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シンポジウム
(東京医科大学 糖尿病・代謝・内分泌・リウマチ・膠原病内科学分野 主任教授)
おだわら・まさと●東京大学医学部医学科卒業。2009年9月から2012年8月に東京医科大学病院副病院長を経て、2014年から現職。東京都へき地医療対策協議会委員、日本成人病(生活習慣病)学会理事長、日本糖尿病合併症学会理事、日本糖尿病財団常務理事など。日本糖尿病学会専門医、同学会指導医。医学博士。
糖尿病になると色々な病気のリスクが上がります。心疾患、脳血管疾患になるリスクは2~4倍(※)に増え、透析を始める原因の第1位は糖尿病性腎症です。肺炎を含む感染症にかかる人も多い。これらは糖尿病の主な合併症で、糖尿病を予防するのが重要です。
糖尿病に大きく関係するのが肥満で、運動量の減少が主な原因となります。身体活動レベルが高くなるほど糖尿病の発症リスクは低下。筋肉を付けるレジスタンス運動と有酸素運動の両方を生活に取り入れると、血糖値の上昇を防ぐインスリンの効きがよりよくなり効果的です。
加齢に伴って筋肉が減少するサルコペニアになると転倒しやすいので、高齢者は特に筋肉を付けることが大切です。骨折やケガによって寝たきりになることを防げますし、糖尿病の発症予防にもつながります。
海外の大学の研究では糖尿病、心筋梗塞(こうそく)の発症を予防するための生活習慣が次の五つにまとめられています。①バランスのよい食事(食物繊維を多く、動物性脂肪を少なく取るなど)②運動する③肥満にならない④喫煙しない⑤飲酒は少量に。日本人も同じと考えていいでしょう。
食後の血糖値が高い人は糖尿病になりやすいとされ、血糖値が高くなるほど心筋梗塞発症の可能性が高まると考えられています。健康診断で食前の血糖値が正常でも、食後に血糖値が急激に上昇する場合もあります。この症状は、「隠れ糖尿病」とも言われ、発病に気付かないまま症状が進行するケースも結構見られますので、くれぐれも気をつけてください。
食後の高血糖や血糖変動を防ぐには糖質が体に吸収されやすいGI値の高い砂糖や甘いものを避け、食物繊維が多いものを取り、野菜を先に糖質は最後に食べるなどを心がけましょう。
※Fujishima M et al.:Diabetes 1996; 45 (Suppl 3): S14-S16
(近畿大学名誉教授)
むらおか・おさむ●大阪大学大学院薬学研究科博士後期課程修了。1999年から近畿大学薬学部教授、2012年10月~2016年9月は同学部長、2013年4月~2018年3月は同アンチエイジングセンター長、2016年4月~2018年3月は同薬学総合研究所所長、2015年4月~2018年3月は同大学副学長。2018年4月から現職、同薬学総合研究所客員教授。薬学博士。
インドなどでは、ツル性の植物「サラシア」の根や幹から抽出したエキスが健康面で、古くから注目されてきました。そこで、私たちもサラシアに着目して研究をスタート。小動物にサラシアのエキスを飲ませて糖を食べさせると、血糖値の上昇はエキスを与えなかった時より顕著に抑えられることがわかりました。臨床試験では、糖尿病予備軍の方に米飯とサラシアのエキスを摂取してもらうと、エキスを飲んだ人が飲まない人よりも血糖値の上昇を抑制できました。
私たちはサラシアに含まれる活性成分を「サラシノール」と命名。さらに複数の活性成分を発見し、特に「ネオコタラノール」と呼ぶ成分に強い活性があることが分かりました。
ここで糖質が吸収されるメカニズムをみましょう。食事に含まれる糖質は数珠のようにつながっていて、唾液がこの糖質を二つずつに分解します。さらに腸内酵素が糖質を一つずつに分解することでバラバラになり体内に吸収されるのです。しかし、ネオコタラノールはこの腸内酵素の働きをブロックするので、小腸での糖の吸収を抑えます。その結果、食後の血糖値の上昇を緩やかにできるのです。
このネオコタラノールを活用した健康食品の研究開発により、生活習慣病の改善に役立つよう取り組んでいます。
健康診断で空腹時の血糖値が正常な方にも、食後に血糖値が急上昇する「グルコーススパイク」を呈する方が認められています。糖尿病になる前の未病の段階でくい止めるには、食後の血糖値をあまり上げないように気を使うことがとても大事です。