例年4月にイタリア・ミラノで開催されるミラノサローネ国際家具見本市は、世界最大規模の家具の展示会として、家具のメーカーをはじめ、バイヤー、ジャーナリストが世界各地から訪れる。今年は、4月16日から21日までの会期中、国内外から計370,824人が来場した。
商談の場ではあるものの、週末には入場を一般にも開放するため、デザイン好きの家族や学生など計36,122人が訪れ、新しい家具のデザインに見入る姿が見られた。それだけ、デザインは人々にとって身近な存在ということだろう。

そんなミラノから世界に発信したい、と日本の家具メーカーの出展も増えるなか、ここでは、日本の家具ブランド、Karimoku Case(カリモクケース)と、ナガノインテリアの出展について、ご紹介したい。

カリモク家具から誕生したKarimoku Case
Karimoku Caseは、愛知県知多郡東浦町に本社を構える1940年創業の日本有数の木工家具メーカーとして、テレビ台から、収納家具、机まで、幅広く製造し、戦後の日本の住空間を豊かにしてきたカリモク家具から誕生したブランドだ。2019年、家具単体として以上に、それぞれの室内空間にどのような家具があると心地よいかを念頭に、デンマークのデザインスタジオであるNorm Architects(ノーム・アーキテクツ)をデザインディレクターに、そして日本の建築家の芦沢啓治をデザイナーに起用し、新しいブランドとしてスタートした。
ミラノでは、会場ブース内をリビングルーム、ダイニング、キッチン、書斎など住空間ごとに壁で仕切り、暮らしのシーンの中の家具をイメージできるように展示していた。

Karimoku Caseの特徴は建築家の芦沢氏の言葉を借りると「室内の中で彫刻的な存在」と言えるだろう。ソファは丸みを帯びたボリューム感のあるクッションが特徴で、座ると身を預けたくなるほどクッションの硬さも絶妙だ。ベースの台にカリモク家具がタンスや収納棚の製造で培ってきた木工技術が生かされ、角に傷つきにくい工夫が施されている。

ローテーブルには、強度を保つために日本建築の建具を思わせる貫きを施し、意匠として見せるなど、建築家ならではの創意工夫がみられるのもKarimoku Caseの家具の特徴だ。ほかにも、ダイニングテーブルは四つ脚が平行するように立つのではなく、脚の断面の形状と取り付けの角度を検討し、室内の遠くからの見え方を考えて造形されている。

森林資源が豊かな日本には木工家具メーカーが多い。しかし、それらの多くが外国産の輸入材を使っているという現状がある。その中で、カリモク家具の特徴は、製品のほとんどが国産材でできているところにある。
林野庁の統計によると、日本は国土の約67%が森林で覆われている。「とりわけてオーク材、ケヤキ材といった広葉樹について言うと、建材、家具などの商品として使われるのは木材の5%ほどです」とカリモク家具の創業者一族で副社長の加藤洋氏はいう。残りは紙やバイオマス燃料として使われているのだそうだ。
「カリモク家具としては、通常は家具に使いづらい木材であっても、デザインと我々の持つ木工の技術によって、そうした木材に対する認識を変えて、木材の価値を高めていくことを目指しています。そうでないと日本の森林が放置され、荒廃していきます。また、林業に関わる人たちもいなくなってしまいます」と加藤氏は話す。
木は限りある自然資源だ。そして循環型の資源でもある。「人が手を加えることで、生態系が健全に循環していく仕組みを整えたい」と加藤氏は加える。
Karimoku Caseで使用する国産の樹種は、ケヤキ材とオーク材。ケヤキは古くから神社仏閣の建具や、日本の和室空間において馴染みのある素材として用いられてきた。しかし、昨今では和室も減り、生活様式の変化に伴い、ケヤキ材への需要が縮小し、有効に活用されているとは言い難い状況にある。この状況に対し、Karimoku Caseはケヤキの新たな活用方法を模索する中で、その木目や表情に注目し、家具づくりを進めている。
オーク材の家具に関しては国産材の割合は9割以上だという。残りの数%は、長さを必要とするテーブルトップなどに輸入材を使用している。これは日本の森林の現状において長尺・幅広のオーク材が取れなくなってきているという点から。世界中から家具の代理店やジャーナリストが訪れるミラノの家具見本市を通して、日本の木の家具が生まれる背景についても発信できたことを期待したい。













