『生ビール』という言葉からお客様が連想されるおいしいビールの理想像に近く、そのまま表現すれば、瞬時に商品を理解していただけると考えました」と竹内さんは説明する。パッケージのデザインも、ビール樽をモチーフにしたものだ。
同社の調査でも、「生ビール」への信頼感が強いことが判明している。約4分の3のユーザーが、飲食店の生ビールと缶ビールは中味が違うと思い込んでいたのだ。
同社は1967年に、大量生産を可能にした非熱処理ビールとして、初めて生ビールを発売した。半世紀以上にわたって生ビールと向き合い、おいしさを追求し続けてきた信念が「サントリー生ビール」の名に込められている。
1日の終わり、自分をねぎらう時間のお供に
サントリー生ビールの主なターゲットは、従来のスタンダードビールの飲用層よりも若い30から40代の男女。意外に高めの年齢層からも評価が高く、新しい商品の発売が世代間のコミュニケーションのきっかけになっているという。
テレビCMや広告で印象に残るのが、「生きれば生きるほど生ビールはうまい!」「全員優勝。」というメッセージ。どのような想いが込められているのだろうか。
「2020年に新型コロナウイルスが流行してから、私たちの生活はガラリと一変しました。不安なことも多く、社会全体にどこか元気がない、そんな雰囲気が漂っていました。せめて、その日一日を無事に終え、ビールを飲む時間くらい、自分をねぎらい、ちゃんと幸せを感じて欲しい。そのために、ビールができることは何なのかを考えて出したメッセージです」
竹内さんが言うように、一日の終わりにビールを飲むひとときは、今日の自分を全肯定し、明日への活力をもらえる時間なのかもしれない。それは自分の口からは言い出しにくいものだが、「全員優勝。」のフレーズが代弁してくれている。「この一杯のために生きている」と、おいしいビールを飲んで言ってみるのはいかがだろうか。
そして、多くの人が活力を取り戻すであろうゴールデンウイークの期間中にも、商品を楽しんでほしいと竹内さんは期待している。
「コロナ禍から少しずつ日常に戻っていく中で、久しぶりにお会いする方との会話にもぴったりの、時間をかけて楽しめるような最初から最後までおいしいビールです。そんな日常に寄り添うお供として、サントリー生ビールが役割を果たせたらいいなと思います」