日本でいま一番売れているキャンピングカーはバンコンです。国産バンコンはトヨタ・ハイエースやタウンエース、日産・NV350やNV200といった、おなじみのワンボックスバンに架装を施したものです。実は現在、ヨーロッパでもバンコンの人気が急上昇中なのです。
(トップ写真:Adria Mobil)
ベース車両そのままの使いやすさ、価格もリーズナブル
バンコンとは、バン・コンバージョン。つまり、商用や貨物輸送に使われるバンやワンボックスカーの車内空間に、居室を架装したもののことをいいます。具体的には、断熱処理を施したり、家具や水回りの装備を設置するなどして、キャンピングカーとして改造することをいいます。
車両サイズは元のベース車両そのままですし、元々が配達や仕事の足として使われている車なので、取り回しがしやすく、なんといってもタフです。バンコンにはこのように、丈夫で使いやすいという特徴に加えて、ボディーを新造することがない分、加工にまつわるコストも安価であること、結果的に価格がリーズナブルである、という魅力もあります。
上記のような実情は、実はヨーロッパでも同様です。日本同様、バンコンのほかにもキャブコン、フルコン(ヨーロッパではインテグレート)、もちろんトレーラーもありますが、数年前からバンコンの人気が上昇。世界最大級のキャンピングカーショーである「キャラバンサロン」(ドイツ・デュッセルドルフにて毎年開催)でも、各社のバンコンだけを集めた展示ホールが作られるほど注目されています。

ベース車も多彩なヨーロッパ製バンコン。ポップアップルーフ付きなど、ボディーバリエーションが豊富なところも国産バンコンと同じだ(Photo:Hymer)
サイズは日本産並みにコンパクト、高い走行性能
ヨーロッパ製バンコンのベース車には、フィアット・デュカト、メルセデスベンツ・スプリンター、フォルクスワーゲン・クラフターなどが使われています。
なかでもフィアット・デュカトのシェアが圧倒的。ボディー幅こそ1種類しかありませんが、車長、車高ともにバリエーションが豊富に用意されています。そもそもデュカトの駆動方式はFF(前輪駆動)なので、駆動機構をリアに置く必要がなく、車長は自由に設定できるのです。
さて、デュカトベースのバンコンは日本にも数々輸入されています。おなじみのハイマーやデスレフ、アドリアといったビルダーがさまざまな商品を発表しているのです。

よく工夫されたレイアウト、充実したキッチン。日本よりもバカンスが長い欧米では、生活空間がいかに快適であるかが重要なポイントなのだ(Photo:Hymer)
ヨーロッパ製キャブコンの特徴は、日本の国産キャブコン並みのサイズで装備が充実していること、そして、国産車ベースの商品よりも走行性能が高いことです。
例えば、東和モータース販売が扱っているサンライト・CLIFF540XVという車両を例にとってご説明しましょう。
まず、車両サイズを比較します。
1.サンライト・CLIFF540XV
車長5.41m、車幅2.05m、車高2.65m
2.ヴォーン(東和モータース販売が生産・販売する、トヨタ・カムロードベースのキャブコン)
車長5.19m、車幅2.1m、車高2.86m
3.ハイエース・スーパーロング(バンコンのベース車両として人気)
車長5.38m、車幅1.88m、車高2.285m
どうでしょう。似たようなサイズだということが、おわかりいただけるでしょう。大人が楽に立てるだけの室内高があり、キッチンやトイレなどもフル装備。しかもヨーロッパで鍛えられた走行性能で、日本でも注目されている、というわけです。
ヨーロッパ製バンコンの弱点は?
1.就寝定員が意外に少ない
ファミリーユースを考えたら、就寝定員4人は欲しいところですが、ヨーロッパ仕様ではそれに対応したミニマムモデルはありません。上記のサイズで紹介したモデルよりもさらに長い、車長6mクラスでないと、4人就寝はできないのです。6mものサイズになると、旅先の停車・駐車場所などで気を使うこともあるかもしれませんね。
2.外車は壊れやすい?
外車というと「壊れる」、あるいは「壊れた際に困る」というイメージをお持ちの人もいるでしょう。確かに、全国津々浦々にサービス拠点のある国産車と比べると、不安を感じることもあろうかと思います。が、日本RV協会会員の販売する車両なら、全国の会員企業が連携しているので、修理・メンテナンスの問題はありません。
この対応については国産キャンピングカーも同様で、仮に関東地方や関西地方にお住まいの人が北海道や九州のビルダーの商品を購入しても、お住まいの近くの協会会員ビルダーのフォローを受けることができるのです。壊れやすい・壊れたとき困る、という懸念はさほどの弱点にはならないと考えます。
3.走行性能が良すぎて……
これを弱点と言っていいかどうか判断に困りますが、走行性能の良さが裏目に出ることはあるようです。
いずれの車両も、ヨーロッパの高速道路で鍛えられたベース車両なので、高速走行時の加速性、安定性ともに抜群です。ヨーロッパの高速道路といえばドイツのアウトバーンが有名ですが、実際、国境を超えて通勤する人も珍しくない欧州では、乗用車も商用車もキャンピングカーも、機動性ともに日本国産車より優秀な車両が多いのは事実です。
しかし、日本とヨーロッパでは道路事情が違います。都市部の市街地走行なら大差ないかもしれませんが、郊外や高速道路の走行状況は、日本より全般的にスピードが高めです。それに対応するだけのパワーのある車両ですから、国産車を運転するのと同じ感覚でアクセルを踏むと、気が付いたら予想以上にスピードが出ていた!ということにもなりかねません。
性能が良いに越したことはないのですが、くれぐれも安全運転で。自車の性能と特徴を理解した運転を心掛けたいものです。
国産キャブコンの走行性能に不満があったため、ヨーロッパ製バンコンに乗り換えたユーザーさんを何人か知っています。彼らは口をそろえて「食わず嫌いで外車を避けてきたけれど、すごく損してました(笑)」と言います。

トイレもしっかりしたものを装備。アメリカほど広大な国土ではないにせよ、日常生活を旅に持ち出すうえで、QOL(Quality of Life)を大切に考えるのがヨーロッパ流といえよう(Photo:Hobby)
車両の乗り味、走行性はもちろん、居室の使い勝手など、誰にでもぴったりとまでは言いませんが、もし外車というだけで選択肢から外しているとしたら、もったいないかも。ショー会場などで、一度チェックしてみることをお勧めします。












