世界共通の概念として広まりつつある日本語、「もったいない」。循環型社会を目指すキーワードとして注目されているが、「家づくり」においてはその精神が十分に発揮されていないようだ。
日本の住宅が建てられてから壊されるまでの期間は、平均で約38年。一方で、アメリカの住宅は約56年、イギリスは約79年だという。その差を知った子どもたちから、驚きの声が上がる。「びっくりするよね。イギリスで1軒の家を使う間に、日本では2軒建てている計算です。つまり、壊す時のゴミが2倍出ていることになりますし、二酸化炭素もたくさん出してしまいます」
1軒の家を建て替える時に出る二酸化炭素の量は、およそ3万5000kg。これは100人が一年間生活して排出する量に相当する。「だから、建てた家を長く使うことは、それだけで地球にやさしい暮らしをしていることになるんですよ」
旭化成ホームズのヘーベルハウスは、省エネと創エネによるゼロエネルギー型住宅の開発や、高性能な断熱材の導入といったエコな工夫を数多く取り入れている。人が住む時の快適さはもちろん、建てる時から役目を終える時までのあらゆる段階で環境に配慮しているのが特徴だ。
また、住む人に対しては、手入れをしながら長年大切に住み継ぐ欧米型の住まいかたを提案。丈夫なロングライフ住宅を建てるとともに、60年におよぶ無償点検を実施しているという。
「人間が健康診断を受けるのと同じで、家もきちんとメンテナンスをすれば長く住むことができます。日本の家づくりに『もったいない』が生かされていないのは、考えかたの違いが大きいんです。欧米ではすでに建てられた家を購入して、自分らしく住みやすいようにリフォームすることが一般的です。こういう価値観を伝えながら、みんなで環境をよくしたいと考えています」。実際にリフォームをして住み継いでいる人の声も動画で紹介された。
ヘーベルハウスは、近隣住民のつながりづくりにも注力している。特に賃貸住宅などには、子育てやペット共生などをテーマに、日頃から自然に交流を生み出す場所や仕掛けがある。
その理由として明かされたのが、阪神・淡路大震災の際のデータだ。「救助された人が誰に助けられたかを調べたところ、8割近くが家族や近隣住民でした」
先生は、防災の心得についても解説。「自分で自分の身を守ることが『自助』、家族や近隣住民との助け合いは『共助』です。警察や消防などの『公助』もありますが、大規模災害ではすぐに駆けつけられないこともあるでしょう。命を守るうえでは、いざという時の『共助』がとても大切です。普段から仲良く助け合える関係を築いておきたいですね」
授業の終盤は、「地球のためになる理想の家と街」を考えるグループワーク。この日の学びで気づきを得た子どもたちから、斬新なアイデアが次々に飛び出す。「どの意見も正解です。誰かの意見を聞いたら、一緒にそのアイデアを深めてみましょう。理想の家も街も、答えは一つではありません」と先生。
国内で様々な災害が発生するなか、暮らしの基盤である家を通じて、環境と命を守ることの大切さを深く考える授業となった。
今日の授業では、住宅を壊す際に出る二酸化炭素の量といった、日頃はなかなか知り得ない情報に触れることができて、子どもたちはイキイキしていました。自分の未来だけではなく「次に手渡す」という視点を獲得できたのではないかと思います。
環境の授業と住宅を結びつけて考えたことがなく、教員も含めて大変学びの多い授業でした。この学年が本格的に環境学習を始めるのは来年度からですが、その土台をつくることができました。今日の気づきをもとに、小さなことから行動を起こしてくれるだろうと期待しています。
授業では「ヘーベルハウス」の古い家をリノベーションして、新築のように最新の設備を備えて引き継いだ家族のインタビューを紹介。旭化成ホームズではこうした長持ちする家で地球環境に貢献する取り組み「LONGLIFE」を進めている。
朝日賢一さん