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 朝日新聞社メディアビジネス局

審査員が語る
自然写真撮影の心構えとは

審査員が語る 自然写真撮影の心構えとは

第37回「日本の自然」写真コンテスト応募受付中!応募期間:2019年12月1日~2020年3月27日※デジタル部門のみ3月31日23時59分まで。

第37回「日本の自然」写真コンテスト応募受付中!応募期間:2019年12月1日~2020年3月27日※デジタル部門のみ3月31日23時59分まで。

表層的な美しさだけでなく、背景まで覗き込めば、
自然はまた違った表情を見せてくれる。

いつまでも守り続けたい日本の自然をテーマに行われる「日本の自然」写真コンテストの第37回目が、12月1日から3月27日(※)まで作品の応募を受け付ける。そこで全日本写真連盟の勝又ひろしさんが、コンテストのデジタル部門で審査委員を務める福田健太郎さんにインタビューを行い、風景との向き合い方や撮影機材の選び方など、さまざまなお話を伺った。
※デジタル部門のみ3月31日23時59分まで。

美しい景色の内側にある人々の
営みまで見つめる。

勝又 福田さんはフリーランスになられて20年くらいですか。写真を始めた頃と比べて取り組み方や着眼点に変化はありましたか?

福田 変化しましたね。昔はとにかく美しい風景と出会いたいという気持ちだけで、絶景を求めては日本のみならず、世界各地を回っていました。今で言うところの“SNS映え”のような意識が原動力だったと思います。それが今は風景の表層的な美しさだけではなく、そこで暮らす人々の営みまで見つめたいと思うようになりました。

――その変化の背景に何があったのでしょうか。

福田 私自身が大人になったこともあるでしょうし、子どもが生まれたこともあるでしょう。それに20年間ほど森の中に潜り込んで撮影したときに、たくさんの命のうごめく姿を見たことも関係しているのかもしれません。いろいろな経験を通して、「自分が自然に生かされている」と気づいたことが、変化につながっているのだと思います。

――そういった気持ちの変化って作風に表れるものですか。

福田 表れるでしょう。同じカメラで、同じ風景を撮ったとしても、人それぞれまったく異なる作品になるように、写真には人生観や人間性、性格などすべてがにじみ出ます。撮影時、風景のバックボーンを考えるようにするだけでも、写真はガラッと変わると思います。

敬う気持ちが、被写体との間に
適切な距離をつくる

――変化といえばここ20年でカメラも劇的に変わりましたね。

福田 デジタルの登場で、写真の基礎と言われていた難しさを機材の技術でカバーできるようになったのは大きい。僕が今使っているソニーのα(アルファ)は全ジャンル、ほぼすべての撮影に対応できる能力を占めていると思いますよ。軽さはもちろん、緻密でデリケートな質感までも描写できる画質の高さもすごい。非の打ち所がないカメラだと思っています。

――フィールドワークにおいて軽さはかなり重要ですよね。

福田 カメラの小ささ、軽さには本当に助けられています。森の中や山歩きなどでも、移動における負担が減ったおかげで、これまで躊躇していたところまで足を伸ばせるようになりました。身軽になることで自分の視野が広がったと感じています。

――デジタルになって、撮れなかった世界がいとも簡単に撮れてしまう時代になったと私も実感しています。

福田 「α」は低照度の性能も高いので星空やホタルなど暗い中の撮影でも、肉眼以上の美しさを写し出してくれますし、「瞳AF」が動物の目にも対応したおかげで瞳に正確にピントを合わせられるようになり、フレーミングとシャッターチャンスに集中することができるようになります。野生動物など動き回るものも撮影しやすくなりました。

――コンテストの応募作品に動物写真が増えてきたのも、機材の進化が背景にあるのかもしれませんね。第36回「ソニーネクストフォトグラファー賞」受賞作品もモモンガを撮影した作品でした。

福田 カメラがAFで素早い動きを追随してくれますし、α9シリーズは連写速度が最高1秒20コマですから、これまでよりも遥かに決定的な最高の瞬間を写し出すことが可能です。またミラーレス化でシャッター音を無音にでき、動物に警戒されないようになったことも理由のひとつかもしれません。微かな音でも野生動物は敏感ですから気づきます。不安にさせず、ストレスを与えず、人間と動物との正しい距離で撮影ができるようになったのは非常にいいことだと思います。

――風景でもちょうどいい距離感ってありますよね。

福田 そう、動物にしても、景色にしても、敬う気持ちがあれば、そこに適正な距離が生まれるものです。

――カメラの解像度もすごく進化しました。高い解像度のおかげで、とりあえず広めに写しておき、後からトリミングする人も増えましたが、福田さんはどのように考えますか?

福田 もちろん常に真剣に風景と向き合い、一瞬、一瞬を、緊張感を持ってフレーミングするのが私の基本ではあります。ただどうしても状況によって制約を受けるときがあり、その際にトリミングで対応をするのはよいこと。自宅で写真を冷静に見つめ直すと、あらためて自分が心魅かれたものは何かが明確になり、ベストと言えるフレーミングが変わることもあります。写真で伝えることが何よりも大切で、画質をそれほど損なわずに作品として完成できるのだから、画素数の大きいカメラには優位性があり、状況に応じて柔軟に活用することもいいと思います。

あえて制約を設けた撮影が、
自分の写真を進化させる

――撮影の際、どのようにレンズを選んでいますか。

福田 広がり感を誘い出したいときは広角レンズを使いますが、ただ広い範囲を撮るだけではダメで、それだと主題が定まりにくい写真が生まれやすいのです。なので、デフォルメ効果を利用し、ドラマティックでダイナミックな写真にするのが広角レンズの特徴だと考えています。たとえば入選作品の「ツツジ咲く」も、遠近感を強調することで全体に広がりを出していますよね。反対に標準レンズは、肉眼で見た世界に近い画角になるため、奇をてらわずに、そこに漂う風景の気配ごとすくうようにとらえたいときに私は使用します。

――よく使用するのは?

福田 広角から望遠です。私はソニーのG Masterを使っていますが、16-35mm、24-70mmと70-200mmで撮影の9割はカバーしています。ただ動物写真家の方は「600mmが標準レンズ」とおっしゃる方が多いです。結局は何を撮りたいかで選ぶレンズは変わる。撮りたいものが定まってから、題材に合わせてレンズを選べばいいと思います。

――福田さんはレンズ1本でフィールドに出ることはありますか。

福田 散策程度ならレンズ1本だけ持って、「これで撮れる写真を撮ろう」という気持ちで出かけます。意外と制約を設ける方がおもしろい写真が撮れることもあるんです。たとえば「ここは望遠レンズだな」と思っても、広角レンズしかなければ自分で近寄って撮影するしかありません。すると撮り方が変わることで新たな気づきが生まれることがあります。自分の写真があまり進歩していないと感じるときは、このように制約を設けるなど、今までやらなかった行動を試してみることをオススメします。

コンテストの応募には
「1枚を選び取る」勇気が大切

――「日本の自然」写真コンテストに応募する際、題材の選び方で何かアドバイスはありますか。

福田 「日本の自然」と聞くと、桜や紅葉といったフォトジェニックでゴージャスな風景が頭に浮かびがちですが、本来、日本の四季は移ろいゆくもの。その移ろいを細やかに、丁寧に切り取った作品があってもいいんじゃないかと個人的には思っています。

――そうなると地の利といいますか、地元に住んでいる人の方が、四季は追いやすくなりますね。

福田 旅で出会う景色のおもしろさはよく分かりますし、それと比べると自分が住んでいる地域の自然って当たり前に見えてしまうんですよね。でもその見慣れた景色が、他の場所に住んでいる人から見るとすごく魅力的というのはよくあること。地の利を生かして、季節や気象条件によって変わっていく地元の風景を徹底的に観察していくなかで、素晴らしい作品が生まれることはあるでしょう。

――とくに今年は応募期間が1ヵ月伸びましたから、年末年始の休暇も含めて、じっくりと作品に向き合うことができます。

福田 その1ヵ月を「選択」の時間にあててみるべきだと思います。写真というのは「これ!」という1枚か2枚を自分の手で絞り込み、選ぶまでがセンス。悩んだなら、最初の1枚を選んでみるのも一考です。あれこれ考えて追い込んだ後より、心が動いた瞬間の鮮度が勢いそのまま映し出されている1枚目が、一番良かったりするものです。

――コンテストでも初動を大切にした作品の応募が増えているように感じています。

福田 20代など若い世代の応募が積極的になってきたからですかね。SNSなどで写真を目にする機会が多くなり、心が動かされる風景に出会いたいという思いが強くなってきているのかもしれません。その出会いを形として残すのが写真の魅力ですし、ぜひ発表の場としてコンテストを活用してほしいです。

――コンテストは参加することに意義があるものですよね。

福田 入選すれば大いに喜べばいいですし、たとえ選ばれなかったとしても、その悔しさをバネに次に活かせばいいんです。もし参加していなければ、入賞作品を見ても「すごいな」「きれいだな」とサラッと見て終わりですが、参加すると「入賞作品と自分の作品はどう違うのだろう」と深く読めるように。その写真を見る眼差しが、自分の作品をより良くし、写真を撮るという行為をさらに豊かに、楽しくしてくれるのだと思います。

コンテスト受賞作品はこちらから!

第37回 いつまでも守り続けたい
「日本の自然」写真コンテスト

応募開始が1か月早まりました!応募期間
2019121日~2020327日(※)
※デジタル部門のみ3月31日23時59分まで。
プリント部門
  • 最優秀賞(1点):賞金100万円、賞牌
  • 審査委員賞(5点):賞金10万円、賞牌
  • 朝日新聞社賞、森林文化協会賞:賞金10万円、賞牌
  • 優秀賞(10点):賞金3万円、賞牌
  • 入選(25点):記念品、賞牌
  • 都道府県一賞 :記念品、賞牌※在住する都道府県内で撮影した作品を対象(若干名)
デジタル部門(年齢制限はありません)
  • 最優秀賞 ソニー4K賞(1点):賞牌、副賞(50万円相当クーポン)
  • ソニーネクストフォトグラファー賞(30歳以下の応募者を対象):賞牌、副賞(40万円相当クーポン)
  • 優秀賞(5点):賞牌、副賞(3万円クーポン、アサヒカメラ購読6ヶ月分)
  • 入選(25点):賞牌、副賞(図書カード3千円分)
  • ※ クーポンはソニーストアでのみご利用いただけます。

主催 朝日新聞社 全日本写真連盟 森林文化協会 / 協賛 ソニーマーケティング株式会社