朝日新聞

日産の新型「キックス」 運転するたのしさ全開のコンパクトSUV

INTERESTS
2026.07.13

|

先代より全長で75mm延長され全幅で40mm拡張し全高で10mm高くなった

先代より全長で75mm延長され全幅で40mm拡張し全高で10mm高くなった

  • 小川フミオ
    モータージャーナリスト

    クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。 <p id="gallery"></p>

激戦の市場で期待を裏切らない出来のよさ

日産自動車が、2026年6月に発売した新型「キックス」。日産の逆襲がここから始まるのでは!と思わせてくれる、出来のよいコンパクトSUVだ。

私は、発表されたときから、躍動感のあるボディデザインに好感を抱いてきた。乗ってみると、期待はまったく裏切られなかった。使い勝手もよさそうだし、なにより、運転がたのしい。

すとんと裁ち落とされたような造形のリアがスポーティー
すとんと裁ち落とされたような造形のリアがスポーティー

第3世代になるキックス(日本では第2世代)は、全長4.3mそこそこの車体に、日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER(イーパワー)」搭載。今回、前輪駆動モデルと4WDが同時に発売された。

キックスが参入するのは「(軽を除いて)日本で最大」(日産)とされるコンパクトSUV市場。2025年度は52万台というから、たしかに大きい。

キックスの競合として、トヨタのヤリスクロスやホンダのヴェゼルの名が上がる。どちらも路上でよく見かける車種。つまり販売好調なのだ。

売れている市場をねらう、というのはビジネスの鉄則。もちろん、中途半端な商品では、既存の車種から返り討ちに遭いかねないが、キックスの戦闘力は高い。

操縦が思いのまま 心地よいバイブレーション

私が感心したのは、4WD車だ。「e-4ORCE(イーフォース)」と名付けられた全輪駆動方式が採用されている。

日産では、発進加速と、時速100kmからの再加速ともに「力強くなめらか」と強調する。

同時に、タイヤの駆動力を細かく制御できる構造上の利点とブレーキの細かい制御を実施。

写真の「X」グレードはファブリックシート装備
写真の「X」グレードはファブリックシート装備

たとえばカーブを曲がるとき、各輪の駆動力を細かく制御。ドライバーは思ったとおりのコースをとれる、とする。カーブから出ていくときは後輪が力強く車体を押し出してくれる。

じっさいに、クルマを操縦する快感みたいなものを、かんじさせてくれるクルマだ。

ぜんぶを文字で表現するのは無理なのだが、ひとことではバイブレーションというべきか。

e-4ORCEの4WDをドライブすると、加速感、操舵(そうだ)感、からだに伝わる振動、それらの感覚がじつによい。極端なたとえだと、好きな楽曲に出合ったときの喜びに似ている。

新設計のパワーユニットや運転支援システムでより快適に

ボンネット両端をふくませたりリアフェンダーを強調したりマッシブな印象
ボンネット両端をふくませたりリアフェンダーを強調したりマッシブな印象

カーブを曲がるときの気持ちよさとか、高速道路での安定性とかにみるべきものがあるキックス。

新設計でコンパクト化したパワーユニットとともに、剛性をあげたシャシーに帰するところが大きいようだ。

このパワーユニットには1.4リッターエンジンが含まれるが、発電特化型。ここが一般的なハイブリッドとは違う。バッテリー容量が不足しそうなときにのみ始動する。

以前のe-4ORCEではエンジンが始動すると、やかましい、とかんじるほどだったが、新型キックスではたいへん静か。

あえて強い加速をしてみたら、エンジンは始動したが、注意ぶかく耳を傾けないと、動いているのか、ほとんどわからないほど。で、音色はよい。

ドライブの印象でいうと、後輪も駆動に使う4WD車のほうが、前輪駆動車より、好ましかった。さきに触れたとおり、後輪も使う加速力のおかげだろう。

空間的余裕のある車内デザイン

「クラストップ」をうたう後席空間は広い
「クラストップ」をうたう後席空間は広い

「X」という中間グレードだったため、17インチ径ロードホイールに合わせたサイズのタイヤ装着。乗り心地もよい。

おなじタイミングで私が乗った前輪駆動車は、トップモデルの「G」グレードで、19インチ径の大径タイヤ。こちらは低速ではややゴツゴツ感がある。タイヤサイズの差は大きい。

使い勝手もよさそうだ。後席は空間的余裕がたっぷりある。頭まわりの空間も、前席シートとヒザの間隔も、きゅうくつさはない。全長4.3mのクルマとは思えないほどだ。

運転のたのしさを強調するとともに、「ファミリー向け」でもあるとうたわれるキックス。

日産の運転支援システム「プロパイロット」(全車標準装備)用のカメラは視野角が大きく広がるなど、機能が拡張しているのも特筆点だ。

大きなモニターが二つ配置されたディスプレイをもちつつエアコンなどの機能操作は別のスイッチで行う
大きなモニターが二つ配置されたディスプレイをもちつつエアコンなどの機能操作は別のスイッチで行う

日産は、前輪駆動車のベースモデルを299万円台で設定するという“がんばり”を見せているが、個人的には、4WDが欲しい。

4WDのベーシックモデル「X e-4ORCEシンプルパッケージ」は334万9500円。これはオプションがほぼ選べない仕様。

プロパイロットの拡張機能、アラウンドビューモニター、ナビゲーションシステム、リモートキー、AC電源ソケット、電動テールゲートなどがひとつずつ選べるのは「X e-4ORCE」(359万9200円)や、その上の「X+e-4ORCE」(389万9500円)。

トップにはレザーシートに19インチホイールの「G e-4ORCE」(424万8200円)がある。

前輪駆動は、「Xシンプルパッケージ」(299万9700円)にはじまり、「X」(325万9300円)、「X+」(354万9700円)、そして「G」(389万8400円)。 

【スペックス】
NISSAN KICKS X e-4ORCE
全長×全幅×全高:4365×1800×1610mm
ホイールベース:2655mm
車重:1550kg
1433cc3気筒ハイブリッド 全輪駆動
システム最高出力:72kW+105kW(Fモーター)+50kW(Rモーター)
システム最大トルク:115Nm+315Nm(Fモーター)+140Nm(Rモーター)
乗車定員:5名
燃費:21.5km@l(WLTC)
価格:359万9200円

写真:筆者

フォトギャラリー(クリックすると詳しくご覧いただけます)
REACTION
COMMENT
TAGS

BACK NUMBER
この連載をもっとみる

    FOR YOU
    あなたにおすすめの記事

    BEAUTY & HEALTH
    &AG

    年齢を味方にして「綺麗」より「素敵」へ〈2〉美白美容液で、肌にも「たった1カ所」からの興奮を AGフレンズ 松本千登世さん

    RECOMMEND
    おすすめの記事

    0
    利用規約

    &MEMBER(登録無料)としてログインすると
    コメントを書き込めるようになります。