20年越しのプロジェクトが実り2026年6月7日に開業した「界 草津」は、敷地およそ34,000坪の森に新築され、空間設計はこんな草津温泉もあったのかと感じさせるダイナミックさがあります。そして、2泊連泊で滞在している人が多くみられます。なぜなのか、理由を探りたいという気持ちと、2泊目以降は1泊目の約半額になることにも後押しされて、連泊してみることにしました。
【動画】内湯も露天風呂も森を眺めて入る癒やしの空間
■ 連載「楽しいひとり温泉」は、国内外の温泉をめぐり、温泉・自然・食で美しくなる旅を研究する筆者が、テーマごとにひとり温泉にぴったりなお宿を紹介します。
ワクワクする空間設計

エントランスは草津白根山側から暖簾(のれん)をくぐり長い通路を進みます。ふりかえると山々のダイナミックな風景が迫ってくるようで、空間の切り取り方が絶妙です。

斜面を利用して建てられた宿は5階建てですが、エントランス側からは3階層しか見えず、開口部の空中庭園を先まで進むと森とパブリック棟が見えてきます。3軒並んだ建物は、手前が「ご当地楽(ごとうちがく)」というこの宿ならではの無料アクティビティー専用の館、中央が暖炉を囲むパブリックラウンジ、奥に男女別大浴場がある温泉湯小屋です。
避暑地でリゾートステイ

客室は寝室とリビングがワンルームになっているスタンダード和室と、露天風呂付きのツイン和室があり、こちらは露天風呂付きの部屋のリビングルーム。どちらも書斎テーブルと椅子があって、パソコンを開いたり本を読んだりできて便利です。

宿泊する建物は標高約1234m、夏は下界より7℃ほど低いという避暑地です。テラスには露天風呂と景色を眺めて過ごせる椅子があってリゾート気分。客室の露天風呂は温泉ではないのですが、絶景を眺めて入る湯は幸せです。そして実はこれが意外にもありがたいということを滞在してみて感じました。理由はこの後の温泉のところで語ります。
草津の湯を「ぬる湯」で入り比べ
いそいそと湯小屋へ向かいます。草津温泉といえば、酸性の強い温泉で熱い湯が多いというイメージを抱いている方も多いかもしれません。この大浴場の内湯では、湯船の温度を調整して38℃ほどの「ぬる湯」と41℃ほどの「あつ湯」になっています。大きい湯船は万代鉱源泉かけ流しのあつ湯、そして小さい二つの湯船はぬる湯で、二つの源泉の入り比べができるのです。
万代鉱源泉はpH1.7の酸性-水素-硫酸塩・塩化物温泉で、強い酸性の温泉で、きりりとした刺激があり、血の巡りがよくなって肌や体の活性をサポートします。西(さい)の河原源泉はpH2.0の酸性-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉で、同じく殺菌・活性の泉質ですが、万代鉱源泉に比べると、少し優しく、やわらかく感じます。

外に出れば森に囲まれた露天風呂。ひんやりとした空気と、野鳥の声を楽しみながら森林浴気分で温泉に浸ります。まずは、ぬる湯で体を慣らし、次に露天風呂でのんびり自然を楽しみ、最後にあつ湯で仕上げというわけですが、西の河原源泉のぬる湯があまりにも気持ちよくてまた戻ってしまいました。調子にのって入っていると少し肌がぴりぴり。部屋の露天風呂のさら湯が肌の癒やし湯となってちょうどよかったのです。
暖炉ラウンジで湯あがり時間を満喫

大空間のパブリックラウンジは無料でいつでも利用できます。暖炉ラウンジではフリードリンクのコーヒーやアイスキャンディーをいただいて湯あがりの休息を楽しみます。

ライブラリーには、民藝やデザインの本が多くて楽しい。大好きな柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう)先生の旅本をみつけて窓辺の静かな読書スペースで没頭。2泊すると心の余裕もできるようです。
上州の食文化を楽しむ会席料理

1泊目の夕食は宿の食事処で、上州山奥の滋味をテーマにした「上州豊伝会席」をいただきます。先付けは「草津節」の唄が聞こえてきそうな湯もみ見立て。地元名産の花豆を使ったみそとイノシシのリエットを湯もみ板で混ぜてパテのようにして味わいます。

八寸、お造り、酢の物がのった宝楽盛り。群馬を代表する郷土かるた「上毛(じょうもう)かるた」をあしらった箱は、「か」「い」「く」「さ」「つ」の五つの札。真ん中の「く」が草津温泉で、「草津(くさづ)よいとこ薬の温泉(いでゆ)」の絵札です。お造りは、タイ、カンパチの隣に群馬名物さしみこんにゃく。

台の物は「上州常夜鍋」。さっぱりとしただしに鶏モモ肉がごろり、豚肉、きのこ、野菜などを入れてはふはふと味わいます。仕上げは水沢うどん。つるつると最後までおいしく味わい尽くします。












