自動車におけるトレンドはらせんのように進む傾向にある、と思いませんか。いい例が、今回の「日産サファリ160系」(1980年)。ちょっと前は“武骨すぎる”と思われたものの、いま見ると直線基調のボディーと機能一辺倒のメカニズムが魅力的に見えてくる。
サファリは、1960年発表の「パトロール」の後継。こちら、本格的なオフローダーだった。いまのジャンル分けでは、クロスカントリー型SUVなどという。でも、SUVなどと生やさしいものではなく、林野庁などが山中で使ったりする“業務向け”のモデルだった。

日産は20年ぶりのモデルチェンジで、サファリのキャラクターを大きく変えてきた。一般の人でも乗れるモデルになったのだ。ただし、初期のモデルでは、本格的な機能と一般的な快適性のミックスぐあいが絶妙。かつ、米国のフォード・ブロンコやジープ・チェロキーに通じるボディーコンセプトを採用したので、バタくささが魅力だった。

米国でトラックと総称されるこれらのクルマは、本国では、スタイリッシュさの対極。でも、ワークブーツやカーペンターパンツに、ある種エキゾチックなカッコよさを見出す価値観からすると、米国人にとって泥くさいほど、魅力が増すのである。
もちろん、サファリはフルモデルチェンジしても、オフロードをしっかり走るという本来の機能は守っていた。ここで取り上げる最初期型は特に、ラダーフレームにリーフスプリングを使った前後固定式のサスペンションを組み合わせ、エンジンも3246ccと大排気量ゆえ低回転で太いトルクを出す直列6気筒ディーゼルと、まさに働くクルマだった。

加えて、日産のデザイナーは、機能主義に裏打ちされたディテールを、あれやこれやと盛り込んでくれた。割れても交換容易な標準規格の丸型ヘッドランプ、大型バンパー、ピックアップトラックなみに広い荷室にハードトップを載せた、基本2人で乗るのが快適な2ドアボディーといったぐあい。

ラダーフレームにリジッドアクスルは、いまやごく少なく、スズキのジムニーが思いうかぶぐらいだ。たしかにオンロードでは直進安定性にやや不安があるものの、いっぽう悪路での路面の追従性においては、高い性能を発揮。堅牢な構造も機能主義を重視する4WD車にとって重要なポイントである。
サファリは、ホイールベース2350ミリのこのハードトップと、乗員を運ぶのを目的とした同2970ミリのエクストラバンという二つのボディー。かつ、ハードトップには標準ルーフ(全高1845ミリ)と、ハイルーフ(同1980ミリ)があり、乗車定員も2名あるいは4名と二つの仕様から選べた。

サファリのゴツい雰囲気はいまでもおおいに魅力的だ。あいにく、古いディーゼルエンジンは排ガス規制にひっかかり、都府県の一部では乗り入れ規制がある。規制自体は、環境のことを考えると歓迎すべきであろう。昔のディーゼルエンジン車に乗りたければ、指定された粒子状物質減少装置(酸化触媒、DPFなど)を装着すれば走行可能だが、NOx・PM法の規制対象なら(車検)登録はできない。エンジン載せ替え? そこが悩ましい問題だ。
【スペックス】
車名 日産サファリ・ハードトップ標準ルーフ
全長×全幅×全高 4070x1690x1845mm
3246cc直列6気筒ディーゼル
パートタイム四輪駆動
最高出力 95ps@3600rpm
最大トルク 22.0kgm@1800rpm
(写真=日産自動車提供)












