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文部科学省卓越大学院プログラム早稲田大学パワー・エネルギー・プロフェッショナル(PEP)育成プログラム キックオフシンポジウム エネルギー大変革時代を切り拓く博士人材

文部科学省卓越大学院プログラム早稲田大学パワー・エネルギー・プロフェッショナル(PEP)育成プログラム キックオフシンポジウム エネルギー大変革時代を切り拓く博士人材

次の時代を動かす博士人材を、ここから。

5年一貫の博士課程学位プログラムで、卓越した人材の育成と国際的な教育研究拠点の形成をめざす文部科学省の「卓越大学院プログラム」。その初年度事業に、早稲田大学「パワー・エネルギー・プロフェッショナル育成プログラム(PEP)」が、私立大学としては唯一採択された。3月18日、早稲田大学大隈記念小講堂で開催されたキックオフシンポジウムで、プログラムへの期待とこれからの時代に求める人材について、関係者が語り合った。

文部科学省 卓越大学院プログラム POWER ENERGY PROFESSIONALS PEP

基調講演①

エネルギーの未来を拓く
卓越大学院への期待

五十嵐 仁一

JXTGエネルギー株式会社
取締役常務執行役員

世界のエネルギー動向は、大きな変革期を迎えています。パリ協定で定められた平均気温上昇2℃以下目標を達成するためには、2050年にCO2排出量を8割減らさなければならないことになります。再生可能エネルギーの補塡に火力発電が使えず、水素や蓄電池は大きなコストがかかる。このギャップを埋める技術革新が求められています。

そのための重要課題の第一にあげられるのが「エネルギー・システム統合技術」でしょう。複雑化し、グローバル化するエネルギー課題をマネジメントする人材を、国も産業界も求めています。

産学官連携の面からは、経団連は「SDGsに貢献するSociety5.0」をモットーに、世界に先がけてオープンイノベーションを起こし、課題を機会に変える成功のプラットフォームを打ち出しています。必要なのはデジタル革新と多様な人々の創造力。100年に1度の大転換期の今、探究心と当事者意識を持つ、新たな人材の創出に期待しています。

基調講演②

価値の集積・融合による
イノベーションとエネルギーの未来

岡本 浩

東京電力パワーグリッド株式会社
取締役副社長

発電所、配電ネットワーク、白熱電球からなる「システム」を初めて構築したエジソンの時代をUtility1.0とすると、現時点の電力自由化(Utility2.0)を経て事業間の垣根がなくなり、連携・融合をせざるを得ない将来は、Utility3.0の時代といえるのではないでしょうか。これからの人口減少社会では分散型電源が増え、さらに脱炭素化が進むでしょう。

バッテリー性能の向上と低価格化によって、電気自動車が普及し、交通弱者のための自動運転機能も発達します。電気自動車がモノや人を運び、同時に電気を運ぶ。その二つのネットワークと、通信ネットワークが一つのインフラになるということも考えられます。分散と統合は新たなビジネスにつながります。

企業がこれから求めるのは、横断的な知識と経験、そしてそれを統合して、お客様のニーズに応えることができる人材です。限られた分野だけのエキスパートは、今後価値が下がるでしょう。分野、業界を横断し、大学、産業界を超えた連携を生み出すPEPには非常に期待しています。未来をつくる新たなイノベーションの起点となるでしょう。

基調講演③

通信とライフデザインの融合、
パワー・エネルギー・プロフェッショナルへの期待

中村 元

株式会社KDDI総合研究所
取締役執行役員副所長

KDDI総合研究所は、発足当時から無線や光、海底ケーブルなどネットワークの研究、映像の圧縮技術などを手がけ、最近はIoT、AI、ビッグデータ、ヘルスケアなどをテーマにしています。2016年にはシンクタンクの「KDDI総研」と合併し、ちょうど文系と理系が共存するような組織になっています。KDDI本体がライフデザイン事業を拡張する方針を打ち出したことにより、エネルギー分野にも範囲を広げ、ICTの活用を前提に、より効率的に、利便性の高いエネルギーサービスを提供していくことを目指しています。

例えば、各家庭のスマートメーターのデータを活用し、電力消費を各自のスマホに表示するシステム。また、分散された発電設備をIoTの通信機器で連係させて、一つの発電設備のように統合制御する「バーチャル・パワー・プラント」など、複数の分野にわたる多様化、融合が進んでいます。

当研究所では、自分の専門以外で博士号をとる研究員も現れています。これからのプロフェッショナルは、専門性を生かしながら、俯瞰(ふかん)的な視点で物事を捉えられる人材。期待しています。

パネル
ディスカッション

「エネルギー大変革時代を切り拓く博士人材」

モデレータ

林 泰弘([PEPプログラムコーディネーター] 早稲田大学理工学術院 先進理工学研究科 教授)

パネリスト

五十嵐 仁一(JXTGエネルギー株式会社 取締役常務執行役員)

岡本 浩(東京電力パワーグリッド株式会社 取締役副社長)

中村 元(株式会社KDDI総合研究所 取締役執行役員副所長)

舟木 剛(大阪大学大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻 教授)

末廣 純也(九州大学大学院 システム情報科学研究院 電気システム工学部門 教授)

渡邉 正義(横浜国立大学大学院 工学研究院長・理工学府長、理工学部長、教授)

宮武 健治(山梨大学 クリーンエネルギー研究センター 教授)

川上 智子(早稲田大学大学院 経営管理研究科〈ビジネススクール〉 教授)

初めに博士人材の育成というテーマでお話をうかがっていきます。特に、これまではこうであったものが今後はこう変わる、といった視点でみなさんのご意見をお聞かせください。
渡邉
今後の博士人材に必要なものは、専門性に加え俯瞰力と融合力だろうと思います。私たち化学分野の人間はナノメーターの単位でものを見ますが、たとえば自動車のバッテリーを考える際にはセンチメーター、その技術をスマートグリッドに応用するという場合には数十メーターという規模まで幅広く理解できる人材が必要です。より豊かな社会のために技術をどう生かすか、といった発想には科学の知識と視点だけでは不十分で、時には社会科学系の知識が示唆を与えてくれることもあると思います。
宮武
私は山梨大学で博士課程教育リーディングプログラムにも携わりましたが、この卓越大学院プログラムは、そこでの内容を活かしつつ一層発展した取り組みと捉えています。本学のリーディングプログラム修了生は、就職した企業等から高い評価を受けていますが、5〜7年というスパンで真のグローバルリーダーが育ったかといえば、なかなか難しかったというのが正直なところです。PEPでは、それぞれ強みの違う13大学の幅広い学びを融合することで、これまでよりも短期間に優れたグローバルリーダーが育つことを期待しています。
舟木
大阪人の言葉で言わせてもらえば、私が期待するのは「もうかるエンジニア」を育てて欲しいということです(笑)。日本にエンジニア出身の経営者が少ないのは、理系の人材に経営的視点を持たせる教育が、これまでは不足していたからだと思います。私自身、電気工学のなかでは部品から回路開発まで幅広く取り組んできたつもりですが、残念ながら文系分野には非常にうとい。PEPには川上先生のような社会科学系の先生もおられるので、うちの金の卵たちをアヒルから白鳥へと育てていただけければと思います(笑)。

林 泰弘

渡邉 正義

末廣
大規模集中型電源を専門とする私が学生だった当時、研究のベクトルというのは非常に明快でした。つまり大きな火力発電所で電気をつくり、高電圧で効率よく送る。その延長上に100万ボルト送電の研究も進み、技術開発はほぼ終わっていましたが、結局実用されることはありませんでした。電力消費が落ち込み、必要性がなくなったからです。世の中というのはそれほど変わります。PEPでは分散型電源やマテリアルの専門家もおられるので、うちの学生たちにとっても新しい知見を得る好機になると思います。
それでは川上先生、先ほど舟木先生から「よろしく頼む」というような話もありましたが。
川上
大学を卒業後、精密機械メーカーで知財の調査や事業企画に携わった経験から、私はイノベーションには技術の知識と経営の知識の融合が必要だと感じています。そのためには、関わる一人ひとりが自分の役割を柔軟にして、幅広い分野の人を巻き込んでいくことです。やり方は二つあり、1人の人が多様性を持つか、チームでそれを持つか。もちろん、より効率がいいのは1人のなかにいろいろな側面があることですので、PEPのように理系の専門家に社会科学の学びも与えるというのは、非常に有効だと思います。
ありがとうございました。以上はアカデミアの側からどのような人材を育てたいかという話でしたが、PEP修了生の受け皿となる産業界ではどのような人材に期待するかお聞かせください。

宮武 健治

舟木 剛

五十嵐
私は会社に入った後に博士を取りましたが、国際社会では学位があると仕事の幅が広がることを実感しました。海外では、ドクターですと紹介されるだけでその後の話がスムーズに進みます。若い人には早いうちに博士を取ることはもちろん、専門以外の分野も幅広く学び、国際社会で活躍して欲しいと思います。その理由はふたつ。今はまだ日本企業は博士人材を十分活用できていませんが、間もなく博士の力が必要とされるグローバル社会に変わっていきます。そしてもうひとつは、何より自分のためです。自分自身の力を高めて困ることはないのですから。
岡本
博士号を修得してから企業の研究所に配属された私は、自分は研究者だという自負が強かったので、事業部門に異動が決まった時は会社をやめようかと思いました(笑)。しかし他分野の人たちと協力して取り組む仕事が徐々に面白くなり、その後は研究所に戻れと言われても「もう少し」と先延ばしを続けてきました。PEPでは、専門分野で身につけた課題発見力や問題解決能力を他分野に生かすという経験を多く積むことができます。企業の側からPEPで学ばせるために人を送ることもあるでしょうし、そうした双方向の交流ができればと思います。
中村
私も本来は研究だけできれば幸せという人間ですが、岡本さんと同じように本社でいろいろな業務に携わるなかでそちらが面白くなり、今は研究所のマネジメントに専念しています。PEPの育てようとしている人材は社会に必要ですし私も高く評価しますが、博士課程とはまず専門性を高める場であるべきです。広げることも重要ですが、まずはしっかり突き詰めること。突き詰めて突き抜けた先に、初めて俯瞰力と融合力も備わるものだというようなイメージを持っています。PEPからどんな人が育つか、非常に楽しみです。
では最後に、本日のまとめです。現在の世の中ではそれぞれの分野が非常に高度になり、有用な知識がバラバラに存在しているため、「知恵のたすき」がうまくつながれていないという状況があります。その「知恵のたすき」を束ね、織り交ぜてひとつの色にしていく。たくさんの人を巻き込み大きな輪を描いていく。それが私たちPEPのめざすべき姿です。理想論かもしれませんが、目標を高く掲げて進んでいきたいと思います。本日はありがとうございました。

末廣 純也

川上 智子

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