標高の高いところへ行ってもなお、蒸し暑さに寝返りを打つ夏の夜。ならば北へと、北海道へ遠征してみても、本州と変わらない気温に驚く……。
近年の日本の夏は、キャンピングカー泊でもエアコンは「必須装備」になりました。市場には家庭用から車載専用まで、様々なエアコンが登場しています。
そんな中、今年1月末~2月に開催された「ジャパンキャンピングカーショー2026」で注目を集めた製品があります。
カスタムセレクト社のデモ車に搭載されていた「車載専用DCクーラーECOシステム」。ひっそりと地味な展示(?)とは裏腹に、非常に画期的なアプローチで注目を集めていました。

きっかけは、1人の「キャンピングカー乗り」の情熱
まず注目したいのは、そのメーカーです。
カーナビをはじめとするカーエレクトロニクスの雄、「アルパイン」(アルパインマーケティング株式会社/本社:東京都大田区)が、満を持して投入した同社初となるエアコン製品なのです。
さらに興味深いのは、その誕生のきっかけ。
実はアルパインの社員であり、自身も熱心なキャンピングカーユーザーである人が「自分が本当に使いたい、理想のエアコンを作りたい」と立ち上がったことからプロジェクトが始まったのだといいます。
開発者自身が車中泊の苦労を知り尽くしているからこそ、痒(かゆ)いところに手が届く。スペック上の数字だけでなく、実際の「使い勝手」や「安心感」に重きが置かれている理由が、ここにあります。

まず特徴的なのは、室内機の圧倒的なコンパクトさです。幅525mm×高さ290mm×奥行き160mmというスリムサイズで、限られた車内空間を圧迫しません。それでいて冷房能力は8~10畳用の家庭用エアコンに匹敵する2.6kW。バンコン(バンコンバージョン)はもちろん、キャブコン(キャブコンバージョン)に搭載しても十分すぎるパフォーマンスを発揮します。
吹き出し口は正面だけでなく左右にも設けられており、リモコン操作で切り替えが可能。これを活用すれば、日中は車内全体を効率よく冷やし、夜間はベッドルームだけ、あるいはペットスペースだけをピンポイントで冷やすなど、使い分けることができます。
また、インテリアに馴染(なじ)む高いデザイン性も魅力。
間接照明機能のほか、就寝時にはディスプレーのバックライトが消灯できる「スリープモード」など、細やかな配慮もキャンピングカーで寝たことのある人ならではのユーザー目線です。

車載用としての「タフさ」と大手ブランドの「信頼性」
室外機は床下への搭載を前提に開発されていて、非常にコンパクト(幅613mm×長さ372mm×高さ115mm)。
ちなみに、車の床下というのは非常に過酷な環境です。泥水や雨水はもちろん、冬場になれば凍結防止剤(塩分)を含んだ水を浴び、小石などの飛来物にもさらされます。
本製品は、水深1mに30分沈めても浸水しない防水性能「IPX7」をクリア。さらに塩水噴霧試験(JIS Z 2371)や、激しい飛び石を想定した試験(SAE J400)などの過酷なテストをパスしています。ここまで徹底して信頼性を突き詰めるあたりは、さすが日本を代表するモノづくりメーカーです。
万が一のトラブルの際も、全国をカバーするアルパインのサービスネットワークが対応してくれるので、旅するキャンピングカー乗りにとって、これ以上ない安心材料ではないでしょうか。

「冷やす」だけにとどまらない、電源まで一括管理
停泊時エアコンを導入する際、多くのオーナーを悩ませるのが「電源をどうするか」という問題です。リチウムイオン電池への換装やポータブル電源の追加など、昨今は選択肢も多く、それだけに悩ましいところです。
その視点で見ると、この製品が「ECOシステム」と名付けられている理由がわかります。エアコン単体ではなく、専用のポータブル電源と周辺機器がセットになった、電源問題のトータルソリューション「システム」として提供されているのです。
注)このエアコンは専用のポータブル電源以外では動きません。
使用するバッテリーは、安全性の高い「リン酸鉄リチウムイオン電池」を採用。容量は1408Whで、約10時間のエアコン駆動が可能です。インバーター能力は1500W、12V出力(10A)、各種USB出力も完備。さらに、万が一のバッテリー上がりに対応できる「12Vジャンプスターター機能」が備わっている点に、カーエレクトロニクスメーカーとしてのアイデンティティーを感じます。
さらに高効率な「走行充電器」や「充電セレクター」などの周辺機器も充実しており、これらがシームレスに連携できるようになっています。もちろん、エクストラバッテリーもラインアップされています。
さらに見逃せないのが、新車だけでなく、今乗っている愛車への「後付け(レトロフィット)」にも対応している点です。カスタムセレクトの佐久間均社長も「レトロフィットには積極的に取り組んでいきたい」と言います。このシステムを導入するだけでキャンピングカーの電源系統を一括してスマートにアップデートできるのですから、魅力的です。
注目の価格は基本システムで693,000円(税込み)。一瞬「高い!」と感じるかもしれませんが、室内機・室外機に加えて専用ポータブル電源がセット。走行充電器や、ハイエース専用の室内外機ブラケットなどのオプションに加え国内メーカーによる手厚いアフターサービスまでが「一気通貫で手に入る」と考えたら、どうでしょうか?
金額なりの価値は十分にある、むしろリーズナブルとも言えるのではないでしょうか。












