ラグビーの名選手として活躍し、現役引退後は監督として、チームに数々の栄冠をもたらした、ラグビートップリーグ・ヤマハ発動機ジュビロ監督の清宮克幸さん。一方で、プロ野球・北海道日本ハムファイターズに入団する清宮幸太郎選手の父としても知られる。アスリートの先輩であり、父として語った、プロの世界へ旅立っていく息子へのメッセージ。

ヤマハ発動機ジュビロ監督の清宮克幸さん
結果を求めるアプローチはプロもアマも同じ
スポーツで結果を出すにあたっては、プロもアマチュアもありません。求めるモノに対するアプローチが、プロだからこうだとかアマチュアだからこれでいいとかはない。基本的には同じスタンスです。違うのは、アマチュアは結果が出ようが出まいが、永遠にそのスポーツができるということ。プロは結果が出なければ、その大好きなスポーツをやめなきゃいけない。やることができなくなる。そこくらいだなと思っています。
プロ野球選手・清宮幸太郎に期待すること
当然、1年目から、ラグビーで言えば1軍のジャージ、つまり1軍の試合に出ることが目標であり、そこで結果を出すということ。そこにいくまでには、自分ができること、できないことを見分けていく期間が2、3カ月ある。この1月からおそらく寮に入って練習していくわけですから、最初の3カ月はすごく大事になる。これからは見守るしかないですね。そういう点からいっても、北海道日本ハムファイターズに決まってよかったな、と思う。
強みを伸ばす指導を
日本ハムファイターズというチームは、選手の個性を生かすためにはどうしたらいいのかと考えていると感じています。すごく幸太郎に向いたチームだなと。例えば、できないことは時間かければできるかもしれないが、それでは1年目から誰もが驚くような活躍というのはできないと思いますね。でも、強みを伸ばす指導者と出会えば、あっと驚くような結果を残すかもしれない。
自分もチームの指導をそうしてきた、まさにそのまんまです。いいところを使う。栗山監督の性格もよく知っているので、きっとそうだろうと思います。
最初が肝心、いい関係を築ける人との出会いが重要
プロ野球の世界に飛び込むと、最初の半年くらいの生活はもちろん、出会う人が大事と言われています。息子には、「最初が肝心なんだぞ」と伝えたい。どういう人に出会うのが大事かは息子も理解していると思う。ただ、今は親が取捨選択していますが、未成年のうちは相談してほしいですね。
プロの世界では、今までより視点や観点は大きくなるが、実際に目の前で起こっていることは何ら変わらない。高校生だろうが、プロだろうが、そこにいる一対一の、監督との、コーチとの関係は変わらないんだということ。これは、時間があれば本人にしっかり伝えようと思っています。
つまり、起きている現象としては一対一があるだけなんです。人と人のコミュニケーション、結果を求めていく過程、努力。いかに、その一対一のいい関係の人とこれから出会えるかが重要で、今までは親がそれを担っていた。自宅で僕と一対一でいろんなことを話せていた。でも、そういう人間がいなくなって今度は誰がその一対一の関係になるのかな、ということですね。
誰からも愛されるキャラは天性のモノ
息子は僕と違って、誰からも愛されるタイプなんですよね。僕は昔から敵が多い(笑)。だから、先にいろんなことを口にしてぐいぐい行くタイプなんですが、息子はそうでない、ある意味僕より大人。そういうバランス感覚がありますね。自分が打てなくても、声を出してキャプテンの仕事をするとか。私の場合、声を出すのはうるせえヤツだっていう選手だった。「声を出すまえに自分のことをやれよ」っていうタイプでね。それで自分がキャプテンになって声を出したら、先輩たちが、「あの清宮が」って驚いていたくらい。僕は、「頑張っていきましょう」っていうおまえが頑張れよって思ってましたから。
彼は人格者、しっかりしている。ただ、逆にそういうことを口にさせようとする大人のリードに気をつけてほしいですね。
誰からも尊敬されて愛される、そのキャラは実は僕は彼の天性のものと感じている。普通はノックでエラーなんかしたら、どんどんノックが激しくなりそうなものだけど、息子にノックしている人たちの目はちょっと違うというか、優しくなるような気がするんですよ。それはもう本人がもっている人格なんでしょう。天真らんまん。一緒にいる人間を幸せにしていく男だと思う。
活躍がプロ野球と子どもたちをつなぐ
知り合いのスポーツメーカーの人から話を聞いたんですが、その息子さんが野球をやっているんです。当然、息子さんが使っているのはそのメーカーのバット。でも、ある日気付くと、そのメーカーのマークが塗りつぶされて、手書きで幸太郎の使っているバットのマークが書いてある。息子のまねをしてバットを振っていたそうです。ほんとにピュアな気持ちで、自然に物まねをしているんですね。活躍をするということは、僕はそういうことだと思うんですよ。
幸太郎が活躍することで、子どもたちがあこがれ、球場に足を運びたくなる、自分もああいうふうに打ちたくなる、努力をする……今ね、子どもたちとプロ野球の距離が出ちゃったのかもしれない。で、高校生の幸太郎ってその距離を縮める存在だったのかもしれないと思うんです。それにああいうキャラした顔でしょ、だから子どもにはものすごく人気があるようですね。あとお母様方にもすごく応援を頂いていると僕は感じています。ただ、黄色い声はあんまりない(笑)。
影響を与えようと意識をしたからといって、誰かに影響を与えられるわけではないわけですから、それは持って生まれたキャラクターで、スター性っていうか、このまま同じように続けていけば、多くの子どもたちに影響を与えて、野球というスポーツへの影響も与え続けられると思っているんです。
自然にそうなると思うんですよ。自分が野球というスポーツで大きくなり、成長させてもらった。だから、自分より5歳、10歳年下の子どもたちも自分と同じ環境にあるべきだ、と思うわけです。土曜、日曜に一生懸命、野球をやって、それぞれの世代でいろんな舞台に立たせてもらって、いい仲間と勝った負けたと、そんないい経験をさせてもらってきた。それはサポートしてくれた大人たちがいたからこそでもあるわけです。だから、そうした少年たちを応援しよう、野球に恩返ししようというのは当たり前のこと。
きっといろんなことをすると思いますよ。











