秘湯として人気が高い「乳頭温泉郷」には、個性の異なる七つの宿があります。それぞれ独自に源泉を持ち、色も香りも感触も異なる温泉に出会える、湯めぐりも楽しい温泉郷です。
そのひとつ、山の薬湯として愛された「孫六温泉」が、後継者不在と高齢化によって2022年に休業。なんとか良い形で残したいと考えた乳頭温泉郷の六つの宿が存続の可能性を探り、資金を出し合い株主となって増資を行い共同経営体制をとりながら、新しい事業主を支援するプロジェクトが立ち上がりました。そして2025年4月に「六庵」としてリブランドオープンを迎えました。
秘湯の温泉集落の雰囲気は残しつつ、リゾート気分で滞在できる露天風呂付き離れもあり、これまでの乳頭温泉郷にはなかったタイプの宿を目指すそうで、いったいどんな風に生まれ変わったのかとても楽しみです。
■連載「楽しいひとり温泉」は、国内外の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する筆者が、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。
【動画】石の湯、露天風呂、バレルサウナと水風呂へと楽しみが続く
橋を渡って秘湯の温泉集落へ

川の向こうにぽつぽつと並ぶ木造の建物、秘境の温泉集落のような雰囲気が懐かしい。かつての孫六温泉を思い出させます。

手前の建物は、日帰り入浴の受付とカフェ。オリジナルブレンドコーヒー、自家製ジンジャーエールや秋田県産・藤五郎の梅ソーダなどの飲み物、スパイシーなキーマカレーが楽しめます。

その奥は「六庵」ののれんがかかった宿泊者専用のロビーラウンジがある建物で、ここでチェックインをします。隣はかやぶき屋根のかつての建物を生かしたカウンターの食事処です。昔の孫六温泉時代の雰囲気が残されていてほっこり。
大好きな癒やしの内湯「唐子の湯」

大好きだった男女別内湯「唐子の湯」。湯小屋の趣や手彫りの看板がそのまま残されていました。中の雰囲気は? お湯の感じは? どうなったのでしょうか。

癒やされるひなびた雰囲気を残しつつ、湯船の中も木の板がしつらえられて肌当たりが柔らか。唐子の湯の源泉は健在で、ほんのりとした硫黄の香りとふんわり包まれる優しい感触にうっとり。泉質は単純硫黄泉でpH6.6の中性。源泉温度が高いので日によって加水しつつの源泉かけ流し。あー、再びこの温泉に浸れて本当によかった。なくならないでくれてありがとうと、思わず感謝しました。
石の湯からの混浴ゾーンは大変貌(へんぼう)

「石の湯」の湯小屋も手彫り看板は健在。入り口と脱衣場は男女別で、老若男女全員が専用の湯あみ着を着用します。

石の湯は昔のまま。以前の混浴エリアは少しハードルが高いと感じる人もいましたが、六庵になってからは全員が湯あみ着なので落ち着いて入れます。巨大な岩の横から源泉が流れ込んでいます。こちらの泉質は単純温泉でpH7.1の中性でやや熱め。青っぽい薄濁りで、入ると湯の花がふわふわと舞い上がります。野外には唐子の湯と同じ源泉の露天風呂もあり、こちらの方がややぬるめです。

川沿いにバレル(樽型)サウナと水風呂が新設されました。個人的には温泉に入る方が優先で、サウナは入らなくてもいいかな、くらいの気持ちだったのですが、このバレルサウナは、中が広めで川の絶景が眺められて楽しい。前室にも座れる場所があって、そんなに熱くなくて心地よく、奥まで突入すればセルフロウリュもできて、ぐぐっと発汗します。

熱々にあたたまったら水風呂へどぼん。湯船からの景色が最高で、これはクセになりそう。露天風呂でぼんやりしたり、チェアで休んだりして、気が付けばけっこうな時間を過ごしていました。












