
手まりをかがる荒木さん。「針を刺す時の、もみ殻のサクッという音が心地良いんです」
「にほい手まり」など今風に表現した手まり
もみ殻を薄い紙で包み、細い木綿糸を不規則にグルグルと巻き付け、まん丸にする。そこに草木で染めた柔らかな色合いの糸を一針一針かがり、菊や桜など、思い思いの文様を浮かび上がらせていく。
千年の歴史がある糸手まりは、江戸時代に玩具として庶民に広がり、人の手から手へと受け継がれてきた針仕事。香川県指定の伝統工芸品「讃岐かがり手まり」を作る高松市の「讃岐かがり手まり保存会」は、消えかけた技法を今に伝え、生活に身近な手まりを生み出している。
塩、砂糖と並ぶ「讃岐三白」の一つ、木綿の産地だったこの地は、手まり作りも盛んだったが、ゴム製品の登場で戦後は断絶寸前に。民芸運動をしていた荒木計雄・八重子夫妻が30年かけて再現した。保存会は、義理の娘で彫金デザインを学んだ県伝統工芸士の永子さん(54)が引き継ぐ。
100種以上の色の木綿糸は、アカネやビワの葉など季節の草木で染める。手の感覚だけを頼りに球にした土台に、地球儀の経緯線のような線をかがる。正確に区切った線を案内に、規則的に針を運ぶことで幾何学模様が描かれる。荒木さんが義母から習った基本の柄は20ほど。今は創作を含め100種を超える。「伝統の柄も女性たちの創意工夫の積み重ねの成果。歴史の重みを感じます」
防虫香から発想を得て07年に商品化した「にほひ手まり」は、もみ殻に香を混ぜ、香りを楽しむ。藍やカリヤスで染めた土台は、あえてかがらない。嫁入り菓子「おいり」を思わせる手まりは、結婚式の引き出物としても人気だ。「伝統技で表現は今風に。千年続いた糸を切らずに次につなぐ方法だと思っています」
(帯金真弓)











