みんなのギモン調査中! こどもリポーター URの団地が生まれ変わるとまちはどうなるの? みんなのギモン調査中! こどもリポーター URの団地が生まれ変わるとまちはどうなるの?

こどもリポーター タケチ レンノスケさん こどもリポーター タケチ レンノスケさん

なんだか知りたい、最近気になるモノやコト、話題の現場をこどもの目線でリポートするこの企画。今回、タケチ レンノスケさんが訪れたのは、東京都日野市にあるUR賃貸住宅「多摩平の森」。団地の中に森があるの? そこでは人と自然がどんなふうに共生しているんだろう? レンノスケさんが見た、人と自然がゆるやかにつながる暮らしの風景を紹介します。

写真:多摩平の森

多摩平の森 多摩平の森

高度経済成長期、都心部で働く人たちの住宅需要に応えて1958年に「多摩平団地」が竣工。2000年代初頭から順次団地再生を進め、団地の名前も「多摩平の森」となり、新たな姿に生まれ変わりました。都市の機能と自然が調和するユニークなまちとして人気を集めています。

歴史ある自然の姿を残したい 歴史ある自然の姿を残したい

JR中央線の豊田駅から約10分。大きな商業施設の先をしばらく歩くと、視界に入る木々の数が目立って増えてきました。「うわ、広い。ほんとに森なんだ」。背の高い木々を見上げてレンノスケさんがつぶやきます。予想していたこととはいえ、都会的なまち並みの中にふいに現れた緑あふれる光景には、さすがに少し驚いた様子です。

旧多摩平団地は、昭和30年代のはじめ、かつての宮内省(庁)の御料林のあった場所に整備された大規模な団地。しかし建物の経年変化に加え、人々の新しい生活スタイルに住宅設備が合わなくなってきたこともあり、平成のはじめ頃に団地再生の計画がスタート。UR賃貸住宅「多摩平の森」へ生まれ変わりました。

レンノスケさんを案内してくれたUR都市機構東日本賃貸住宅本部の稲田一輝さんによると、団地再生を進めるにあたってURがめざしたことが2つあるそうです。「1つはこの場所の歴史ある素晴らしい自然をできる限り残すこと、もう1つが地域の方にとって以前よりも住みやすいまちにすることです」

それを聞いたレンノスケさんがちょっと不思議そうな表情を浮かべます。団地再生の話を聞いていたはずなのに、まちを住みやすくするってどういうことだろう?



「多摩平の森の団地再生はURだけで進めたわけではないんです。お住まいの方々や自治体(日野市)とも勉強会やワークショップで意見交換をしながら、団地だけでなくこの地域全体がより良くなる、そんな目標を持ってプロジェクトを進めました」

旧多摩平団地は29万平方メートルの敷地に247棟の建物が立っていましたが、一部の建物を高層化することで敷地11万平方メートル・30棟に集約。そうして生み出したスペースに、現在は図書館や保育園などの公共施設、大型商業施設、高齢者施設、ひの社会教育センターなどが立ち並んでいます。稲田さんの言葉通り、団地の再生はこのまちの暮らしそのものを大きく変えてきました。一方で、森の木々は今も変わらぬ姿でそこにあります。

「ここに住んでいる人たちに、今の暮らしや昔の話を聞きたくなりました」。レンノスケさんは目を輝かせて団地の奥へと歩いていきます。

旧多摩平団地の入居者募集案内。「富士の見えるニュータウン」というコンセプトは多摩平の森にも生かされている

みんなの協力で生まれたまち みんなの協力で生まれたまち

四季を彩る木々の下には遊歩道があり、住民のみなさんが散歩や森林浴を思い思いに楽しんでいます。芝生ではベンチでくつろぐ親子連れや、元気に走りまわる小学生の姿も見られました。

「子どもたちに思い切り外遊びをさせられる環境が最高です」。「住民同士が交流する機会も多いので安心して暮らせます」。レンノスケさんが住民の方々にマイクを向けると、そんな言葉が返ってきました。古くなった団地を建て替えるために始まった取り組みで、どうしてこれほどみんなに喜ばれるまちができたの?レンノスケさんは団地再生が始まった当時を知る自治会長の笹原武志さんに会いにいくことに。



「初めに建て替え計画を聞いたときはやっぱり不安でしたよ。そこで私たちから提案して、住民、UR、日野市の三者による勉強会を始めることになりました」。相手は建築や法律の専門家。話し合いをきちんと前に進めていくために、笹原さんたちはずいぶん色々なことを勉強したそうです。「一方でURも住民側の要望をできる限り聞きながら、現実的に可能な方法を提案してくれました。あの勉強会がなければ計画がこんなにうまくいくことはなかったと思います」。新しい賃貸住宅の名称を「多摩平の森」にするというのも住民のみなさんのアイデア。三者それぞれ立場は違っても、みんなが生き生き暮らせるよいまちをつくりたいという気持ちは同じ。その理想的な協力関係が、このまちの心地よさの秘密のようです。

「話を聞いた人たちみんながこのまちをすごく好きなんだなというのが伝わってきました」。レンノスケさんは笑顔でそう語り、今回の取材を締め括りました。

住民のみなさんの声 住民のみなさんの声

  • ショッピングや通学、通院、何をするにも便利なまちです

  • 自然が多く子どもがのびのび遊べるのが最高です

  • 世代の違う方々と交流する機会が日常的に多くあります

  • 星空上映会などのイベントは子どもと一緒に楽しんでいます

まちづくりの面白さを伝えていきたい 多摩平の森 自治会長 笹原武志さん まちづくりの面白さを伝えていきたい 多摩平の森 自治会長 笹原武志さん

URと自治体と住民がひとつのテーブルを囲んで建て替えの詳細を決めていくというのは、おそらく後にも先にもほとんど例がないことだと思います。三者勉強会は現在もまだ続いていますが、これだけ長きにわたり建設的な話し合いができているのは、ひとえに専門家のみなさんが私たちを信頼してくれたおかげです。
団地の再生というと、一度すべてをゼロに戻してまったく新しいものをつくるということを想像しました。しかし私たちはそうではなく、「森を残す」という選択をしました。この多摩平の森については、大正時代の終わりにカナダから布教に訪れたストーン牧師という方が、祖国にも似た自然をとても気に入っていたという話も残っています。
そんな森に対する地域住民の深い愛着に対して、建物を高層化すればより多くの緑地帯が残せることを示してくれたのはURです。まずは要望してほしい、自分たちがそれを現実的な形に着地させるから、という当時の担当者の言葉に勇気づけられたのを覚えています。
もちろん私たち住民も、専門家としっかり話ができるように色々なことを勉強しました。私は自治会長を務めて35年になりますが、この建て替えは数え切れないほど多くの学びを自分に与えてくれたと思っています。

どこかに便利で住みよい理想のまちはないかと探すのもいいですが、自分が住んでそのまちをよくするんだという意欲を一人ひとりが持つことも大切です。私たち素人でもできたのですから、きっと他のまちでもできます。何もすべてを担えというんじゃない、自分のできることからでいいんです。子育て、介護、医療、世の中の問題の多くは「まち」のなかにあって、「まち」が変わることで変えていけることも少なくありません。まちづくりは面白いというのが、長く関わり続けてきた私の実感です。特に若い世代のみなさんには、そのことをぜひ伝えていきたいと思っています。 (談)

旧多摩平団地

みなさんのまちと暮らしを持続可能に UR都市機構東日本賃貸住宅本部 稲田一輝さん みなさんのまちと暮らしを持続可能に UR都市機構東日本賃貸住宅本部 稲田一輝さん

私は仕事柄たくさんの団地を見てきましたが、ここ多摩平の森ほど緑が豊かな場所は他に思い当たりません。敷地内に立って360度ぐるりと見回すと、一つひとつ背の高さも葉の形も違う木々が見事なタペストリーを描いているのを目にすることができます。しかもその木々は、低層階のブラインド(目かくし)など機能面でも有効活用されている。URにはグリーンマネージャーという植栽管理の専門家がいますが、その細やかな仕事ぶりは私たちから見てもすごいものだなと感じます。
多摩平の森は、お住まいの方々のコミュニティ活動がさかんなことも特長のひとつです。私たちURから何かを押し付けることなく、子どもから高齢の方まで多様な世代が自発的にこのまちでの暮らしを楽しんでおられる姿は、見ていてとてもうれしくなります。住民のみなさんが主役となり、自治体とURとの協力関係で築かれた多摩平の森の歩みを振り返ると、そこにはこれからのまちづくりのヒントがたくさんありそうです。

URの前身である日本住宅公団は、かつての住宅難の時代、主に都市部で働く人たちの住宅需要に応えることを使命としていましたが、今その役割は大きく変わりました。多様化するニーズに対応するため、今あるストックを活用・再生しながら、まちと暮らしを持続可能にすること。それがこれからの目標です。多摩平の森には、ここで生まれた子どもが大人になり、高齢になっても住み続けられるだけの機能がすでにあります。今後はまちとしてゆっくりと成熟しながら、人々がゆるやかにつながり、暮らしが持続していく。そんな未来のために、私たちはこれからもお手伝いをしたいと考えています。 (談)

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社会課題を、超えていく。

UR都市機構の歩みは戦後の住宅不足解消に端を発しています。1955年から様々なステークホルダーとともに、時代時代の多様性に即し、安全・安心・快適なまちづくり・くらしづくりを通して、「人が輝く“まち”」の実現に貢献してまいりました。そしてこれからも、変化する社会課題に挑戦し続けることで皆さまにお応えし、「人が輝く“まち”」づくりに不可欠な存在でありたいと考えております。これまで培ってきた持続可能なまちづくりのノウハウをいかし、都市再生事業・賃貸住宅事業・災害復興支援・海外展開支援に全力で取り組んでまいります。