フラワーアーティストの東信さんが、読者のみなさまと大切な誰かの「物語」を花束で表現する連載です。あなたの「物語」も、世界でひとつだけの花束にしませんか? エピソードのご応募はこちら。
〈依頼人プロフィール〉
岡崎尚美さん(仮名) 45歳
会社員
福岡県在住
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中学生で母親を亡くし、まだ2歳だった私の母を、父親(私の祖父)や他のきょうだいたちと一緒に育ててくれた伯母。きょうだいたちが大人になって家を出てからも、祖父と同居して、働きながら介護と家事をひとりで引き受けるなど苦労していたと聞きました。
そうして生涯に渡って一家を支えてきた伯母は5人兄弟の真ん中で辛抱強く、さっぱりした性格。誰からも好かれる伯母は、私の母にとってはお母さん代わり、私にとっても伯母さんというより、おばあちゃんといった頼もしい存在でした。
かっこよくて、インテリアや料理など、選ぶものは何でも品があるいいものばかり。毎日主にビールで晩酌をたしなみ、食べることも大好きな豪快な伯母でした。人付き合いを何より大切にして、今日は旅行、明日は食事、明後日はカラオケなど、祖父を見送ったあとは毎日楽しそうに飛び回っていたものです。
実は姪(めい)の私もUターンで故郷の九州に戻ったのをきっかけに、ほどなくして伯母と2人暮らしを始めました。伯母も私を孫のようにかわいがってくれて、私を褒めるときにいつも引き合いに出すのは保育園の運動会でのエピソードです。徒競走でスタートの合図が鳴ったとき、私は自分が走り出す前に、隣の男の子に「がんばれ」と声をかけてそのお尻を押したのだとか。そんな世話好きなところだけは、伯母から受け継いだと自負しています。
その伯母が、まだ私と2人で同居していた3年前、自宅で転倒してしまったのです。以来ずっと病院に入っては介護施設に転居、また病院に戻って……という生活を繰り返しています。
「普通が一番」が口癖の伯母は、物事に執着しない性格。今もしっかりしていて、いつまでも執着せずに妙に諦めがいいのも若いときと変わりません。毎週お見舞いに行っている母が最近、なぜリハビリをやめてしまったのか聞いたときも、いいのか悪いのか、「もういいっちゃ(もういいのよ)」とサバサバと答えたそうです。
大好きだった食べることもままらず、今では胃ろうをつけています。また眼も衰えてきているため、お花で嗅覚を刺激して、わずかに認識できる視力で、施設での生活にも活力を与えてほしいです。87歳になった彼女の力になるような凜(りん)としたお花で、私と母からの感謝の気持ちに代えていただけるとうれしいです。

花束をつくった東さんのコメント
おばあちゃんのような存在だったパワフルな伯母様が、病院と施設を行き来していらっしゃるとのこと。ご心配ですね。お花で伯母様の元気を取り戻したいとおっしゃる投稿者様の願いがかなうようにと、嗅覚をやさしく刺激するような香りがするお花を選びました。ピンクの薔薇など、目の覚めるようなカラフルなお花も加えています。ご家族の心の支えだった伯母様。お花のくれる生命力で、かつての元気を少しでも取り戻してくれるとうれしいです。




文:福光恵
写真:椎木俊介
フォトギャラリー(写真をクリックすると、詳しくご覧いただけます)
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