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「おかあさんコーラス」の半世紀音楽家・辻󠄀秀幸さんが語る魅力

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「おかあさんコーラスが、社会や日本文化の中心になってほしい」。45年にわたり女声合唱団を指導し、全日本おかあさんコーラス大会を見てきた合唱指揮者・声楽家の辻󠄀秀幸さん(全日本合唱連盟理事)は語ります。世界各国で演奏歴がある辻󠄀さんにとっても、おかあさんコーラスの持つ魅力やパワーは特別なもの。「おかあさんの合唱文化がここまで発達しているのは、世界を見ても日本だけなんです。日本のおかあさんコーラスがきっかけとなり、今では色々な地域で成人女性のコーラス活動が芽を出してきています」。辻󠄀さんのお話を交えながら、大会の歩みと魅力を紹介します。

全日本おかあさんコーラス大会の始まりは、1967年に開かれた「おかあさんコーラス全国大会」です。当時の全日本合唱連盟理事長の石井歓氏が、大会の成功を見て「おかあさん方に芸術を知っていただくことが、健康な家庭を作るために必要だ」と確信し、正式開催される運びになりました。第1回は1978年。「全日本ママさんコーラス全国大会」として東京・虎ノ門ホールで開かれ、第3回から現在と同じ「おかあさんコーラス」に改称。現在は母親だけに限定されない、合唱を楽しみ、愛する全ての女性のための大会になっています。

辻󠄀さんによると、大会が始まった1970年代は、日本の作曲家たちが女声合唱曲を多く手掛けた時代でもあります。日本語の女声合唱曲が増えたことで、女性のコーラス人口も増加していきます。女性たちの「自分を解放したい」「仲間と歌を楽しみたい」という思いが、おかあさんコーラスをここまで大きくしたと言えそうです。

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大会では8分間の演奏時間内であれば何曲歌ってもよく、課題曲もありません。衣装も様々でロングドレスや和服、曲に合わせた外国の民族衣装をまとうグループもあります。辻󠄀さんは力説します。「順位を競い合うようなコンクールじゃないからこそ、皆と意見を交わしながら団体や時代に合った曲を選び、歌声・衣装・演出で曲の世界を表現するんです。女声合唱は、本当にきれい。合唱を通し、地域や年齢を超えた交流ができるなんて、こんなに尊いことはありません」

参加者が2万3千人を超えた年もあるほど成長した本大会ですが、2020年と2021年には、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止を余儀なくされました。しかし、おかあさんたちの歌心を絶やさぬようにと、2020年は「バーチャルおかあさんコーラス」を実施。「きみ歌えよ」(作詩・谷川俊太郎 作曲・信長貴富)の楽譜を希望者に無料で提供し、それぞれが歌った動画を一つにまとめ、合唱動画に仕立てて公開しました。2021年は支部大会までは開催できたものの、全国大会が中止に。出場予定団体の演奏動画を集めて「おかあさんコーラス・オンラインフェスティバル」を開催しました。

第1回大会の開催からまもなく半世紀。これからも、合唱を楽しみ、交流するという大会の理念は不変です。辻󠄀さんは言います。「おかあさんコーラスをより発展させていくためにも、指導者として、良い指揮者を育て、皆様が参加しやすい場を作っていきたいです」

つじ・ひでゆき
東京藝術大学声楽科、同大学院独唱科前期修士課程修了。1986年イタリアのノバラ市国際声楽コンクール入賞。オペラは古典から現代まで数多くの作品に出演。多くのアマチュア合唱団の指導にも携わる。全日本合唱連盟理事・東京支部長、日本合唱指揮者協会副理事長。

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