家はどこまで進化する?
積水ハウスが示した“未来のわが家”
家が人を理解する——そんな未来への一歩が、すでに踏み出されています。
積水ハウスが掲げる「プラットフォームハウス構想」は、これまでの“快適な器”としての住まいを、“人の幸せを支えるパートナー”へと進化させる取り組みです。その第一歩として2021年に誕生したのが、住まい手の生活データや住環境データを収集・分析し、日常を“見える化”する「PLATFORM HOUSE touch」です。
住まい手のITリテラシーに左右されることなく、直感的に操作できる点も特長のひとつ。誰もがIoTの恩恵を受けられる仕組みを実現しました。この「PLATFORM HOUSE touch」を皮切りに、「健康」「つながり」「学び」を柱とするプラットフォームハウス構想は、今後どのように進化していくのでしょうか。
今回は、「PLATFORM HOUSE touch」を含むプラットフォームハウス構想の概要や実際の体験レポート、さらにプラットフォームハウス推進部長・吉田裕明氏が語る“未来のわが家”の姿を紹介します。
家が人を理解する時代へ
生活ログが生み出す“気づき”
家族全員がスマートフォンで同じ操作をして、同じ通知を受け取ることができる
2021年にサービス提供が始まった「PLATFORM HOUSE touch」。
生活のあらゆるデータ=“生活ログ”を蓄積・解析し、家の中の様子を“見える化”することで、住まい手の暮らしに新たな価値をもたらすサービスです。積水ハウスが掲げる「プラットフォームハウス構想」のスタートとなるプロダクトです。ユーザーにとっての大きな特長のひとつが、スマートフォンの画面に家の間取りを表示しながら直感的に操作できる「わが家リモコン」です。
これまで自宅にIoTを導入する際の課題となっていたのが、住まい手のITリテラシーでした。スマートホームやスマート家電がなかなか普及しない一因でもあります。「わが家リモコン」は、直感的に操作できるUXを備え、住宅の引き渡し時にはすでに設定が完了しているため、誰でも手軽にIoTを日常生活の中で活用できます。また、住環境モニタリング機能も搭載。熱中症警戒アラートを発信することで、小さな子どもやペットがいる家庭の留守中の室温管理にも役立ちます。
さらに、ホームセキュリティに注力しているのも大きな特長のひとつです。「PLATFORM HOUSE touch」上で鍵や窓、シャッターの状態を把握しているため、外出時の不正開錠などがあればリアルタイムで住まい手のスマートフォンに通知されます。
博報堂とALSOKとの協業により実現した“駆けつけホームセキュリティ”では、蓄積された生活ログを活用。開錠時間や夜間の施錠状態といったデータを基に、防犯意識をNormal・Good・Excellentの三段階でスコア化します。防犯意識が高いほど利用料金が安くなる仕組みです。
積水ハウスの「守る防犯」「見える防犯」「知らせる防犯」といったノウハウに、ALSOKの駆けつけサービスを組み合わせることで、万が一の際は住まい手全員のスマートフォンに通知が届き、駆けつけ状況も可視化されます。今後もアップデートを重ねながら、より安心・安全な住まいづくりを進めていく予定です。単なる構想にとどまらず、実際のサービスとして形にしたこの取り組みを、積水ハウスはさまざまな業界との協業を通じて、さらに幅広い領域へと広げていこうとしています。
「PLATFORM HOUSE touch」を体験してみた
今回、幕張メッセで開催されたCEATEC 2025の「暮らしのDXパビリオン」にて、「PLATFORM HOUSE touch」の機能を体験しました。
「今回の展示理由のひとつに、積水ハウスが『PLATFORM HOUSE touch』に関して抱えている課題がありました」と語るのは、プラットフォームハウス推進部サービス企画室長の藤岡一郎氏です。
現在、「PLATFORM HOUSE touch」の設置は積水ハウスの新築物件およびリフォーム物件に限られています。つまり、実際にこのサービスを使った経験を持つ営業担当者がまだ少なく、その特長やメリットをお客様に十分伝えきれていないという課題がありました。そうした中で、このCEATECでの展示は、当社で住宅建築を検討しているお客様や新たな協業企業に向けて、「PLATFORM HOUSE touch」の魅力を直接お伝えできる貴重な機会になると期待しています。
直感的に操作できる「わが家リモコン」
「わが家リモコン」の画面には、実際の照明やエアコンの設置場所にマークが表示され、タップするだけでオン・オフや温度調整が可能。外出先からエアコンを操作することもでき、いつでも快適な自宅環境を維持できます。さらに、家族の誰かがドアを開錠すると通知が届くため、子どもの帰宅状況なども把握可能。共働き家庭にも安心な機能です。
強固なセキュリティと安心の仕組み
アラートに表示される手順に従って操作するだけで、簡単に遠隔から施錠できる
鍵の閉め忘れがあった場合には、アラートで知らせてくれます。「PLATFORM HOUSE touch」では遠隔での施錠も可能で、離れた場所からでも我が家の安全を守ることができます。
警戒モード中に不正開放が発生した場合は、ALSOKが駆けつける
外出時の警戒モードは発動までの時間を自由に設定可能。誤操作によるアラートの心配もなく、不正開放があった場合は図面上でどの窓やドアに異常が発生したかを確認できます。今回の展示で大きな注目を集めたポイントのひとつが、その強固なセキュリティです。インターネット環境と接続している以上、住宅は空き巣などの物理的な犯罪だけでなく、サイバー攻撃への備えも求められます。
藤岡氏はそのセキュリティレベルの高さについてこう語ります。
「住まい手に安心してご利用いただくために、セキュリティ対策のルールづくりをCCDS※1 で行い、それに準拠した専用エッジコンピューターの開発を自社で行っています。今回JC-STAR※2 で検討されているスマートホーム分野のセキュリティ基準にも、このルールが盛り込まれています」
※1 CCDS(Connected Consumer Device Security Council)一般社団法人 重要生活機器連携セキュリティ協議会は、スマートホームに必要とされるセキュリティ要件を満たした製品・サービスに付与されるサーティフィケーションマークを発行する団体です。CCDS は経産省/IPA が進めている JC-STAR 制度の検討に参画しています。積水ハウス株式会社社の PLATFORM HOUSE touch は CCDS サーティフィケーションマークのスマートホーム分野で★2を取得しています。
※2 JC-STAR(Japan Cyber-Security Technical Assessment Requirements)は、2024 年 8 月に経済産業省が公表した「IoT 製品に対するセキュリティ適合性評価制度構築方針」に基づき構築された制度です。
藤岡氏は「積水ハウスのサービスは、住宅そのものの物理的セキュリティだけでなく、データなどデジタルデータの安全性も高い」と語る
積水ハウスが独自に作成したセキュリティルールは、一定の基準を満たしていることが認められ、スマートホーム分野のセキュリティ基準検討の活動にも参画しています。
パビリオンでは、ハッキングによるセキュリティ検証デモも実施され、セキュリティ対策が未導入の環境では容易に侵入できたWi-FiルーターやDoS攻撃も、「PLATFORM HOUSE touch」導入環境では影響がほぼないことが示されました。
パビリオンで見えた、利便性と安全の両立
パビリオンでは、実際の住宅をイメージした空間で、多くのデモンストレーションが行われた
実際、パビリオンではセキュリティに関するパネル展示やデモに足を止める来場者の姿が多く見られました。利便性という“表”の部分だけでなく、その裏側でどのようなセキュリティ対策が機能しているのかを丁寧に説明することで、来場したお客様と協業企業の双方にアプローチする内容となっています。
藤岡氏は、「現在の『PLATFORM HOUSE touch』は、お預かりしたデータを活用してお客様にサービスとして還元する入口の段階です。まずは多くの方に使っていただきたい」と語ります。
「プラットフォームハウス構想」誕生の背景
「デバイスを設置したあとは住まい手任せ――そんなスマートホームとは一線を画します」と語る、プラットフォームハウス推進部長の吉田裕明氏
CEATEC 2025展示に際し、プラットフォームハウス推進部長の吉田裕明氏に構想誕生の背景や今後の展望について話を伺いました。
——まずプラットフォームハウス構想が誕生した背景について教えてください。
吉田:積水ハウスは2020年、創業60周年を迎えた節目に「これからの30年は、住宅を通じて幸せを提供する」ことを目指すようになりました。幸せを定義するのは簡単ではありませんが、健康・人とのつながり・明日に向かう学びの3要素が人生を豊かにし、幸せを生み出すと考えています。
プラットフォームハウスでは、住まい手のデータを蓄積・分析することで健康、つながり、学びに関するサービス構築が可能となり、世代やITリテラシーに関係なく「PLATFORM HOUSE touch」を家族全員で使うことで自然な家族のつながりも生まれます。単に利便性を追求するのではなく、住まい手がよりよく生きるためにテクノロジーを活用する点で、一般的な「スマートホーム」とは大きく異なります。
——具体的に、「スマートホーム」との違いはどのような部分にあるのでしょうか?
吉田: 「わが家リモコン」のように図面を見ながら直感的に操作できるインターフェースや、設置後のサポート体制がある点も違いです。さらに重要なのは、データの蓄積・分析によって無意識だった行動を“見える化”し、行動変容につなげられる点です。
例えば、エアコンの使用データから「快適な室温は平均より少し低め」と気づいたり、照明データから「家族で過ごす時間が減っている」と認識できたりします。こうした“気づき”は健康管理や家族関係の改善に役立ちます。また、防犯意識をスコア化し、利用料金に反映する駆けつけホームセキュリティも、自分の防犯意識を見つめ直し、行動変容を促すきっかけになります。
——今後のサービス展開や展望について教えてください。
「PLATFORM HOUSE touch」を通じてお預かりする様々なデータをAIが解析し、住まい手へより良いサービスを提供する循環モデル (資料提供:積水ハウス株式会社/株式会社 博報堂)
吉田:現在、プラットフォームハウスで蓄積されたデータを活用し、健康・つながり・学びに関する新しいサービスを開発中です。博報堂やALSOKとの協業で生まれたサービスは、データ活用の価値を具体的に示す成果になりました。
現状、「PLATFORM HOUSE touch」は新築およびリフォーム物件への導入に限られますが、今後は積水ハウス以外の住宅への展開も視野に入れ、社会のインフラとしての役割を目指しています。DXやAIの進化が進む中でも、最終的に「自分の幸せをどう選ぶか」は人が決めること。住まい手自身が幸せを認識し、選択を重ねることで“ありたい姿”に近づけると考えています。積水ハウスは、こうした世界観を体感できる仕組みを社会に実装していきます。
ブース体験を通じて感じた、
導入メリットと安心サポート
プラットフォームハウス構想の皮切りとなる「PLATFORM HOUSE touch」の月額利用料金は2,200円(税込)。防犯意識のスコアによって月額料金が変動する駆けつけホームセキュリティは、Normalが6,160円(税込)、Goodが5,610円(税込)、Excellentが5,060円(税込)です。
多くのIoTサービスでは、設置後のサポートが限定的であったり、利用期間に制約があったりしますが、「PLATFORM HOUSE touch」はいつでもサポートが受けられる点も魅力です。
住環境や生活データを分析し、暮らしのリズムやリスクを“見える化”することで、住まい手が自らの行動を主体的に選択できます。家が人を理解し、より安心で豊かな暮らしを共に育てる。それが、積水ハウスがプラットフォームハウスを通じて描く“未来のわが家”です。