日本人の平均寿命が過去最高齢を更新し続け、元気な状態を保つ「健康寿命」への意識はますます高まっています。そのような社会背景を受け、保険も従来の機能に加えて「健康を応援する」かたちが登場するなど、新しい動きが出ています。特集「これからの健康課題と向き合う 人生100年時代」では全3回のシリーズで、“予防”と“備え”の観点から、自分と家族の健康を考えるために必要な情報に迫ります。第2回は『認知症』をテーマに、筑波大学名誉教授で、メモリークリニックお茶の水の院長を務める朝田隆先生にお話を伺います。


病気と予防の
最前線
誰もがなり得る認知症について知り
軽度認知障害の段階で予防に取り組む
東京医科歯科大学 客員教授/筑波大学 名誉教授
医療法人社団 創知会 理事長/メモリークリニックお茶の水 院長

朝田隆さん

5年後には約730万人
身近に迫る認知症問題

認知症は、「がんよりもなりたくない病気」として恐れられています。さまざまな原因で脳の細胞が機能しなくなり、今までできていた判断ができなくなったり記憶が失われたりすること、進行性であることが知られているからです。しかも、主に加齢にともなう病気であり、遺伝によるケースはまれであることから、誰にでも起こり得ます。2012年の調査では、全国の認知症の推定有病者数は462万人で有病率15%でした。この有病率が上昇した場合、25年には730万人、30年には830万人になると推計されています(図)。

認知症の代表的なものとしては、記憶障害から始まることが多いアルツハイマー型認知症、脳こうそくや脳動脈硬化などを原因とする脳血管性認知症、幻視や筋肉のこわばりをともなうレビー小体型認知症、性格の変化と社交性の欠如が現れやすい前頭側頭型認知症があります。それらの脳の病変から、記憶障害、理解・判断力の低下、失語・失認・失行といった、「中核症状」が現れます。さらに環境や個人の性格が関わって「周辺症状」が二次的に起こり、妄想や睡眠障害、うつ、興奮、過食、不安、外出中に道に迷うなどの症状が見られるようになります。病気の原因とその人の特質によって、個別の治療が必要です。

認知症になってもできることを生かして

理解力、判断力が低下すると、仕事や家事の段取りをつけることが苦手になり、何事も空回りすると感じられ、不安や落ち込み、イライラも起こるでしょう。しかし認知症と診断されたからといって、すべての思考がすぐに失われるわけではなく、初期は生活行為についての学習能力もあります。周囲のサポートがあれば、本人のできることを生かしながら生活することができます。経済的な面では、介護保険や傷病手当、障害年金など公的な助成もあります。

しかし、治療費や介護費がかかるほかに、若年性認知症など働き盛りの人が就労不能になる場合もあり、家族の方には収入の減少が重くのしかかってきます。介護する側も介護休業制度を利用したり、家族会・患者会に参加したり、少しでも負担を軽くするような情報収集が必要でしょう。

MCIの診断を受けても健康な状態に戻れる

近年まで、認知症は早期発見しても進行を止めることはできないとされていましたが、1995年にアメリカのピーターセン医師らがMCI(軽度認知障害)という概念を提唱しました。MCIは健常者と認知症の中間の状態を指し、「忘れっぽいなどなんらかの支障はあるが、日常生活は自立している」状態です。MCIと診断された人の約半数が、4年で認知症を発症するといわれています。そして、26%の人は、適切な予防対策によって、健常者に回復することもわかってきています。MCIのうちなら、健康に戻れる可能性があるのです。

適切な予防対策とは、運動習慣をつけ、知的好奇心を刺激することです。私のクリニックでは、一度に2つ以上の課題に取り組む、筋肉に意識を集中する筋トレ、手元を見ず対象物だけを見て描くスケッチなど、脳からの指令を刺激するトレーニングを実践しています。また、食生活は野菜や魚介類を豊富に取り、喫煙やアルコールの多飲は避けるといいでしょう。トレーニングや毎日の生活改善が効果を上げると、集中力と段取り、要領の良さも回復してきます。

しかし、MCIと明らかに診断できる場合でも、本人には自覚がないことがほとんどです。自分が認知症の予備軍とは認めたくないのは普通の心情でしょう。真正面から「MCIから回復するためにがんばりましょう」と言っても拒絶されますから、まずは認知症の危険因子を減らしていき、〝外堀を埋める〟ことをおすすめします。たとえば、高血圧や難聴、ロコモティブシンドローム、フレイルなど、高齢にともなう身体の機能低下を解消することを目指すなら、本人も素直に受け入れるのではないでしょうか。

「面倒だからやらない」「年だからしょうがない」は、本人をMCIへと進ませてしまいます。「認知症にならないように」というネガティブな発想ではなく、「最後まで人生をかっこよく」を合言葉にしてチャレンジできるように、皆でサポートすることが大事だと思います。

あさだ・たかし/1982年東京医科歯科大学医学部卒業。石川県芦城病院、東京医科歯科大学神経科精神科、甲府市立病院神経内科、山梨医科大学精神神経医学講座助手を経て、88年英国オックスフォード大学老年科留学。95年国立精神・神経センター武蔵病院精神科医長、2000年同病院リハビリテーション部長。01年筑波大学臨床医学系精神医学教授、14年東京医科歯科大学客員教授、15年筑波大学名誉教授。
「病への備え」から
「健康づくり」へ
多世代が共生する社会へ
支える人と支えられる人を応援
認知症
サポートプログラムを実施

人生100年時代、高齢になっても住みやすい社会にするために、地域で、そして社会全体で対処すべき問題の一つが認知症だ。SOMPOひまわり生命は、保険本来の機能(Insurance)に健康を応援する機能(Healthcare)を組み合わせた、従来にない新しい価値「Insurhealth®(インシュアヘルス)」の提供を通して、認知症という社会課題に保険会社として積極的に取り組んでいる。「認知症になったら」だけではなく、早期発見と予防、認知症に起因する事故、介護する側への配慮など、幅広い対応で、多くの人の健康を守る姿勢だ。

これは、「認知症に備える・なってもその人らしく生きられる社会を」をスローガンとするSOMPOグループの方針の一環でもある。同グループは、「SOMPO認知症サポートプログラム」を推進し、商品・サービスの開発および提供、エコシステムの構築、各種研究、啓発・支援活動と4つの取り組みを行っている。グループ会社の規模と総合力を活かし、介護・認知症という社会課題の解決に挑んでいる。

その一つに、SOMPOひまわり生命の「笑顔をまもる認知症保険」がある。さらに、万が一の保障だけではなく、加入者が利用できるサービス「認知症サポートSOMPO笑顔倶楽部」(運営:株式会社プライムアシスタンス)により、認知症の正しい基礎知識や最新情報を提供し、認知機能低下の予兆を把握する認知機能チェックツールの提供、認知機能低下の予防サービスを紹介するなど、充実した内容だ。さらにもし介護が必要になった場合には、介護関連サービスの紹介や、〝つどい〟の開催情報など、共生のための取り組みを行っている。

認知症発症前から
保障の対象に

「笑顔をまもる認知症保険」は、軽度認知障害・認知症に対する保障であなたとご家族をサポートする。さらに骨折治療や不慮の事故・所定の感染症による万が一の保障も確保できる。こうした保険は、もしもに備えて加入することで、家族の生活習慣や健康意識を見直すきっかけにもなる。この保険に加入した60代男性から「家族みんなの健康意識が高まり、健康に関する新聞記事やテレビ番組を見るようになり、朝食も欠かさずとるようになった」という感想が寄せられている。

健康応援企業を目指すSOMPOひまわり生命が提供する認知症保険。その前向きな取り組みに注目していきたい。