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日本癌治療学会 座談会

進化するがん治療未来課題



患者と医療を考える 開かれた学術集会

中井 今、小児がんやAYA世代(思春期・若年成人)のがんも大きなトピックになっていますね。子どものときの抗がん剤治療によって将来、子どもをつくれなくなることもある、といった問題も伺っています。

北川 小児や若年のがん患者さんの妊孕性(にんようせい/子どもをつくる機能)の温存をサポートすることも、私どもにとって重要なテーマです。そのため他学会と協力し、妊孕性温存のためのガイドラインもつくりました。

吉田 婦人科、小児科、泌尿器科などの先生が密に連携している当学会ならではの取り組みだと思います。

中井 他に学会として取り組んでいるテーマはありますか。

北川 やはりグローバル化ですね。米国や欧州の学術団体と連携を強化するとともに、同じ遺伝的背景をもつアジア民族に対する治療の研究を、中国や韓国と共同で行っています。さらにそれを発展させ、今年の学術集会でアジアの新しい学会を結成します。

吉田 欧米が主導するグローバルスタンダードの治療が、必ずしもアジアにそのままあてはまるわけではないですからね。

北川 例えば、東アジアに多い胃がんの治療法を開発することは、アジアの医療従事者の責務だと考えています。

中井 これまで伺ってきた取り組みを発表、討議する場が、年に1回行われる学術集会なんですね。

吉田 今年は「社会と医療のニーズに応える」をテーマに、10月24日(木)から26日(土)まで、博多の国際会議場を中心に開催します。

中井 学会には医療従事者以外の一般の方も参加できるそうですね。

北川 私たちは、基礎研究も大切にしながらがん治療に焦点を当てた学会なので、患者さんとともにがん治療を考える姿勢を大切にしてきました。ガイドライン作成にも患者さんに参加していただき、その意見を反映させてきました。がん患者さんやがんを克服された方が医療者や別のがん患者さんに体験に基づく情報を伝える「PALプログラム」という活動も行っています。学術集会でも患者さんやご家族、支援者向けのプログラムを用意しています。

服部 最近の患者さんは、がん治療に関する情報を積極的にキャッチされている方が増えています。学術集会はそのような患者さんが集まって、情報を共有するよい機会にもなっていますね。


がんと向き合う市民公開講座

吉田 学術集会の肝となる会長企画シンポジウムでは「ゲノム医療」「がん治療におけるAI」「ロボット手術」「再生医療」などのテーマを取り上げます。またより幅広い一般の方に向けた、市民公開講座も福岡と岐阜で開催します。こちらはトークショーなどでがん治療の現状と未来の方向性を紹介し、最後はコンサートでしめくくります。がんについて学べるだけでなく、来場者が楽しく元気になるイベントを目指しています。

服部 もし自分ががんになったらどうすればいいのか、どのような対応方法があるのかを知るいい機会ですね。今でもがんを人ごとのように考えている人は多いのですが、現実にはがんと無関係な人などいませんからね。

吉田 今や2人に1人はがんになり、3人に1人はがんで亡くなる時代です。よく「うちはがん家系なんです」という人がいますが、そのような家系はほんのわずかで、すべての人ががんになる可能性があるのです。だからこそ日頃の検診、早期発見が大事です。

服部 がんになっても早く発見して治療できれば、すこやかな日常に戻れる可能性が格段に上がるわけですからね。

吉田 患者さんや家族ががんについて正しく理解していただくことが、適切な治療にもつながります。

中井 市民公開講座が、がん治療の現状を知り、がんと向き合うきっかけになるといいですね。ぜひたくさんの方に参加していただきたいと思います。

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