ウェルビーイングシンポジウム企業のパーパス設計に「幸福」と「共創」を
「ウェルビーイングアワード2023」の【モノ・サービス部門】でグランプリを受賞した住友生命保険相互会社、株式会社LIFULLに共通するのは、企業のパーパス設計に「ウェルビーイング」を組み込んでいることです。ビジネスにおけるウェルビーイングの可能性や「共創」の仕組みづくりをテーマに、株式会社LIFULL執行役員でCCO(Chief Creative Officer)の川嵜鋼平氏、住友生命保険相互会社取締役代表執行役社長の高田幸徳氏と審査委員長の前野隆司教授、宮田裕章教授がトークセッションを行いました。
ウェルビーイングが企業選びの基準になる
株式会社LIFULL
ビジネスの基盤は「論語とそろばん」
前野 私は「幸せ」の研究をしていて、「幸せの4つの因子」という話をよくします。そのひとつが「ありのままに」因子なんですね。「住宅弱者」と呼ばれる人々に対して、FRIENDLY DOORが提供しているのは、まさに「ありのままに」を実現するものですよね。
川嵜 創業者の井上(高志代表取締役社長)は、まさに目の前の一人ひとりの課題を解決したいという思いからさまざまな事業を生み出してきました。企業ブランディングのコンセプトとして掲げている「しなきゃ、なんてない。」も、既成概念に縛られない自分らしい生き方、まさに「ありのまま」を実現するためのものだと思います。
宮田 産業革命以降の大量生産大量消費、あるいは昨今のデジタル化というものは、多数の中に少数を飲み込む暴力装置にもなりがちだったんですよね。少数の方々に寄り添うLIFULLさんの取り組みは、本当に大事だと思います。社会課題と向き合う取り組みをビジネスとして成立させるには、工夫が必要ですよね?
川嵜 弊社は「論語とそろばん」という考え方を大切にしています。ビジョンを実現するための情熱だけでなく、ビジネスとしての持続性も考えて、常に事業をマネジメントしています。
つながり・信頼をつくることが大切
宮田 FRIENDLY DOORの取り組みは、まさに御社のブランドパーパス(※)を体現するものですね。
川嵜 ブランドパーパスは、これからの時代、本当に大切なものだと思っています。いいプロダクト、サービスをつくれば使ってもらえる時代を経て、これからは生活者が投票するように自分自身をウェルビーイングにしてくれる企業を選ぶようになると考えています。
前野 本来はいいことをしたいという思いがあって、それが企業ブランディングになるわけです。LIFULLさんのように本当にやりたいことがあって、それをビジネスにしたことが評価されるのが正しい形ですよね。
宮田 少し前は、株主の短期利益至上主義が世界を席巻していたわけですが、ここ数年ですっかり覆りました。金を儲けるより、つながり・信頼をつくることが企業ブランディングのど真ん中になっています。
前野 そういう意味では、ウェルビーイングアワードは、これからの企業選びの基準になるでしょうね。
宮田 今回の受賞をきっかけに、事業を通じて社会課題を解決する取り組みをさらに推進していきます。
※LIFULLグループのブランドパーパス:個人が抱える課題から、 その先にある世の中の課題まで。 安心と喜びをさまたげる社会課題を、 視点を変える発想で解決していく。すべては、世界中のあらゆる「LIFE」を、 安心と喜びで「FULL」にするために。(ブランドステートメントより抜粋)
ウェルビーイング寿命の拡張に「共創」で挑む
住友生命保険相互会社
ビジネスのすぐ隣に実は社会課題がある
前野 今まで病気や死亡に備えてというイメージだった生命保険を予防のところまで広げた発想力に感動しました。自分のビジネスのすぐ隣に実は社会課題があり、それを解決するために着実に行動している点がすばらしいですね。
宮田 生命保険というのは、一度成約すると契約者と距離を取るようなケースも多かったと思うんです。〝住友生命「Vitality」?のすばらしいところは、その慣例にウェルビーイングの観点から問いを立て、契約者の暮らしにどう寄り添えるか考えた結果をビジネスモデルとしてアップデートしたことです。私の専門である医学の観点から申し上げると健康は損なわれてからでは遅い。病気になる手前からサポートすることで、「その人らしく生きる時間」は伸ばせるわけです。このウェルビーイング寿命の拡張にチャレンジした点が画期的だったと思いますね。
前野 既存の生命保険ではビジネスになりにくかった部分に、今回「ウェルビーイング・アズ・ア・サービス」としてチャレンジしたところで、きっと障壁もありましたよね?
高田 はじめは社内でもなかなか理解は得られませんでした。イノベーションとはそういうものです。〝住友生命「Vitality」?は、南アフリカ発祥の保険プログラムがモデルで、これを日本向けにアレンジしています。そこで、関係者を南アフリカまで連れて行って、健康増進型保険というものが浸透している世界を体験させて、「自分ごと化」してもらうことから始めました。
ウェルビーイングが背中を押してくれた
前野 利益を上げて株主に還元するのが当たり前というビジネスの世界で、「いや違う、顧客の幸福のために正しいことをする」という判断をして、反対を乗り越えてきたわけですね。
高田 信念を持って事業を行うことで、必ず応援してくれる人が現れます。今は、〝住友生命「Vitality」?も19社と連携してプログラムを展開しています。まさに、ウェルビーイングに背中を押されているのを感じます。
前野 やはり大切なのは創造性と協力ですね。他者と連携することで、自分ひとりでは考えつかない方法で、ウェルビーイングを拡張できるということです。
宮田 排他的に財を奪い合う「競争」の時代を経て、現在は「共創」の時代に向かっています。一人ひとりの生活をよくすることが、社会全体をよくすることにつながる。この「共創」の先に新しい未来がつくられていくと思っています。
大量生産・大量消費の経済に支えられたこれまでの豊かさがほころびを見せ、人と社会にとっての幸せの意味が問い直されている時代。ウェルビーイングアクション実行委員会とその取り組みに賛同する企業では、ウェルビーイングの実践につながる情報発信やイベントの実施、ウェルビーイングな取り組み事例の紹介などを行っています。
授賞式の様子は動画でもご覧なれます。







